国民民主党の新たな取り組み
国民民主党が興味深い取り組みを始めたようだ。
このほど、「暮らしの改善策3項目「家賃を補助!」「民の足!!」「孤独対策」を提示」と大きく打ち出してきた。
具体的には、以下のような策が並ぶ。
(1)持ち家世帯には住宅ローン減税等の優遇策があるのに1千万世帯の賃貸住宅世帯には国の支援制度がない状況を改善する「家賃補助」
(2)バス、タクシーの利用が困難な方、運転に不安がある方々の状況を改善する「民の足!! 乗合タクシーの普及!」
(3)一人暮らし、一人親家庭、老老介護、心の不調などから感ずる想いなど、さまざまな孤独に悩む方々の「孤独対策」
それらの改善策自体は、国民民主党の関係者には大変申し訳ないが、特に目新しいものではない。もちろん、奇をてらわない地に足のついた策を提示してきたとも言える。
興味深いのは、ここからだ。
まず、5月26日から、「全国一斉に新聞折り込みやポスティングでビラを配布」するというのだ。上記の改善策を広く周知するために、一斉にビラを撒くという。
さらに、5月15日からは特設サイトの設置も予告されている。そして、ビラに記載したQRコードや特設サイト経由で、広く意見を集めるというのだ。
「「つくろう、新しい答え」のプロセスを国民の皆さんと分かちあいながら政策をつくってまいります。」との言葉通り、今回の新たな取り組みは、国民民主党の政策形成過程に国民の参加の道が開かれることを意味する。
政党と国民の政策を通じたやりとりを
全国折り込み政策ビラは既にWeb上で公開されている。
表面には、上記の三つの改善策と意見提出先の情報が掲載されている。そして、裏面には、国民民主党の行う提案が各種掲載されている。その中には、国民民主党の打ち出している基本政策の一部もある。これは、以下の国民民主党のWebサイトにアクセスしても確認可能だ。
Webサイトには、国民民主党の基本政策の全てが記されている。それはあくまでも文章の羅列に過ぎず、じっくり読むという人は稀だろう。この基本政策を伝える方策を国民民主党としては考えなければならなかったところ、今回、全国に配布するチラシに上手くその一部を入れ込んできたと言えるだろう。
この全国折り込み政策ビラは、主として上記の国民民主党による三つの改善策に対して意見を募るために配布されるものだ。ただ、その裏面には、国民民主党の基本政策も記載されており、党の基本政策を改めて周知する役割も果たしていよう。
ここで、三つの改善策のみならず、基本政策のひとつひとつに対しても、国民の中では賛否があるはずだ。だからこそ、今回の取り組みを通して、様々な賛否が国民民主党に寄せられることだろう。このような政策を通じた政党と国民のやりとり。本来は、もっとあって然るべきことだと思うが、実際にはなかなかありそうでない。
どの政党も、まずは支持者とのやりとりからとなってしまいがちで、その際には特定の組織とのやりとりが先になりがちだ。そんな中で、国民民主党による全国民との間のコミュニケーションの回路を開く試みは大変注目に値する。
これが直ぐに国民民主党への支持の拡大にはつながらないかもしれないが、新たな政策や施策を考えた時には、行政が行っているパブリックコメントのように、広く意見を募ることを続けるべきだろう。そうして、国民の支持を得た政策が国会でも国民民主党を通して提案される。そうすれば、自ずと支持の拡大にもつながるだろう。そんなサイクルを上手く作っていきたいところだ。
まずは踏み出された第一歩。どのような意見が集まり、それに国民民主党がどのように応えるのか。その行く末にも注目したい。