学校法人「森友学園」国有地売却取引に関する決裁文書書き換え問題について、財務省は、14件で書き換えがあったことを認めた。昨年2月以降に問題が発覚して以降、国会答弁との整合性をあわせるため財務省理事局の指示で行われたと認定した。書き換えが行われた箇所には、「本件の特殊性」や複数の政治家、安倍首相夫人・昭恵氏に関する記述が含まれていたという。
森友学園問題に関する時系列まとめ
2012年
・1月 問題の土地を、大阪音楽大学が最大7億円での購入を希望したが、財務省近畿財務局は時価9億円超での売却を希望し、大阪音楽大学側は土地の購入を断念
2013年
・4月 問題の土地の地下3mにゴミや汚染物等が発見され、土地が汚染区域に指定
・6〜9月 国土交通省大阪航空局の依頼を受けた財務省近畿財務局が売却先を公募
・9月 学校法人「森友学園」が土地の取得を要望
2015年
・5月 近畿財務局が森友学園と10年間の定期借地契約と期間内の売買予約契約を締結
・7～12月 森友学園は地下3mのゴミや汚染土等を撤去し、汚染区の指定が解除される
2016年
・3月 森友学園は建設工事中にさらに深部からゴミや廃材等の地下埋設物が発見された事を報告
・3月 森友学園側が土地の購入を申し入れる
・3月 地下3mまでのゴミ撤去費用を国が負担する合意書が森友学園側と財務省側で交わされる
・4月 当初から確認されていたゴミ撤去費用として、国から1億3176万円を森友学園側に支払い
・4月 大阪航空局が新たなゴミ撤去費用を8億1900万円 と見積もる
・6月 大阪府豊中市の国有地を森友学園が1億3400万円で購入（土地の評価額9億5600万円に対し、ゴミの撤去費用8億1900万円を差し引いた額）
2017年
・2月 森友学園が大阪の国有地を適正価格の1割程度で購入していたことが報道される
・2月 安倍首相が国会で自身や昭恵夫人の国有地売却への関与を否定
・2月 理財局長として佐川宣寿が、国会で森友学園との国有地売却に関する交渉記録について「破棄した」と答弁
・3月 森友学園が小学校の設置認可申請を取り下げ、籠池泰典理事長の辞任の意向を伝える
・3月 学校用地として土地を売却した政府は土地を買い戻す方針と表明
・8月 籠池夫妻と財務省近畿財務局の国有財産統括官・池田氏の交渉音声データが報道
2018年
・1月 財務省近畿財務局が学園との交渉を内部で検討した文書が情報公開請求で開示され、佐川氏の答弁への疑いが強まる
・3月 国有地取引に関して財務省が作成した決裁文書が書き換えられたとされる疑惑が浮上
・3月 財務省近畿財務局で森友学園への国有地売却を担当していた職員の赤木俊夫氏自殺
・3月 政府は財務省による文書の書き換えを認める
・3月 8億円値引きの根拠となる、ごみ撤去費の算出に関わった業者が、記載は過大だったと報じられる
何が問題となっているのか？
安倍首相・昭恵夫人の関与は？
安倍昭恵夫人は、問題となった土地で建設予定となっていた小学校で名誉校長を務めており、小学校のサイトでは昭恵夫人の顔写真とあいさつ文が掲載されていた。しかし、安倍首相は2017年2月24日の国会で「妻が学校法人で講演する際、待合室で『名誉校長になってください』と頼まれて断ったが、その後、突然、籠池理事長から講演の場で紹介されて拍手され、『引き受けてもらわないと困ります』と言われて、最終的には受けることになった」と説明している。しかし、籠池理事長は、「事前に承認してもらった」と両方での説明に食い違いが起きている。
安倍昭恵氏はなぜ、名誉校長に就任したのか 首相と森友学園、食い違う双方の言い分 （BuzzFeed Japan） - Yahoo!ニュース
土地売買の過程で便宜が図られたのではないか？
問題となった土地には当初10億近い評価額がつけられていた。そのため、大阪音楽大学は土地の購入を断念している訳だが、森友学園が購入を進めて以降、廃棄物の撤去費用など8億1900万円ほどを値引きを受けており、森友学園の支払う額は相場の1割程度となった。もちろん廃棄物の撤去費用に多額の費用がかかるはずだが、撤去費用の見積もりをおこなった大阪航空局は、「ごみの撤去費を算定したことはない」と答えており、8億1900万円の算出方法に疑いがかけられており。総理大臣夫人が名誉校長を務める学校に、官僚たちが忖度したのではないかと疑われている。
ごみ撤去費、大阪航空局に算定経験なし 森友学園問題：朝日新聞デジタル
文書に書き換えがあったのか？
学校法人「森友学園」への国有地売却に関する決裁文書を巡る疑惑で、財務省は１２日午前、文書に書き換えがあったと認める調査結果を自民、公明両党に報告した。
決裁後の文書書き換えが行われた箇所には、複数の政治家の名前や「特殊性」などの記述、森友学園の籠池前理事長の発言として安倍昭恵氏の名前も含まれており、書き換え後には削除されていた。国会に提出された文書が改竄されることは前代未聞であり、今後野党はさらに反発されることが予想される。また、与党内からも政権への影響を危惧する声が上がっており、麻生大臣、安倍首相の進退についても注目される。
