厚生労働省が公表している「毎月勤労統計」の調査で、従業員500人以上の事業所全てを調査しなければならないところ、実際には東京都内では約3分の1しか調査されていなかった。GDPの算出や雇用保険・労災保険の給付額の算出に使われている重要な統計である。厚生労働省は、ずさんな調査方法の経緯や影響を調べている。
毎月勤労統計とは?
厚生労働省が常用労働者5人以上の事業所を対象に毎月実施する調査。
毎月行われる全国調査と都道府県別に実施する地方調査のほか、年1回7月分として行われる常用労働者1~4人の事業所を対象とした特別調査がある。
調査の目的は?
毎月勤労統計調査の結果は、経済指標の一つとして景気判断や、都道府県の各種政策決定に際しての指針とされるほか、雇用保険や労災保険の給付額を改定する際の資料として、また、民間企業等における給与改正や人件費の算定、人事院勧告の資料とされるなど、国民生活に深く関わっています。さらに、日本の労働事情を表す資料として海外にも紹介されており、その重要性は高いものとなっています。
どのような影響があるか?
本来すべて調査しなければならない従業員500人以上の事業所の調査を3分の1程度しか行わなかったために、大きな事業所が少なくなり平均給与額が低く算出された。そのため、平均給与額に基づき給付水準が決まる雇用保険や労災保険で過少給付となった。その総額は少なくとも数億円になると見込まれている。
厚生労働省が「毎月勤労統計」を不適切な手法で一部調査していた問題で、同統計をもとに給付水準が決まる雇用保険や労災保険で本来より少ない額を給付されていた人が複数いることが8日、分かった。不適切な調査が2004年に始まったことも判明。厚労省が過少だった給付額や対象者を調査中で、不足分を追加で支払うことを検討している。
2019年度予算案にも影響!?
政府は、今回の不適切な調査が2018年12月21日に閣議決定された予算案に影響しないか関係省庁に調べるよう指示している。
政府は関係省庁に対し、19年度予算案に影響するものがないか調査するよう指示した。影響額の総額の精査を進めた上で予算案組み替えを最終判断する。厚労省は11日にも、これまでに判明した事実関係を公表する。
国会議員の反応は?
国民民主党 玉木雄一郎 衆議院議員
驚愕のニュース。GDPだけでなく、雇用保険や労災保険の給付額、そして、高プロの年収要件なども、毎月勤労統計を基礎に決められます。通常国会で、事実関係を明らかにしていきたいと思いますが、他の統計でも同じような問題がないか、全省庁をあげてチェックすべきです。 https://t.co/wcF7CWyTcp
— 玉木雄一郎 (@tamakiyuichiro) January 9, 2019
毎月勤労統計調査に問題があれば失業給付の額などが変わる。そうなれば閣議決定された来年度予算案の修正が必要になる。予算案の作り直しとなれば前代未聞。そもそも「毎勤」はGDPの要素となる雇用者報酬に影響するのでGDPや税収見積りも変わる可能性がある。とにかく大問題。 https://t.co/UFtnrFEXF4
— 玉木雄一郎 (@tamakiyuichiro) January 9, 2019
国民民主党 津村啓介 衆議院議員
日本経済の大問題。
— 津村啓介 (@Tsumura_Keisuke) January 8, 2019
消費税や働き方改革、次世代の社会保障を立案するための基礎データが間違っていました。
体温計である経済統計が狂っていれば、国家の基礎体力を見誤り、正しい処方箋が描けません。
経済最先進国として、GDP以下、経済統計の充実、整備が急務です。 https://t.co/FLjGX6a3Jy
国民民主党 源馬謙太郎 衆議院議員
これはまた深刻。
— 衆議院議員 源馬謙太郎 げんまけんたろう (@gemmakentaro) January 10, 2019
勤労統計データ、大きく変わる恐れ https://t.co/q4eOJ6WbT6
立憲民主党 公式Twitter
こういうことが現政権で多すぎませんか?全く反省してるように見えない。
— 立憲民主党 (@CDP2017) January 8, 2019
勤労統計、問題隠し公表 | 2019/1/8 - 共同通信
「厚生労働省が、対象事業所の一部しか調べられていないミスを認識しながら、問題を説明せず、正しい手法で実施したかのように装って発表していた」https://t.co/sSjZwYQvzF
日本維新の会 串田誠一 衆議院議員
これが事実なら入管法の基礎となっている統計にも関連してきます。法務委員会が閉会中審査をする予定になっていますが影響は必至。統計は議論の基礎であり立法事実を形成するだけに由々しき問題。偽造の認識があったかどうかをまず追及していきます。https://t.co/uqC9FHjEFK
— 串田誠一 (@ishinkushida) January 8, 2019
日本維新の会 足立康史 衆議院議員
雇用保険や労災保険で過少支給も 現時点で数億円規模か | NHKニュース https://t.co/A5qkh8DTVa
— 足立康史 (@adachiyasushi) January 9, 2019
問題が発覚した経緯については「すべての調査を行ったあとに発表する」として明らかにしていません。
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隠されていた理由とともに発覚した経緯が重要です。
無所属 小西洋之 参議院議員
不適切調査、組織的隠蔽の疑いも 昨年1月に手法を補正 https://t.co/D4RsBmNldH @YahooNewsTopics
— 小西ひろゆき (参議院議員) (@konishihiroyuki) January 10, 2019
またもや、安倍政権下での組織的隠ぺいとデータ改ざんが発覚。勤労統計の改ざんなどまともな先進国ではあり得ない話しだ。