党内対立している場合ではない
7月27日(土)の日本経済新聞に国民民主党の記事が大きく掲載された。記事の見出しは、「国民民主、衆参の対立強まる 参院に維新と会派構想」というものだ。
参院選の結果、安倍首相は改憲の発議に必要な3分の2の勢力を失った。憲法改正を党是に掲げる自民党としては、あと一歩まで手が届くところまできた憲法改正が遠のいたのが今回の結果である。
記事では、参院の国民民主の幹部から維新の片山虎之助参院議員団会長に統一会派の打診があったことを伝えている。参院選の結果により、国民民主と維新が統一会派を組めば参院野党第一会派に躍り出ることができるというわけだ。第一会派になれば野党側の交渉役になれるためそのメリットは大きい。しかし、野党共闘を続けてきた経緯から衆議院議員側がその流れに反発しているという。
本来第一会派となる立憲民主党は、選挙戦で国民民主党の候補が立候補した選挙区にあえて候補者をぶつけるなど、一部選挙区では国民民主党の勢力を削ぐ構えも辞さなかった。今こそ、国民民主党は政策実現のためにキャスティングボートを握り、現在の改憲勢力に影響を及ぼしていくことを考えてみてはどうだろう。
「家計第一」の政策実現のまたとない好機
参院選の結果、自民、公明両党と維新、無所属議員をあわせた改憲勢力の数は160となった。改憲案の国会発議に必要な3分の2は164議席となる。偶然にも国民民主党の存在感を示す好機が訪れたのである。
参院選の結果でその存在感が一際大きくなった国民民主党は、参院選で掲げた「家計第一」の経済政策の実現が可能な立ち位置にあることを強く認識したい。
だからこそ国民民主党に所属する国会議員には、衆参の対立ではなく党一体となって政策の実現に力を注いでもらいたい。改憲論議が動き始めたとしても、まだまあ議論には十分な時間が必要だ。その流れの中で、国民民主党が掲げた政策を一つずつ実現させていくことが肝要だ。その積み重ねの一つ一つが来るべき衆院選において、単なる反対勢力ではない健全な野党勢力として有権者の選択肢になる。
特に衆院側の所属議員には、実直な政策実現集団としての国民民主党の屋台骨となり、来るべき総選挙で他党との違いを見せつけることに目を向けて欲しい。
かつて暴力をもその活動の選択肢とし、一部にまだその名残がある左派勢力は、全力でこの国の未来を拓くための改憲論議の封殺に力を結集してくるだろう。そうした批判を恐れず、多くの国民が必要とする「未来への投資」を一歩ずつでも実現させて行くことで健全かつ緊張感ある野党は育っていくに違いない。
国民全体で未来志向の憲法議論を主導したい
そもそも国民民主党が示した政策パンフレットには、「憲法・国のかたち」の項目に次の3項目を挙げている。
1. 憲法の議論を進める
2. 国民投票法の改正
3. 女性天皇の容認、女性宮家の創設
憲法論議に関しては、「現行憲法の基本理念と立憲主義を維持しつつ、未来志向の憲法を論議します」と謳った上で、現行憲法の安易な解釈変更に反対の意思を示している。そうした姿勢をベースに、憲法論議から逃げない姿勢がしっかりと記されている。
さらには、国民投票法の改正について。この点は玉木代表も選挙後に繰り返し述べているし、改正案も提出されている。玉木代表はブログを更新し、「特に、その中に盛り込まれているCM広告規制や外国人からの寄付規制等は必ず実現すべきとの立場です。成立に向け与野党の協力を求めていきたい」と述べている。
「生まれ変わった」発言を正しく理解しよう
こうした動きに対して、立憲、共産、社民、れいわなどは、実質的に国民が我が国の憲法論議することを封じる"護憲”を頑なに貫き通している。
国民民主党が「未来志向の憲法論議」を提起しているのとは大きな隔たりがあるし、停滞と対立だけで仕事をしたつもりになっているのに比べて、国民民主党にも玉木代表にも果敢に議論によってこの国を前進させようという気概がある。
「生まれ変わった」という発言に、過剰に反応する左派勢力のその姿は、スキャンダルを追及してきたこれまでの万年野党体質そのままだ。玉木代表は発言の真意を次のように語っている。
「野党はスキャンダル追及ばかり、反対ばかりとの印象が国民に定着しており、こうした現状を大胆に変革していくぞ!そんな決意表明の意味で、私は「生まれ変わった」と、表現しました。野党は、単なる反対だけでなく、これまで以上に対案を示し、議論する国会を回復させ、国民に対して建設的な政策論争をお見せしていかなければ、支持率アップも議席数増も望めないでしょう」
この国の未来を憂うからこそ、批判を恐れず、政策の実現に邁進する。選挙で各地を回ったその有権者のその声に素直に耳を傾けあるべき政党、政治家の姿に進化していこうとするその姿勢を素直に評価したい。今後の政策実現に期待は高まる。