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問われる野党の覚悟、カジノ実施法で実のある議論を

 

 

 

政権与党である自民党と公明党はカジノを含む統合型リゾート(IR)の実施法案について、全国の設置数の上限を3カ所とすることで合意した。

 

IRの実施法案をめぐり、自民・公明両党は3日までに全国で施設を「3か所を上限」にすることや、カジノへの入場回数制限を「週3回」とすること、本人確認でマイナンバーカードを使用することなどが合意事項だ。

 

入場料については、自民は5000円と主張したのに対し、公明はギャンブル依存症対策の観点から、シンガポール並みの8000円を主張。結局、両党が歩み寄る形で6000円という規制方針で合意した。

 

 

自治体の誘致合戦勃発

 

今国会で法案を成立させられるかは、まだ見通しは立っていないものの、国内に設置する数の上限、入場料など具体的な数字が出てきたことの意味は大きい。実際、報道を受けて、IR誘致の最有力候補地である大阪では、松井府知事は「入場料6000円は大きなハードルにはならない」とIR誘致への意欲を隠さない。

 

カジノ解禁をめぐっては、すでに全国の自治体が誘致に名乗りをあげている。広大で豊かな自然を活かしたリラックスできる空間を演出し、観光の拠点にもしたい考えを示している苫小牧市(北海道)や、中部国際空港から多くの外国人観光客を呼び込む計画を持つ常滑市(愛知県)が10年以上にわたってカジノ誘致について検討してきた。ほかにも九州では佐世保市(長崎県)がハウステンボス内にカジノをつくり、競合するリゾート施設と差別化を図りたい考えを示している。

 

 

万博誘致とセット論を唱える大阪

 

大本命はもちろん、大阪である。大阪は2025年の万博誘致とカジノ誘致セット論を打ち上げ、地元経済界と一体感もある。議会構成も大阪維新の会が安定多数を占めている上、安倍政権との距離も近く、大阪へのIR誘致の障害はないと見ていいだろう。この一年を振り返っただけでも、大阪におけるIR銘柄として知られる「櫻島埠頭」の株価はカジノのニュースが流れるたびに、株価は急騰してきたほどに、大阪へのIR誘致はほぼ既成事実となっている。

 

一方で、情勢が微妙なのが東京と横浜だ。東京都はこれまでカジノの誘致に非常に熱心だったのは周知の通りで、小池都知事も国会議員時代には積極的な姿勢を示していた。しかし、都知事選にはじまり、築地移転問題をめぐる一連のゴタゴタ、都議選などいくつかの政局の結果、小池都知事と政権の間には大きな隙間風が吹いているとされる。しかも東京湾は大型客船を着岸させることができない、という課題も抱える。

 

 

2017年の市長選が足かせとなる横浜市

 

横浜も簡単に見通せる状況にはない。小池都知事と犬猿の仲とされる菅官房長官もカジノ誘致には積極とされている。菅氏のお膝元は横浜市。そういう意味では東京に比べれば、横浜はカジノ誘致に一歩近いポジションにあると言っていいだろう。ただ、横浜は横浜固有の問題がある。2017年に行われた横浜市長選挙だ。現職の林市長はカジノへのスタンスを明確にしないまま3選を果たしたが、この選挙で2人の新人候補は揃ってカジノ反対を掲げており、この2候補の合計得票数は林市長の得票数と同程度となったからだ。「相撲に勝って勝負に負けた」と言われている所以だ。カジノは自治体の手上げ方式のため、横浜が自治体としてカジノ誘致に明確に意思を表明できるか、現状ではなんともいえない。

 

今国会で実施法が通るかどうかは現状ではまだ見通せないとされているが、法案の審議と、その先に待っている政局を見据えた野党の戦略は重要になってくるだろう。野党はカジノ基本法の審議では「反対」しているため、当然、実施法も「反対」だ。

 

まず、来年4月には統一地方選挙が待っている。北海道や横浜、大阪、長崎など当事者となる自治体で立候補する立憲民主党や希望の党、民進党の候補者が「カジノ反対」で足並みを揃えられるかは一つのポイントだろう。仮に、自治体によってカジノ誘致に賛成の候補者が出てくると、与党はその矛盾をついてくるはずだ。

 

政局のための反対か、それとも国民のための反対か
ここが野党の弱さ、といえる。国会議員の中にも隠れカジノ賛成派はいるとされており、政権与党と対峙するという目的のために、基本法では「カジノ反対」に回ったと議員もいたくらいだからだ。地方選挙の3ヶ月後には、参議院選挙もある。

 

このタイミングになってくると、単なる「反対」では野党も世論を味方につけることは難しいだろう。政局の走らず、国民の不安を一つひとつ、政策で解消することだ。おそらく、それが野党の唯一の戦略と言っていいだろう。

 

一番わかりやすいのは「ギャンブル依存症対策」だ。このギャンブル依存症対策について与党も野党も「しっかりやる!」と掛け声はかけるものの、中味が一向に伴わないのが現状である。「IR実施法案を通過させるための言い訳程度の対策作り」に必死な与党に対して、野党は「IR実施法案を通過させないために、ギャンブル依存症対策を進めさせない」という反対のための反対の姿勢に終始している。

 

 

反対のための反対は評価されない

 

これでは国会の古き慣習、日程人質作戦によって「法案審議を遅らせた」という事実によってのみ、野党はカジノと戦ったというパフォーマンスで世論を味方につけようとしているように見えても仕方ない。しかし、これでは実は取れない。与党がギャンプル依存症対策に真剣に向き合ってないからこそ、野党はその具体的な対応策を打ち出すべきだろう。どこを見て政策を打ち出すのか、訴えるのか、その姿勢こそが問われている。

 

 

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