霞が関から見た永田町

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止まらない衆参同日選挙の風 令和最初の衆参同日選挙となるか

 

 

 

11日、自民党大阪府連は大阪維新の会が目指す大阪都構想の是非を問う住民投票実施を容認する方針を発表した。このニュースは、のちに新しく府連会長に就任した渡嘉敷奈緒美衆議院議員の勇み足だったことが判明したものの、先の統一地方選挙における大阪維新の会の堅調な戦いぶりと、ダブル選挙を取りこぼした自民党の焦りが見え隠れする。

 

 

自民、公明の態度変更で大阪都構想住民投票へ

 

政権与党・自民党のカウンターパートである公明党の焦りはさらに大きい。同党にとって関西は特別なエリア。ダブル選挙での惨敗は、夏に行われる参議院選挙、さらにはその先に控える衆議院選挙の結果に大きな影響を与える。公明党にとって、今回の選挙結果は無視できないものとなった。そのため、公明党大阪府本部も11日、記者会見で、「大阪府知事、市長の任期中の住民投票に協力する」ことを発表した。

 

さて、これより2020年秋にも2015年5月以来、2度目となる住民投票が行われる見通しとなった。住民投票の実施も重要だが、政局の視点でやはり、欠かせないのは、このタイミングで自民党、公明党の住民投票容認論が出たことにある。

 

 

ダブル選挙惨敗で公明党が怯える維新の影

 

ダブル選挙で惨敗したとはいえ、特に公明党の方針発表の早さは注目に値する。背景には、永田町にちらつく、衆参同日選挙があるのは間違いないだろう。大阪維新の会はこれまでの公明党の対応については業を煮やしており、住民投票の約束ができないのであれば、次の衆議院選挙では公明党の選挙区の候補者を擁立することを明言しているからだ。

 

今回の統一地方選挙で議席を減らした現状や、大阪における維新の会の人気を考えれば、候補者を擁立されたら、ひとたまりもない。もちろん、衆議院選挙が遠い将来の話であれば、異なる戦術も取れるのだろうが、このタイミングで住民投票容認となれば、公明党自身が衆議院の解散総選挙が間近と判断していると見るのが自然だろう。

 

 

誰も火消しをしない衆参同日選挙の憶測

 

永田町とは不思議なところで、ひとたち解散風が吹けば、国会議員は一気に動き出す。これは一般の有権者にはなかなか分からないかもしれないが、選挙に向けた各種広報物の準備、街宣車、選挙事務所の準備などお金が発生する。こうした準備が水面下で始まってしまうため、ひとたび解散風が吹くと、なかなか止められないのである。

 

さて、11日は自民党の選対本部長である甘利氏がBSテレビ東京の番組で、「安倍晋三首相と話をする際に、同日選というニュアンスは伝わってこない」と述べていた。

 

ところが14日になって今度はNHKや朝日新聞、読売新聞が一斉に衆参同日の可能性について報じ始めている。例えば、NHKでは「与野党から衆参同日の見方」と記事を配信し、朝日新聞は「景気悪化で衆参ダブル選?どうなる消費税増税・解散」、読売新聞は「衆参同日選、二階氏「首相判断なら全面的対応」と記事を配信している。

 

 

なるか、令和最初の衆参同日選挙

 

安倍政権の支持率が比較的高い位置で安定していることに加えて、なんといっても野党の足並みが揃わないことも衆参同日選の声が日増しに高まる状況を生み出している。長らく安倍政権の一強多弱と呼ばれる状況が続いているが、解散のフリーハンドが政権の手にあるのだ。仮に野党が高い支持率を得ていれば、解散権は内閣総理大臣の専権事項とはいえ、おいそれと解散はできず、解散するか否かは野党がグリップすることになる。

 

残念ながら、この数年、野党はその環境を作り出せなかった。発足当初は判官贔屓も手伝って立憲民主党もそれなりに高い支持率があったが、今では低位安定となっている。保守政党である国民民主党も希望の党はもっと悲惨な状況だ。代表、党首の苦悩は推して知るべしではあるが、国民民主党などは参院選に向けた広報には目を引くものがある。賛否両論あるかもしれないが、オーソドックスなスタイルを取らないというところに同党のメッセージがあると見るべきだろう。

 

令和最初の選挙が衆参同日となるのか、否か。もう間もなく、行く末が見えてくる。