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佐川氏の答弁では安倍首相や昭恵夫人の関与は否定出来ていない

 

 

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丸川議員による印象操作


 27日、前国税庁長官で前理財局長でもある佐川宣寿氏の証人喚問が行われた。
 予想されたとおり、佐川氏は文書の改竄に関わるような質問に対しては、ほぼ全て「刑事訴追のおそれがあるので、答弁を差し控える」という答弁が繰り返された。

 

 今回の証人喚問については、NHKがWebサイト上に全てのやりとりの文字情報を公開している。ここでは、このサイトを参照しながら、佐川氏の証人喚問で分かったことを確認したい。

 

www3.nhk.or.jp

 

 

 何より今回の証人喚問では、午前中の参議院で冒頭の金子参議院予算委員長の質問に続いて質問に立った自民党の丸川珠代議員による印象操作が見事に決まったと言える。その結果、報道では次のように報じられることになった。

 

 「佐川氏、首相や首相夫人、官邸の関与を明確に否定」

 

 これにより、佐川氏が野党の追及を交わしたかのような印象が既に作られている。

 しかし、丸川議員と佐川氏のやりとりは注意深く見る必要がある。
 佐川氏が明確に否定したのは、まず改竄の指示の存在についてである。改竄に関わるような質問に対しては、ほぼ全て刑事訴追のおそれを理由に答弁を拒否しながら、外部からの改竄の指示については明確に否定したのだ。丸川議員は丁寧に安倍首相や麻生総務大臣らを次々とあげて、改竄の指示があったのかを質し、その全てに佐川氏は否定してみせたのである。

 

youtu.be

 

 

 その繰り返しの否定が強く印象に残り、さらに丸川議員は質問の終わり際に、「少なくとも今回の書き換え、そして森友学園の国有地の貸し付けならび売り払いの取り引きについて、総理、総理夫人、官邸の関与がなかったということは証言を得られました。」と、必ずしも正確に佐川氏の答弁をなぞらないまとめ方をすることで、佐川氏が首相らの関与を否定したかのような印象操作が行われることになったのだ。

佐川氏は、森友学園との国有地売却の交渉に関して安倍首相や昭恵夫人らの関与があったのかという点について、それを否定はしたが、それには重要な留保をつけており、丸川議員のまとめは完全にミスリーディングである。

 

 

佐川氏がつけた重要な留保


佐川氏は以下のように答えている。

 

 「昨年の国会答弁を通じまして、公的取得要望から始まって貸付契約で売り払い契約の経緯について勉強もし、局内でもいろいろ聞いてですね、その過去のものを見ておりますけども、その中では一切、総理や総理の夫人の影響というのがあったということは、私はまったく考えておりません。」

 

 経緯について勉強し、局内でも聞いた限り、そして「考えている」という留保をつけているのだ。つまり、佐川氏が見聞した範囲内では関与は確認出来なかったと言っているのであり、これは単に「自分では見つけることが出来なかったので、それはないのではないか」と言っているに過ぎない。


 もしも安倍首相らの何らかの関与があったとしても、それが文書に残っていなかったり、関わった職員が佐川氏に話さなかったりすれば、それまでである。この場合であっても、上記の佐川氏の答弁は矛盾せず、例えば偽証罪に問われるようなこともない。
丸川議員やマスコミは佐川氏のつけた留保をなかば無視して、「関与を否定」の部分を強調しているのだ。

 

 午後の衆議院での証人喚問では、希望の党の今井雅人議員が次のような質問を行っている。

 

 「そのときの取引に関わったいろんな職員の皆さんに、全員聞き取りでヒアリングされましたか。そういう安倍昭恵夫人ということを意識していたかどうかという。」

 

 この質問に対して、佐川氏はそのようなヒアリングは行っていないと答えている。どの程度のヒアリングを行ったのか定かにはならなかったが、佐川氏が確認した範囲内では関与の証拠は見つからなかったと答えているに過ぎないのである。
結局のところ、佐川氏の答弁だけでは、森友学園との取引に関して安倍首相や昭恵夫人の関与があったのかどうかは判然としないのだ。

 

 

与党の公明党ですら、佐川氏が改竄に加担したとの認識を示す


 今回、衆参両院で行われた証人喚問で、その冒頭には与党議員が務める委員長もいくつか質問を佐川氏に対して行っている。例えば、衆議院では、自民党の河村健夫衆議院予算委員長が次のような質問を行っている。

 

 「当該国有地の貸付契約及び売買契約に関する決裁文書の書き換えの経緯及び、佐川証人の関与の有無についてお答えください。」
 「決裁文書の書き換えが行われた理由についてお答えください。」

 きわめて核心を突いた質問であるが、それらについても佐川氏は答弁を拒否している。

 

 改竄に関する自身の関与や財務省内の動きに関する質問に対しては、佐川氏は軒並み答弁を拒否したことから、与党である公明党の竹内譲議員をして、答弁を行わないということは佐川氏も改竄に関与していたということなのだろうという認識を表明している。


 無所属の会の江田憲司議員も次のように語っている。

 「いや佐川さんね、本当に丸川委員への答弁、その後も何度も確認されて、この改ざん問題については一切どなたも関わっておりませんと言う断言なんですよね。しかしね、もし仮にあなたがこの改ざん問題に関与してないとすればね、そんな断言答弁はできないでしょう。これは、まさにあなたがこの改ざん問題に関与してるっていう自白をしてるのと同じではありませんか。」

 

 改竄に関わる事柄について答弁を拒否し続けることは、かえって佐川氏の改竄への関与を強く疑わせることにつながった。


 この証人喚問では、明らかになったことは確かに少ない。ただし、佐川氏の答弁だけでは安倍首相や昭恵夫人の森友学園との交渉への関与は否定出来ていないことも確かだ。そして、重大な点として、佐川氏が改竄にかなりの程度関与していたということはほぼ確実になったと言える。


 これだけでも、麻生財務大臣や福田淳一財務事務次官の監督責任を問うには十分過ぎる事実である。

 この後、与党や一部のマスコミは森友学園問題の鎮静化を図ろうとするだろうが、財務省における文書改竄については、その責任者もほぼ明確になったところであり、その責任の追及と再発防止策が求められるところである。


 相変わらず森友学園問題に拘るのかとの批判もなされるだろうが、この証人喚問の結果も活かしながら、野党には過ちを正すための活動を続けて欲しいところである。

 

 

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