霞が関から見た永田町

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水道法改正、入管法改正成立に考える正しい野党のあり方とは。反対のための反対はデメリットでしかない。

 

 

 

出入国管理法(入管法)改正に、水道法改正。2018年後半は、これからの日本を考える上で非常に重要な法案が改正された。改正プロセスにおける政権与党の進め方は確かに丁寧さにかけたし、入管法に至ってはまったく中身の煮詰まらないものだった。

 

ただ、一方で、この2つの法案は日本が今直面する課題の大きさを如実に物語るものであったのも事実で、政権はそこの説明が足りなかったし、もしかしたら、与党であっても国会議員は本当の意味で直面する課題の大きさ、本質的なヤバさに気づいていないのかもしれない。

 

 

気楽な野党


それは残念ながら、野党も輪をかけて顕著で、特に立憲民主党を中心に感情論に基づいた反対のための反対に終始していたのは、残念だ。

 

もし、「あれは反対のための反対ではなかった」とするのであれば、統一地方選、参議院選挙が目前に迫る中で、しっかりと論陣を張り、あるべき国家の姿を語るのが本来政党の役割だと思うが、残念ながら、そういう様子は見られない。ぜひ、ここは「つくろう、新しい答え。」を標榜する国民民主党こそ、語ってほしいところだ。反対のための反対の立憲民主党とのポジションの違いも明確なるというものだ。

 

 

地方の課題がぎゅっと詰まった2法案


さて、改めて、この2つの法案を振り返ってみよう。まず入管法。在留資格「特定技能」を2段階で新設し、「相当程度の知識または経験を要する技能」を持つ人に与える「1号」は最長5年の技能実習を修了するか、技能と日本語能力の試験に合格すれば得られる。在留期間は通算5年で家族帯同は認めない。農業や介護など14業種で受け入れを想定する。

 

とある地方都市選出の国会議員から、こんな話を聞いたことがある。「自分の選挙区の農家はもう外国人労働者なしには成り立たない。もっとほしいくらいだ」。

 

これは政権与党の政治家の言葉ではない。野党の国会議員の言葉だ。外国人労働者なしで成り立たないのは、農業に限らない。造船業や建設業なども、切実な問題となっている。ちゃんと選挙区を足で回っている政治家であれば、分かっているのである。不思議なことに、永田町にくると、この本音がどこかへ行ってしまう。世間の批判を浴びる仕事は与党に押し付けて、批判のパフォーマンスだけ繰り出して、上澄みの無党派層の票を取っていくという手法は感心しない。

 

 

地方はもう水道すら維持できない


だからこそ、「新しい答え」を作ろうと呼びかける国民民主党には期待したいのである。政府の考えが及んでいない部分を堂々と指摘し、改善策を提示してほしい。

 

これは水道法改正も同様だ。今、日本の社会インフラはものすごい勢いで老朽化が進んでいる。本来はユニバーサルサービスであるはずの水道も、その料金は全国で比較すると、10倍以上の格差が存在する。なにより老朽化する水道管をどうやって更新していくのか、は今後大きな社会問題になるだろう。財政的な理由から自前での更新を諦めるエリア、隣接する自治体と連携し広域化を測るエリア、様々な変化がこれから生まれてくるだろう。

 

反対のための反対だけをしている野党は気楽でいいが、実際にこうした社会インフラの維持・更新に対して責任をもたなければならない行政府は、胃のいたむ思いだろう。議員内閣制を採用する日本において、行政府の悩みは政権与党の悩みでもある。

 

 

国民民主党に期待する理由


ただ、水道法改正も入管法改正よろしく、政権与党の進め方に丁寧さは見られなかった。ここに野党のチャンスがある。反対のための反対なら、法案が通過するまでのパフォーマンスの見せ所だろう。しかし、そのようなやり方は90年代後半の古い政治だ。

 

今、国民が求めているのは、対案を示す、あるいはより良い改善策を示せる政党の存在だ。永田町を見渡す限り、その役割を果たせるのは、国民民主党か、維新の党くらいである。だからこそ、頑張ってほしいのである。今が踏ん張りどころだ。