霞が関から見た永田町

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臨時国会は開かれるのか?

 

 

 

臨時国会に提出する法案?

 

 「政府が秋の臨時国会に提出を検討する法案や条約の概要が8日、判明した」と産経新聞が報じた。

 

www.sankei.com

 

 

 もちろん、法案や条約の概要が発表されたわけではなく、そもそも臨時国会を開くこと自体が確定したわけではない。記事には、「判明した」とあるので、記者が取材を通して、政府関係者からそのような情報を得たということだろう。


 いずれにしても、突然臨時国会を開くので法案を準備しろと言っても、直ぐに準備できるものばかりではないため、各省庁は臨時国会が開かれることを前提に一定の準備を進めており、その情報が記者に漏れ伝わってきたというのが実情だろう。

 

 

目玉法案は「デジタルファースト法案」?

 

 記事には、目玉となるのが「デジタルファースト法案」であるとも書かれている。このデジタル法案についてはこれまでも論じてきた。

 

www.ksmgsksfngtc.com

 

www.ksmgsksfngtc.com

 

 

 産経新聞の記事の書きぶりを見ると、結局のところ、行政手続や公的性格の強い民間サービスについて、それらのオンライン化を推進する法案になりそうな雰囲気である。これでは、これまでも日本政府が進めてきた電子政府・電子行政の取り組みの焼き直しに過ぎないと言わざるを得ない。


 まだ法案が準備されている段階なので、即断は禁物だが、目玉法案とされるものがその程度の出来では、他の法案はさらに冴えないものなのではないかと危惧してしまう。

 

 

国会のスケジュールまで明らかになっているのか?

 

 さらに、産経新聞の記事には、次のような一文がある。


「外国人人材受け入れに関しては、入管難民法と法務省設置法の改正案を提出し、11月末までの成立を目指す。」


 気になるのは、「11月末」と期限が明確にされている点だ。臨時国会については10月26日に召集する方向で調整しているとの報道もある。

 

www.chunichi.co.jp

 

 

 10月末に召集して、11月末までの成立ということであれば、冒頭から入管難民法と法務省設置法の改正案を審議するくらいのイメージで動く必要があるので、むしろ、目玉法案はこちらなのではないかと思ってしまうが、外国人人材受け入れについては特に安倍総理を熱心に支持するような層には受けが悪いので、あえて前面には出したくないという思惑もあるのかもしれない。

 

 思えば、去年は臨時国会冒頭での解散という奇策を安倍総理は打った。「国会から逃げる」安倍総理の面目躍如の解散劇であったが、本年は果たして、どうなのだろうか。

 

www.ksmgsksfngtc.com

 

 

 相次ぐ大規模な自然災害にあたって、臨時国会を早期に開催して補正予算を編成するべきであるとの提案が既に野党からもなされている。しかし、安倍総理はなかなか臨時国会について言及しようとしない。


 果たして、本当に臨時国会は開催されるのだろうか。

 

 

それとも改憲案の提出か?

 

 そういえば、8月に安倍総理は、次の臨時国会で憲法改正案を提出するとの意気込みを示していた。

 

www.news24.jp

 

 

 もしも憲法改正案が提出されるとなれば、「デジタルファースト法案」どころの騒ぎではない。間違いなく、報道も憲法改正案一色になるはずだ。


 この憲法改正案が本当に提出されることになるのかどうかは、何とも言い難いところはあるが、まずは自民党の総裁選挙の結果がひとつの判断基準となるだろう。安倍総理の圧勝となれば、憲法改正案提出へ向けて一気呵成に進めていくことが予想される。一方で、思ったほどの差をつけることが出来ずに安倍総理の勝利となれば、さすがに慎重にもなるだろう。もちろん、石破氏が勝利すれば、拙速に改正案を提出するということにはなりにくい。

 

 総裁選挙における安倍総理有利との情勢判断から、既に安倍総理の勝利を想定して、臨時国会開催へ向けた準備が着々と進められているということだろうが、安倍総理の続投となれば、場合によっては憲法改正案が提起され、大きな日本の政治の転換点となる臨時国会になる可能性もある。

 

 

野党は臨時国会に備えよ

 

 臨時国会が召集されるかどうか未確定ではあるが、野党は召集されることを想定して準備を進めるべきである。「デジタルファースト法案」のように既に報道されているような法案については、野党としての立場を明確にし、可能な限り対案を準備しておきたい。もちろん、憲法改正案が提起されることも想定して、その対応には万全を期すべきである。


 臨時国会の冒頭から、野党が議論をリードするくらいの心構えで、ことに臨んで欲しいものである。