霞が関から見た永田町

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月曜午前を休み?シャイニングマンデーの本気度

 

 

 

7月下旬、テレビ朝日が報じた一本のニュースがネット界隈を賑わせた。そのニュースとは「プレミアム・フライデーの不発で、次はシャイニングマンデーか?」というもの。


シャイニングマンデーとは、月曜日の午前休を取ることを指し、2016年の参議院選挙、2017年の衆議院選挙で公明党がマニフェストに掲げたことでも知られている。

 

 

盛り上がったtwitter

 

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テレビ朝日の報道によると、シャイニングマンデーの導入を検討しているのは経済産業省。プレミアムフライデーが88.5%と高い認知率をほこりながら、実際に早く退社した人が11.2%と、成果に繋がらなかったことから、月曜午前休を新たに導入しようとする狙いのようだ。

 

これにはネットはすぐに反応した。ツイッターを見るだけでも、「有給も消化できない状況なのに・・・」「次から次へと思いつきのような政策を打ち上げるな」「同じことを繰り返して違う結果を期待することをアインシュタインは狂気と言ってたね」など、散々な言われようだ。


多くは東京大学法学部を卒業し、優秀な成績で霞が関に入省したはずの秀才集団から、なぜ、このような誰でも分かるような、成功しそうにないアイデアが出てくるのか、正直不思議でならない。永田町こそ、ブラック企業よろしく、終電ギリギリまで仕事をしている職場で、特にキャリア官僚はその傾向が顕著だ。シャイニングマンデーを彼らが率先して取るのだろうか。

 

 

国民の箸の上げ下ろしを国が考える時代か?


そもそも、これだけ社会が多様化している時代にあって、国が国民の箸の上げ下ろしを決めるのは時代錯誤と言っていい。しかも、目的と手段がすり替わってしまっているのも問題だ。

 

プレミアムフライデーやシャイニングマンデーが議論されている、根っこの部分は働き方の生産性をどう高めるか、にあるはずだ。みんなが同じタイミングで、一斉に休む仕組みでは生産性を高めることにならないだろう。なぜなら、通勤や帰宅の時間が結局、みんな、かぶってしまうからだ。

 

とはいえ、霞が関の考えは分からなくもない。日本社会は同調圧力が強過ぎて、「みんな一斉」でないと動けないからだ。休みを取りたいのに、取れない。フレックス制度が導入されているのに、周りの目が気になって利用できない。そのため、多くの国民は夏季休暇といえば、8月中旬のお盆の時期に重なる。みんなが休む日は安心して休めるからだ。だからこそ、国が「みんな、一斉に休みましょう」と旗を振りたくなる。

 

 

働き方の多様性のデザインにインセンティブを

 

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経済学者の安田洋祐氏はこうした日本の現状をゲーム理論で説明している。いわく、ナッシュ均衡には「ホワイト均衡」と「ブラック均衡」があって、いずれも「みんな」が定時で退社する均衡状態にある。ホワイト均衡は17時半の定時退社、ブラック均衡は終電ギリギリの定時退社というわけだ。

 

さて、ここで政治の出番だ。国民は本音では通勤電車は嫌だし、みんなが同じ時間に出社して、同じ時間に退社していく、今の現状に大きなストレスを抱えている。

 

大事なことは働き方の柔軟性をどうデザインするか、だ。そのデザインを設計できた企業に対して、何らかのインセンティブを与える政策誘導が政治に期待される役割ではないだろうか。ここを明確に打ち出して、かつ、有権者に政策を認知できている政党は今のところ、見当たらない。

 

これほど国民が望んでいる政策もないことを考えると、野党にもチャンスが転がっていると言っていいだろう。