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桜田大臣 失言で事実上更迭 長期政権ゆえの不適材適所の果てに

 

 

 

桜田大臣、事実上の更迭

 

 10日夜、桜田義孝五輪担当相が事実上更迭された。
 直接のきっかけと思われるのは、同日に東京都内で開かれた自民党の高橋比奈子衆院議員のパーティーでの桜田大臣の次のような発言である。
 「復興以上に大事なのは、高橋さんだ。よろしくお願いする」

 

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 この種の失言があると、前後の文脈と関係なく切り抜いたとマスコミの報道に批判が向かうこともあるが、さすがに今回の発言は前後と関係なく、完全にアウトだろう。
 これまでも桜田大臣の失言は相次いでおり、その都度に批判されるも、安倍総理は更迭を否定してきた。しかし、これだけの失言となれば、今回は安倍総理も桜田大臣を庇うことが出来なかったということだろう。
 この後、統一地方選挙の後半戦と衆議院議員の補欠選挙を控えており、そちらへの影響を考えて、早めの幕引きを目指したのではないだろうか。

 

 先日は忖度発言をした塚田一郎国土交通副大臣が辞任したが、数日を開けただけで今度は五輪担当相大臣の辞任となり、辞任の連鎖の様相を見せ始めている。

 

不適材適所の在庫一掃内閣だからこそ

 

 現在の安倍内閣は、適材適所と言い難い人物が大臣に任命されており、「在庫一掃」内閣とまで呼ばれていた。

 

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 政権が長く続く中で大臣の入れ替わりは必ずしも多くなく、当選回数を重ねた議員の中では「次は自分が大臣に」と思いながら、なかなか大臣になれない議員の数が増えていた。

 

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 桜田大臣もその中の一人で、ようやく大臣ポストにたどり着いたというのが実情だが、これまで大臣の任命されなかったことから推察できるように、自民党の中でも、あるいは安倍総理の中でも、その評価が高い議員ではなかった。自民党内の派閥の状況も勘案して、そういう人物を大臣にせざるを得なかったため、適材適所とは言えないポストではあるが初入閣をさせていたわけだ。それが完全に裏目に出て、相次ぐ失言で政権運営に毎度のようにダメージを与え、とうとう辞任のはこびとなった。
 やはり、大臣適齢期と呼ばれる期数になっても大臣になかなかなれない議員は大臣には向いていないから声がかからないのであって、無理に大臣に抜擢してはならないのだ。

 

 桜田大臣の後任は、桜田氏の前に五輪相を務めていた鈴木俊一氏が起用されることになった。

 

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 この後任人事を見ると、五輪相は変える必要がなかったと言える。党内事情もあって安倍総理も桜田氏を大臣に起用したのだろうが、安倍総理を表舞台に引き立てた小泉純一郎総理がそうだったように、出来るだけ適材適所に徹すべきだろう。
 不適材適所を繰り返すのは、自民党の党内の力学という観点からは決して悪いことではないのかもしれないが、国益を大きく損なうことは間違いない。

 

 

大臣辞任数増加は政権交代の前触れか

 

 ここにきて、副大臣と大臣の辞任が続いた。安倍政権の支持率は堅調に推移しているため、直ぐに政権崩壊といったことにはならないとは思うが、さりとて、要職に辞任が相次ぐのは政権運営にダメージとなる。
 大臣辞任数増加は政権交代の前触れともなるので、安倍総理としても頭が痛いところだろう。

 

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 現在の安倍内閣には、色々と問題含みの大臣が桜田大臣以外にもいることから、今回の桜田大臣の辞任を受けて、野党の攻勢を強めてくる。さらなる大臣や副大臣の辞任が続いてしまうのか否か。ことは桜田大臣の更迭に留まらず、安倍政権の存亡に関わる攻防がこれから展開されることになりそうだ。