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参議院議員選挙への準備始まる

 

 

 

次の参議院議員選挙まで、あと一年


 2013年の参議院議員選挙で当選した議員の任期は、2019年7月28日まで。この任期満了の日の前後で選挙が実施されることになる。


 ちなみに、平成に入ってからの参議院議員選挙の日程は以下のとおり。

 

投票日 投票率
1989年7月23日 65.02%
1992年7月26日 50.72%
1995年7月23日 44.52%
1998年7月12日 58.84%
2001年7月29日 56.44%
2004年7月11日 56.57%
2007年7月29日 58.64%
2010年7月11日 57.92%
2013年7月21日 52.61%
2016年7月10日 54.70%

 

この前の昭和期には、7月の最初の週か6月の最終の週が投票日とされていたが、平成に入ってからは、7月中旬以降に投票日が設定されるのが通例となっている。


 公職選挙法上は、任期満了の前30日以内に選挙が行われることになっているので、来年の今頃には、選挙も終わっていることが予想される。そして、参議院議員選挙が行われた際には、任期の始まる日から30日以内に臨時国会を召集することが国会法で定められているため、来年の今頃には、臨時国会が開かれているか、あるいは開こうとしているかという状況にあるはずだ。

 

 

2013年の選挙を振り返る


 2019年に改選を迎える参議院議員は、2013年の選挙で当選した議員たちだ。


 この時の選挙の主な政党の獲得議席数は以下のとおり。

 

自由民主党  65議席
公明党   20議席
民主党   17議席
みんなの党  8議席
日本共産党 8議席
日本維新の会 8議席

 

 

自民党が選挙区の1人区の大半を制し、民主党は選挙区では2人区など複数人区で議席を維持するのが精一杯という結果。自民党は30議席以上増やし、対してそれに近い数の議席を減らしたのが民主党であった。


みんなの党や日本維新の会は、この選挙で国会に一定の勢力を確保することになった。
 
 個別に候補者の顔ぶれを見ると、当選者もさることながら、落選した候補者に目を引かれる。


 例えば、自民党の比例代表では、次点の落選者に若狭勝氏の名前を見つけることが出来る。この後、2014年の総選挙で当選し、後に小池百合子都知事に誕生に一役買うことになる。


 議席を得ることが出来なかったみどりの風の比例代表には、谷岡郁子氏の名前を見つけることが出来る。今年、レスリングのパワハラ問題で志学館大学の学長として登場したあの谷岡氏だ。


 鈴木宗男氏が代表を務める新党大地は、鈴木代表が公民権停止中で立候補出来なかったことから、同姓同名の木材加工会社社長の鈴木宗男氏を擁立するという奇策を打った。新党大地も議席を得ることが出来なかったが、比例代表では同姓同名の鈴木宗男氏が最多得票の6万票ほどを得た。

 

 この選挙の時の落選組の中には捲土重来を期す者もいる。その中には、みんなの党の比例代表候補で落選した本田あきこ氏のように、来る参議院議員選挙では自民党から立候補を予定しているというふうに党を変えての再挑戦を目指すという例も見受けられる。


 もう5年も経つため、政界から去った人も少なくないが、来年、またどこかの党から立候補するという人もいることだろう。

 

 

野党はどう準備を進めるのか


 5年前の参議院議員選挙から、その構図は大きく変化している。民主党・みんなの党がなくなっているのだ。


 2013年の選挙で民主党かみんなの党から当選した議員は、その多くが民進党を経て、その後、いくつかの勢力に分かれている。
 
 その勢力のひとつである国民民主党は、7日に茨城選挙区で現職の藤田幸久氏を公認することを発表した。


 その他、立憲民主党は、日本郵政グループ労働組合や情報産業労働組合連合会の組織内候補の公認を6月の段階で決めるなど、主に比例代表での候補者の擁立を進めている。

 

 比例代表については、それぞれの支持団体を中心に、候補者の擁立を進めることになるのだが、問題は選挙区での候補者擁立であろう。現職の参議院議員がいる選挙区であれば、まずは現職優先ということで、その現職が国民民主党であろうが、あるいは立憲民主党であろうが、その議員を下ろしたり、対立候補を擁立したりすることは考えにくい。というのも、それは与党を利するだけだからだ。


早々と国民民主党が茨城選挙区で藤田氏に公認を出したのも、藤田氏が2人区の選挙区で議席獲得が有望な現職であるため。問題となるのは、現職のいない一人区やみんなの党が議席を得た埼玉・千葉・神奈川・東京・愛知・大阪といった3人以上の定数がある選挙区の行方である。


それぞれ、自民がまず一議席確保するのは容易に予想出来る。焦点は、残りの議席をどの政党が確保するのかだ。

 

2013年の埼玉・千葉・神奈川・東京・愛知・大阪選挙区の当選者所属政党

埼玉 定数3:自民・公明・みんな (民主)
千葉 定数3:自民・自民・民主 (みんな)
神奈川 定数4:自民・みんな・公明・民主 (共産)
東京 定数5:自民・公明・共産・無所属・自民 (民主)
愛知 定数3:自民・民主・みんな (共産)
大阪 定数4:維新・自民・公明・共産  (民主)

※括弧内は次点

 

このうち、埼玉選挙区は次の選挙から定数1増になる。自民党が二名の候補を擁立してくる選挙区もあるが、その場合は二人目の自民党候補とその他の政党の候補者が競い合うことになるだろう。


2013年と2019年では各政党が置かれた状況も異なり、支持の状況も異なることになるが、ある程度、野党が候補者を絞れば、その候補者の当選確率が上がるのは間違いない。2013年の東京選挙区は、民主党が候補者調整に失敗し、公認を得た現職候補と公認を得られず無所属で戦った現職候補が共倒れをしている。

 

立憲民主党と国民民主党。この両党にとっては、選挙区での候補者をどのように調整し、選挙戦へ向けた準備を進めていくのかが現下の課題であろう。

 

選挙準備には少しでも多くの時間と労力をかけたいところ。新人候補であれば、はやめに動き出して、自身の知名度を上げて選挙区での浸透を図りたいところである。


それぞれ参議院議員選挙を梃子に党勢の拡大を図りたいという思惑もあるだろうが、まずは与党から少しでも議席を奪い取ることが先決であり、調整や連携が出来るところは、早めに始めるべきである。国会が閉じている今こそ、その調整や連携を図り、臨戦態勢を固めるべきではないだろうか。