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党首討論に国民民主党の本気を見た

 

 

 

約1年半ぶりに行われた党首討論。立憲民主党にとっても、国民民主党にとっても、結党以来初めての党首討論となった。新聞各紙は「答えになってない」「議論は平行線」などと報じたが、果たして本当にそうだったのだろうか。


本コラムでは、これまで度々、国民民主党の政策は筋が良さそうだと書いてきた。玉木代表が打ち出した、「対決ではなく対案、解決」というメッセージはこれからの野党の方向性を示したものとして評価してきた。

 

 

言行一致となるか、国民民主党


ただし、「言うは安く、行うは難し」。現実の問題として政党支持率が低迷すれば、選挙という現実の前に手っ取り早く支持率が欲しくなるのが政治家の性。それが正しい戦略なのかどうか別として、テレビでの露出を狙って政局に走る、というのがこれまでの野党だった。

 

政党支持率が低く、厳しい船出となった国民民主党もいくら代表が「対決より対案、解決」と言ったところで、政局に走る恐れは十分にあったし、今でもその可能性は残っている。

 

 

政局に走らなかった玉木代表


そういう意味で、今回の党首討論は一つの試金石といってよかっただろう。立憲民主党や共産党はあいも変わらず、モリカケ問題をほじくり返したのに対して、玉木代表が堂々と政策論争を挑んだのは対照的だった。「わが国はアメリカの重要な同盟国で、総理も『(アメリカと)100%共にある』と言っているが、事前通告なくしてこういうのをやられたら、同盟国と見なされていないのではないかと疑わざるをえない」と厳しく突っ込んだ。

 

日本が米国から自動車関税制裁などの圧力をかけられた失態に苦言を呈したことは、安倍政権の政策的かつ本質的な弱点を突いたといっていいだろう。これは政局ではなく、まさに安倍政権との政策論争で、持ち時間はわずか15分足らずだったとはいえ、非常に見応えのある討論となった。事実、立憲民主党や共産党との討論の時とは安倍首相の表情も真剣だったように見受けられたし、党首討論が終わると首相から玉置代表に歩み寄って握手をする場面も見られた。

 

 

政局を好むのは政治部記者


このシーンを虚心坦懐に見ることのできない層、ストレートに言ってしまえば、政策より政局、安倍政権を打倒することが目的になってしまっている有権者には、安倍政権擦り寄りと映ったようだが、残念ながら、その目は曇っていると言わざるを得ない。

以前にも本コラムで書いてきたことだが、テレビも新聞も政治部記者そのものが政局を好む。かつて、みんなの党が全盛期のころ、幹部の国会議員が「政策論争をやっても、メディアが報じてくれない」と嘆いてたほどだ。

 

しかもメディアが党首討論を報じる際には、基本的には政党支持率に応じてニュースなり、新聞記事の尺が決まる。従って野党の取り上げ方も立憲民主党、共産党、そして国民民主党という順番になるし、立憲民主党も共産党もモリカケ問題の追及に終始したため、メディアはその線で報道した。せっかくの国民民主党の政策論争はほとんど報じられることはなかった。

 

 

目立たないがいいスタートを切れた国民民主党


しかし、それでいい。同党が我慢することさえできれば、政党支持率が低い今の時期に、しっかりと政策論争を展開しておくことは将来の飛躍に向けた、大きな土台になることだろう。そういう意味で、玉木代表は自分が言ってきたことをしっかりと実践に移したことの意味は大きい。

 

野党といえば、なんでも反対と思われていた中で、中身のある政策で討論した姿勢は仮に報道されることなかったとしても、記者の目にも変化の兆しとして映ったに違いない。だからこそ、安倍首相も玉木代表と国民民主党の姿勢に敬意を表したと見るべきだ。この姿勢を貫いていけば、次第に国民民主党は有権者の支持を集めるようになるだろう。なんといってもコンテンツ(政策)はいいのだから。国民民主党はいい船出をした。