12月19日、厚生労働省の有識者検討会は、会社員の副業を推進するためのガイドラインをまとめた。
働き方改革で副業・兼業を可能に
副業・兼業が可能な企業の割合は?
2015年2月発表の政府の調査では、副業・兼業を認めている企業は約15%であった。最近の民間調査では、中堅企業は約33%が副業・兼業を認めているという結果が出た。中小企業に比べ、大企業では取り組みが遅れている。
また、副業や兼業の禁止は就業規則であり、労働関連の法律では禁止されていないうえ、法律上は企業は副業を全面禁止にしてはいけない。
副業と兼業の違いは?
副業は、本業に重点を置きながら行う仕事。兼業は本業と同じ労力で行う仕事である。兼業農家のように平日は会社勤務、休日は農業というような働き方をすること。
副業・兼業のメリット・デメリットは?
メリット
社内では得ることができない知識やスキルを身につけることができる
本業の以外の仕事をすることで、普段得られない知識やスキルを身につけることができ、本業に生かすこともできる。
所得を増やすことができる
所得を増やすことで、個人の消費を促進することができる。また、終身雇用や年金に対しての不安を軽減することができる。
デメリット
本業が疎かになる可能性がある
副業・兼業により労働時間が長くなると、精神的、体力的に疲労が溜まり、本業に支障が出る可能性がある
法定労働時間を超える可能性がある
労働基準法で定められている法定労働時間は、原則として1週間40時間、1日8時間である。副業や兼業で労働時間がのびると法定労働時間を超えてしまう可能性がある。
情報漏えいのリスクが高まる
副業を行うことで、顧客情報や本業の会社に関する情報など情報漏えいのリスクが増えてしまう。また、競合他社で副業した場合、本人のスキルなども流出してしまう。
副業・兼業推進の目的とは?
労働者が社内では得ることができない知識やスキルを身につけることで事業機会の拡大につながる。インターネット等を介して会社以外の場所で業務を行うテレワークなど、働き方が多様している中で、働き方改革の一環で副業・兼業を推進している。
海外では副業・兼業は認められている?
アメリカでは、副業をしている人が多い。また、フリーランスで働く人が日本よりもかなり多い。インターネットにより、フリーランスの価値が明確になったことや、スマートフォンなどで場所を選ばず仕事ができるようになったことが理由である。また、自分の生活を自分でコントロールしたいという人が多く時間などの融通が利くフリーランスとして働く人が多い。
中国でも副業を行う人は多い。最近ではライドシェアのサービスで、空き時間に自家用車を使ってタクシー業務を行っている。
中国の大手ライドシェア企業 滴滴出行
滴滴出行(ディディチューシン)(発音 [tɨ́tɨ́ ʈʂʰúɕɪ̌ŋ])(旧 滴滴快的(ディディクワイディ))は北京市に本社を置く中国の大手ライドシェア(相乗り)企業。中国の400都市の4億人以上のユーザーへ交通サービスを提供している。
経団連はさまざまな課題を懸念している
厚生労働省は、副業・兼業を認めるガイドライン案を示しているが、日本経済団体連合では情報漏えいなどのリスクなどさまざまな課題から推奨できないと述べている。