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激戦が予想される盛岡市長選挙 求められるのは市民を主役にして市政の課題を解決出来るリーダーである

 

 

 

8月25日は盛岡市長選挙

 

 統一地方選挙や参議院議員選挙と大型選挙が終わって、選挙は一段落といったところだが、各地域ではまだ重要な選挙を控えているところがある。
 そのひとつが岩手県の県庁所在地の盛岡市だ。今月末の25日に市長選挙と市議会議員選挙の投票日を迎える。
 先の参議院議員選挙で岩手選挙区は野党候補が勝利しており、野党に勢いがある。そういう中で、市長選挙では、これまで自民党が支援してきた現職の谷藤裕明市長が5選を目指して立候補を表明。さらに自民党の県議会議員である福井誠司氏、前回の市長選挙で谷藤氏に惜敗した内舘茂氏も立候補を表明しており、激戦が予想されることから、注目を集めている。

 

 

谷藤市長の5選には強い疑問が残る

 

 昨今は首長の多選はそれ自体批判されることも多いが、5選を目指す現在69歳の谷藤市長。多選や年齢だけではなく、これまでの市政運営を見ても、今回の選挙戦では各方面から批判を浴びることは必至だ。

 

 そもそも、出馬表明は市議会での一般質問に答えるかたちでなされたが、その際にあげた使命が何とも残念なものだった。

 

www.sankei.com

 

 曰く、「新しい時代を迎えて、さまざまな変化が起き得る中で、これまでの経験を生かし、変化に対応していくことが求められているものと存じておりますし、新しい時代を切り開くためにも、現在手がけている新産業等用地の整備や盛岡バスセンター再整備事業の推進、道の駅の整備、盛岡南公園野球場の整備などをやり遂げることが私に課せられた使命であるものと存じております。」と。
(盛岡市議会平成30年12月定例会 菊田隆議員の質問に対する答弁)

 

 現在手がけている事業をやり遂げるために引き続き市長の職にありたいと言うのである。いずれも、たとえ市長が代わっても成し遂げられる事業のように思われるところで、果たして谷藤市長の5選が必要とされる理由になるのだろうか。

 

 これまで4期、市長を務めてきた谷藤氏。目の前でも問題山積であり、5選を目指すのであれば、その問題に正面から向き合う必要があることは論をまたない。

 

 

盛岡市が直面する課題

 

 岩手県の地元紙である河北新報が市長選挙と市議会議員選挙に向けて、「<さまよう民意>盛岡市長選・市議選を前に」という記事を出している。

 

www.kahoku.co.jp

 

www.kahoku.co.jp

 

 

 ここで取り上げられているのが「新ごみ処理施設の整備」と「岩手公園PFI」である。いずれも、住民不在と言われても仕方がないような状況で、事業が進められようとしている。
 河北新報の記事の最後は、「取り巻きの賛意だけで岩手公園PFIを進める盛岡市に、この声は届くだろうか。」で締められているのだが、谷藤市長が5選を目指すのは、これまでの4期の間に形成されたその取り巻きのためだとしたら、大変由々しき事態である。市政の一新が求められると言えそうだ。

 

 その岩手公園PFI。これは、民間資金を活用して公園の整備と合わせて商業施設の整備を行うものである。これ自体は、「公募設置管理制度(Park-PFI)」を活用するものであり、それこそ成功すれば全国的にも注目されることになる事業だ。ただ、岩手公園は盛岡城跡公園であることも忘れてはならず、盛岡市の歴史や文化を考えれば、公園の整備や商業施設の整備にあたっては城郭の眺望の確保といったことが必須となるはずだ。しかし、その眺望の確保が等閑にされ、城の石垣が隠れてしまうような計画が進められようとしているというのである。

 

www.kahoku.co.jp

 

 ちなみに、その城郭の眺望の重要な一部分を成す城の石垣。これは市長選挙に立候補を表明している福井氏が公約を「イシガキ構想」と名付けていることからも分かるように、盛岡市民にとっては極めて大切なものであるはずだ。それが等閑にされようとしているのである。

 

 さらに、これはそのノウハウを持つ事業者が地方都市には少ないという事情が関係しているのだが、この岩手公園PFIを担うのは東京の事業者である。
 城郭の眺望が等閑にされそうな件も、ともすると、その事業者が東京の企業であることと関係しているのかもしれない。言ってしまえば、そこには盛岡市民が不在なのだ。
 市民不在では、まちの抱える課題は一向に解決されないことは、河北新報の記事でも強く指摘されているとおりである。

 

 

盛岡市の課題解決を進めるリーダーを

 

 谷藤市長はこれまで4期16年、盛岡市政を担ってきた。まずは、その総括が必要だと思うが、そういう声は谷藤市長自身からは聞こえてこない。
 それもそうだろう。盛岡市は、この間、停滞に喘いでいると言って過言ではないからだ。だからこそ、例えば岩手公園PFIのような事業が捻り出され、何としても再活性化をと模索されているのである。

 

 では、盛岡市が直面する課題とは何か。それは、前回、谷藤市長と選挙戦を戦った内館茂氏のWebサイトで的確にまとめられている。

uchidate.net

 

 そこに掲げられている課題は、誰が市長になったとしても次の4年間に直面するものである。その課題に対して、どのように対応するのか。内舘氏は課題と合わせて、その解決策も提示している。
 対して、その課題は谷藤市政16年間で解決出来なかった課題とも言えるため、谷藤市長からその対応策が語られることはないのかもしれない。そうだとすると、もし谷藤市長の再選となれば、さらにこれからの4年間、盛岡市政はその課題には向き合わないまま進んでいくことになりかねない。
 今求められているのは、市の課題を的確に把握し、盛岡市民30万人とともに、その解決に当たることのできるリーダーの存在である。