霞が関から見た永田町

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衆参同日選はあるか?焦点はすでに通常国会へ

 

 

 

入管管理法改正が議論されているものの、12月を迎え、季節は師走へ。永田町ににわかに流れ始めた来年の夏の衆参同日選挙の風。

 

振り返れば、2016年もそうだった。あの時も前年の秋くらいには衆参同日選挙の風が吹いていた。そういう意味ではおなじみの光景と言える。ただ、今回大きく異なるのは、安倍政権の安定感のなさだ。自民党総裁選を勝ち抜き3選したことで、まだ目には見えないが、どうもレームダック化している空気も流れている。本来であれば、この臨時国会で憲法発議への道のりをつけるはずだったが、その可能性はほぼゼロとなっている。

 

 

普通に戦っても議席維持は難しい自民党


参院選は前回が勝ちすぎているため、自民党は普通にやっても議席維持が難しく、その上、消費税増税とタイミングが重なっている。しかも安倍政権にとっては不幸なことに、今回の内閣では片山大臣と桜田大臣の、大臣として資質に大きな疑問符が付く国会運営となっている。自民党の中からですら、現在の内閣には影で不満の声を漏らす人が後を絶たないほど、人材不足が露呈した陣容だ。衆参同日選の機運は高まっているといえよう。

 

実際、テレビや雑誌の報道を見てみると、自民党の選対委員長の甘利氏が大津市の講演で「安倍晋三首相と接している限り、現時点でそういう雰囲気は伝わってこない。しかし、いつ何があってもいいように備えてほしい」と話した内容が、新聞のタイトルには「何があってもいいように備えて」と書かれるなど、新聞サイドが政局に敏感担っている様子が見て取れる。

 

 

解散風は吹き出せば止まらない


これだけではない。微妙な解散風の空気を察知してか、公明党の山口代表は「2019年は元号も変わるし、2020年のオリンピックを控え、政治日程が目白押しだ」と解散に対して否定的な見解を述べ、火消しに回っている。永田町とは不思議な場所で、一度風が吹き始めると、それに踊らされるように国会議員は走り出し、その走り出すことで時の権力者ですら解散風を止めることはできない、という事例は過去にたくさんあった。

 

さて、こんな状況の中で、来年の衆参同日選の可能性を占うのが、年明けに召集される通常国会の日程だろう。目下囁かれているのは、来年1月4日召集説だ。通常国会は150日と定められており、1月4日が召集日となれば、会期末は6月2日となる。

 

ちなみに参議院の任期満了は7月28日で、公職選挙法では任期満了の30日前までに実施することを定めている。これに当てはめると、参議院選挙の日程は6月30日、7月7日、14日、21日が該当する。このほか、諸々、細かい条件があり、仮に、通常国会の召集日が1月4日からズレた場合には、衆参同日選挙はできなくはないが、日程が固定されてしまう。

 

 

1月4日通常国会召集でカードを手にする安倍政権


つまり事実上、安倍政権に選択肢がなくなることを意味する。1月4日が召集日になった場合には、6月30日、7月7日、14日、21日の4つのいずれかを衆参同日選の候補日として安倍政権はカードを持つことができる。もちろん、そのカードをチラつかせつつ、2016年のように衆議院は解散しないということも可能だ。いずれにしても、カードがどこにあるかこそが重要な永田町にとって来年の通常国会がいつ召集されるかは最大の関心事なのである。

 

現在の臨時国会が会期末を迎えても、師走で忙しく走り回る年末。正月休みもゆっくりすることができず、解散風を意識した、慌ただしい年末年始を国会議員は過ごすことになるのだろう。仮に衆参同日がやってくるとして。そのとき、自民党に対峙し得る野党第一党の座をどこが射止めるのか、この辺は今後の国会戦略・戦術も含めて大変興味深いところだ。