霞が関から見た永田町

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小池百合子東京都知事が見据える永田町復帰

東京都知事選挙が始まった。過去最多の22人が立候補する東京都知事選は、その候補者数の多さは毎回、選挙の風物詩と言ってもいいだろう。不思議な魔力に取り憑かれるのか、毎回、たくさんの人が立候補する。

 

候補者が乱立した上に、野党もバラバラだ。野党は宇都宮候補を統一候補にできなかったばかりか、れいわから山本候補が立候補していることを考えると、野党票も分散する。結果、今回の東京都知事選は正直、あまり見所はない。小池都知事が何万票取るのか、ポイントはそこだけだろう。この選挙が始まるまでは、「すわ、ホリエモンが立候補か?」と一瞬話題を呼んだこともあったが、投票日までの約3週間は消化試合が続くだけだろう。

 

 

小池氏の永田町復帰はいつ?

さて、小池氏の再選は間違いない中で、目下の注目は小池氏の永田町復帰のタイミングだろう。常に敵が多いのが小池氏の特徴だが、あれだけ喧嘩をしていた自民党とも今や蜜月とまでは言わないまでも、二階幹事長にはしっかりと食い込み、早々に自民党の協力を取り付けた。東京都連をはじめ、永田町にも面白くない人はたくさんいるが、そういう環境をものともせず、自らに有利な状況を作り出せるのが小池氏の小池氏たるゆえんだ。

 

延期はしたものの、新型コロナの第二波、第三波が懸念される中、来年の東京五輪は黄色信号、いや実質赤信号という声も聞こえる。そうなると小池氏が東京都知事にとどまる理由ももはやないと見るのが妥当だ。あとは彼女がどのタイミングで永田町復帰を描くか、ということになる。

 

そのタイミングを今、予想するのは難しい。というか不可能だ。一つ確実に言えるのは、都知事2期目のどこか、ということだろう。そういう意味で、今回の選挙結果が大きな影響を及ぼすことは間違いがないし、もっというと、ここへきてささやかれている10月解散・総選挙説と、その選挙結果だろう。

 

にわかに浮上した10月解散総選挙説

ここでわざわざ説明するまでもないと思うが、今、急速に永田町でささやかれているのは10月25日投開票のスケジュールだ。政治日程から逆算とすると、「もうここしかない」という日程という。政界は一寸先は闇と言われているように、今からこの10月解散総選挙の趨勢を占うのは、「来年のことを言うと鬼が笑う」に等しい話だ。ということをわかった上で、あえて、いくつかの不確定要素を折り込みながら、展望してみよう。

 

一つには安倍総理で戦うのか、それとも新しい新総裁で戦うのか。新聞各紙で安倍総理と菅官房長官に隙間風と言われている状況では、普通に考えれば、安倍総理の下での解散総選挙は難しいと思われる。一説には安倍総理そのものがもう政権維持に関心がないとも言われているが、よしんば、安倍総理の下で総選挙を戦うと、モリカケに始まり、桜を見る会、黒川賭け麻雀、河合夫妻逮捕とこれだけの悪材料続きでは、大敗はまぬがれないだろう。躍進するのは維新・国民連合だ。

 

二階・菅ラインによる石破新体制は手強い

次に想定されるのは、新総裁の下での選挙。ここは自民党内での政局が大きく影響する。安倍総理、麻生副総裁は岸田政務調査会長への禅譲を望み、二階幹事長、菅官房長官は石破氏を神輿に担ぎつつある。第二次安倍政権の立役者であり、かつ政局を差配してきたのが実質菅官房長官だったことを考えると、安倍・麻生ラインが描く岸田新総裁の芽はなさそうだ。麻生氏自身も極度な政局音痴でもある。

 

となると、石破新総裁。この下での解散・総選挙となると、自民党は大きく負けることはないだろう。その時、野党は壊滅する。かろうじて、維新・国民連合が踏みとどまるといったところか。

 

そういう状況下で小池氏がどう振る舞うか。予断は許さないが、あれこれ予想するには楽しみな未来だ。