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野党が提出した「行政監視院法案」 与党は法案審議に応じるべきだ

 

 

 

野党による法案提出

 

 国民民主、立憲、共産、社保、社民の野党各党・会派が共同で「行政監視院法案」(日本版GAO法案)を衆議院に提出した。野党提出の法案はなかなか審議されないため、この後、この法案が陽の目を見ることになるのか否か不透明だが、その内容は大変興味深いものである。「野党の出した法案など審議に値しない」とするのが与党の姿勢のようだが、この法案は間違いなく国会での審議に値する。是非、与党もおかしな面子に拘らずにこの法案の審議にあたって欲しい。
 あわせて、「野党は批判や反対ばかり」と冷ややかに見ている人たちも目を向けて欲しい提案であることも確かであり、法案の内容が周知されることを望む。

 

 

行政監視院法案の概要

 

 行政監視院法案は題名どおり、行政監視院を新たに設けるための法案である。
 行政監視院は、「必要な期間継続して国の行政機関等の業務について必要な監視をする」ことを目的とする。

 

www.dpfp.or.jp

 

 

 2018年12月に国民民主党が公表した国会改革新構想「国会改革の新しい答え」中間報告の中には、この行政監視院の構想があった。今回、その構想を法案に落とし込み、他の野党との連携も図って、国会への提出に至ったという流れだ。
行政監視院のイメージ図も作成されて、国民民主党のWebサイトで公開されている。

 

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行政監視院の活動イメージ

 

 

 行政監視院は国会に置かれ、各院の常任委員会や一定数以上の議員の要求に応じて行政監視や意見具申を行う。
 法律案の中では、第三章「権限」のところで、具体的にその活動のあり方が規定されている。法律案から抜き出すと、以下のとおりである。

 

・国の行政機関等の業務に監視等
・法律の制定又は改廃等に関する意見具申等
・資料の提出の要求等
・国民の意見等の把握等

 

 現在の安倍政権下では、森友・加計学園問題に限らず、行政機関においてこれまでにない不祥事が頻発している。公文書の改竄や廃棄、挙げ句は作成すべき文書を作成しないということまで行われている。つい先日もイージス・アショアの候補地選定に関わる資料に重大な誤りがあった。

 

www.ksmgsksfngtc.com

 

 そういう行政機関の業務の監視を行うというのが任務の第一に置かれている。
 資料提出の要求も重要な機能だろう。報じられることは少ないが、野党が要求しても各府省が資料を出し渋るということも頻発している。国会議員が求めても出してこない資料を、行政監視院が求めれば出してくるのかという議論はあるだろうが、国会に置かれた機関による資料提出の要求を法律で明確に位置付けることの意義は大きい。

 

 

日本版GAOの創設へ向けて

 

 行政監視院法案は、別名「日本版GAO法案」とされている。
 GAOとは、アメリカ連邦政府の「Government Accountability Office」のことである。日本では、このGAOを「会計検査院」と訳すこともあり、日本にも会計検査院があることから、日本版GAO法案とすると、もうひとつ会計検査院を作るのかとの誤解を招きそうだが、そうでない。
 先にあげた図にもあるように、会計検査院の協力も得ながら行政監視院はその活動を行うことが予定されている。

 

 アメリカのGAOは、連邦政府の業績向上やアメリカ国民の利益に関わる連邦政府のアカウンタビリティの確保に資するための活動を行うこととされている。
 GAOは設置当初は、「General Accounting Office」であり、財政支出に関する管理の適正化を目的として会計検査業務を行う機関であった。その後、2004年に現在の名称である「Government Accountability Office」に変更され、その任務も会計検査業務をこえて、政府の業績検査も行うようになっている。

 

 日本版GAOの設置を目指すということは、政府の業績向上やアカウンタビリティの確保が目的とされるということだ。
 国民民主党の原口一博議員も「国会議員による行政監視を補佐し、政府に説明責任を果たさせるための大きなツールになる。」と語っている。

 

www.dpfp.or.jp

 

 国民にとって必要と思われる機関の設置を目指すものであり、野党からの提案を与党は真摯に受け止めて、早期の国会での審議と法案成立を強く望みたい。