6日、大阪府大阪市は民泊の条例案の規制を強化する検討をしていることがわかった。住居専用地域や、小学校周辺などで一定の規制を設ける。
トラブルが急増 日本の民泊の現状とは?
大阪市のヤミ民泊施設で行方不明だった兵庫県の女性の遺体が見つかった事件で、大阪府は民泊に関する規制強化を検討。しかし、正規の民泊であっても治安悪化や、見知らぬ外国人が集団で出入りすることによる懸念、ゴミ・騒音トラブルなど、近隣住人からは不安の声が上がっていた。
民泊とは
民泊(みんぱく)は、旅行者などが、一般の民家に宿泊することを一般的に意味する日本語の表現であるが、特に、宿泊者が対価を支払う場合に用いられる。また、ホームステイと同義で用いられることもある。
ヤミ民泊とは
自宅の空き部屋などに有料で旅行客を宿泊させる「民泊」のうち、旅館業法上の届け出も民泊の認定も受けない状態で宿泊希望者を泊めること。
民泊が利用される理由は?
ホテルなどの宿泊施設に比べ値段が安い
民泊には他の旅行者と共同で宿泊するものや、空き部屋一室を借りるもの、一棟借りるものなどがある。環境や設備にもよるが一室であれば2000円程度、一棟でも8000円程度で宿泊先を探すことができ、価格の安さが人気となっている。
その土地の生活や文化を体感することができる
民泊ではホテルでは体験できないような、その国の暮らしを体験することができる。訪日外国人がベットではなく布団で寝たい場合は、事前に伝えておけば布団が用意してもらえたり、貸主と観光や交流をすることができる。
訪日外国人の増加でホテルが不足している
観光庁は2017年の訪日外国人が過去最高の2869万人であったことを発表した。訪日外国人の数は年々増加しており、日本各地でホテルが不足している。ホテルが埋まってしまい、宿泊施設が見つからない場合に民泊を利用する訪日外国人も多い。2020年の東京オリンピックでは、訪日外国人4000万人を目標としており現在各地でホテル建設ラッシュであるが、ホテルの従業員不足に対する不安の声も上がっている。
民泊を始めるメリット・デメリットは?
メリット
・空き家や、空き部屋を活用して利益を上げることができる
・宿泊前の掃除や最低限の家具など安い初期費用で始めることができる
・訪日外国人との交流ができる
デメリット
・ゴミ出しや騒音などのトラブルで近隣からの苦情を受ける可能性がある
・会話や予約のやり取りに外国語を使用する必要がある
・部屋の掃除が大変である
民泊を始めること自体に資格などは必要ないが、マンション管理業協会の調査では、会員企業が業務受託しているマンションでは8割が民泊を禁止していると発表した。
マンション管理会社でつくるマンション管理業協会は27日、会員企業が業務を受託しているマンション管理組合のうち、8割超が民泊を禁止したとの調査結果を発表した。民泊解禁が迫る中、トラブル発生や住環境悪化に対する強い警戒感が鮮明になっている。
国土交通省は平成30年6月から新たな制度を導入
国土交通省では住宅宿泊事業の届け出制度や、住宅宿泊管理業・住宅宿泊仲介業の登録制度などルールを定め民泊サービス普及を図る。住宅宿泊事業法は平成30年6月15日から施行予定である。
1.住宅宿泊事業者に係る制度の創設
① 都道府県知事への届出が必要
(年間提供日数の上限は180日(泊)とし、地域の実情を反映する仕組みの創設)
② 住宅宿泊事業の適正な遂行のための措置(衛生確保措置、騒音防止のための説明、苦情への対応、宿泊者名簿の作成・備付け、標識の掲示等)を義務付け
③ 家主不在型の場合は、上記措置を住宅宿泊管理業者に委託することを義務付け
④ 都道府県知事は、住宅宿泊事業者に係る監督を実施
※ 都道府県に代わり、保健所設置市(政令市、中核市等)、特別区(東京23区)が監督(届出の受理を含む)・条例制定措置を処理できる
2.住宅宿泊管理業者に係る制度の創設
① 国土交通大臣の登録が必要
② 住宅宿泊管理業の適正な遂行のための措置(住宅宿泊事業者への契約内容の説明等)の実施と1②の措置(標識の掲示を除く)の代行を義務付け
③国土交通大臣は、住宅宿泊管理業者に係る監督を実施
3.住宅宿泊仲介業者に係る制度の創設
① 観光庁長官の登録が必要
② 住宅宿泊仲介業の適正な遂行のための措置(宿泊者への契約内容の説明等)を義務付け
③ 観光庁長官は、住宅宿泊仲介業に係る監督を実施
各地でトラブルが相次いでいることから、民泊を規制する自治体もあったが、住宅宿泊事業法によって全国で民泊が解禁される。そのため今後は、自治体の条例制定が必要となってくる。