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【冒頭解散あるのか】野党は初春の解散に備え、未来志向の選挙協力体制を

 

 

 

ちらつく冒頭解散の陰。

 

今年は参議院選挙の改選の年だったので夏に熱戦が繰り広げられたことを覚えている人は多いかもしれない。ちょうどその時に、衆議院も解散し衆参同日選挙も検討されたというのは知られた話だ。

 

現在の衆議院議員の任期は2021年10月まで。安倍総理がいつどのタイミングで伝家の宝刀を抜くのかは、多くの関係者が安倍総理の反応に注目している。

 

「桜を見る会」の問題点が思わぬ形で飛び出した今国会。次々と飛び出す新事実に、政権側の苦しい言い訳が続く。そんな中、年の瀬も押し迫ろうかというこの時期、いよいよその時がやってくるのではないかと永田町や霞が関界隈では話題に上っているのだ。

 

もともと、参院選が迫った今年6月ごろに、衆参同日選以外に、2019年末と合わせて2020年冒頭の解散の可能性は指摘されていた。

 

桜を見る会のゴタゴタが今後どのように落ち着くかにもよるが、1月の冒頭解散に踏み切るとの公算は高い。

 

 

自民党が選挙準備を始めた

 

「自民党が選挙公約作りを始めた」というのは霞ヶ関の関係者から漏れ聞こえてきたのはこんな話だ。選挙もないのにこうした動きが見え隠れするのは考えられず、与党内ではすでに選挙準備が始まっているとみていいだろう。

 

2020年のカレンダーを考えれば、東京オリンピックの期間内あるいはその前後に実施するのは考えにくい。やはり年始、春、秋以降というのが候補だ。未だ足並みが整い切らない野党の状況や安倍首相の総裁任期が21年9月までであり、改めて意欲を示した憲法改正についてその日程を考慮しても、与党としては“早い方がいい”と考えるのも自然だろう。

 

その上で、年末の忙しいさなか、官僚が政策作りに時間を割かれているということは、オリンピック前の政治日程での選挙を想定しないといけない。

 

立憲民主党の枝野代表が他の野党に再結集を呼びかけたのもそうした危機感の表れだ。

 

 

冒頭選挙を裏付ける話は他にも

 

「常在戦場」とはよくいうが、各選挙区の地方議員の活動もじわじわと活発になりつつある。都市部で言えば、普段駅前に立たない自民党議員を見かけるようになったとすれば、確度は高い。

 

日常的に永田町で活動する国会議員に変わって地元で汗をかく選挙区に張り付く議員秘書やその地域を地盤とする地方議員は、永田町からの号令一つで動き出す。

 

今回で言えば、選挙が近づけばそれを理由に地域活動に力を入れるよう連絡が入り、この年末年始はいつにも増して熱心な活動が見られることだろう。

 

自民党支持者の中でも、年内解散がなければ冒頭解散に備えるといった空気は広がっているという声も各方面から聞く。

 

 

野党の準備は間に合うか

 

先ほども触れたように、立憲の枝野代表が国民民主党などに再結集を呼びかけたと報じられた。

 

選挙区で一人の候補者だけが当選する小選挙区制という選挙制度においては、自民党に変わる対抗軸としての政党がどうしても必要というのは、枝野代表のみならず各党の本音だろう。

 

比例代表並立制とは言え、惜敗率が復活当選の条件である以上、野党勢力の乱立は、小選挙区落選者の惜敗率が低くなるため、選挙戦略上、避けたい。

 

一強多弱と呼ばれる現在の国会勢力から導かれるのは、自民党が「圧倒的に有利」であり、野党が「圧倒的不利」であることというのが事実である。

 

そもそもこの選挙制度自体が、野党に逆転の可能性を小さくさせているというのが実に皮肉なものである。かつて民主党が政権交代を実現できたのも、自民党への大きな逆風と政権交代への国民的な期待の高まりがあったからだった。残念ながら今はそこまでの社会全体の空気が作られるまでに至っていない。しかも、民主党は、自民党の対立軸として明確な存在感があり期待感があった。現在はその存在感も期待感もないという事実は受け止めざるを得ない。

 

 

選挙協力で乗り切る策

 

以前に、国民民主党の玉木代表が「一つの党になるよりも連立の時代になっている」との未来志向の発言を取り上げた。どうしても立憲の枝野代表としては、一つの塊になってより主導権を強めたいのだろうが、ここは時代の先を読んだ玉木代表が志向する連立を前提とした選挙協力を柔軟に行っていくことで国民の理解を得ていくことが得策ではないか。

 

自民党との差別化という意味でも、柔軟に複数政党での連立構想を国民に示し、国民の声を組み上げていく姿勢を訴えていけば、たとえ統一候補が支持政党所属候補でなくとも、その先にある政権構想に支持をして投票してくれる可能性も見えてくるはずだ。

 

冒頭解散まで限られた時間の中で、今の野党が最大のパフォーマンスを発揮するにはどのような方策が良いのか、じっくりと戦略を練ることが必要だ。