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玉木代表「民主党のババを僕は引き受ける」vs枝野代表「民主党政権の失敗した当事者でもう一度」

 

 

 

これほどまでに野党トップの方向性がはっきりと分かれたコメントはこれまでになかったかもしれない。国民民主党も立憲民主党も、源流を辿れば、元民主党。同じ母屋だった2つの政党が昨年の希望の党への合流騒動を機に、一気に流動化し、今は2つの政党へ分裂した。

 

連合もUAゼンセンや自動車総連、電力総連、JAMなど旧同盟系の産別労組が国民民主党を支持し、自治労、官公労、日教組など旧総評系の産別労組が立憲民主党を支持するなど、股さき状態ではあるが、直接喧嘩をしたわけではない地方議員の中には、今でも「立憲と国民は合流して一つの野党としてまとまっていく動きになるのではないか」と淡い期待を寄せる人もいる。

 

 

過去への反省を口するトップとしないトップ


しかし、だ。国民民主党の玉木代表も、立憲民主党の枝野代表も、その気はさらさらなさそうだ。両代表の発言を少し分析してみよう。

まず、野党第一党の枝野代表から。11月4日、TBSが枝野代表の都内での講演の様子を報じた。報道によると、枝野発言は次の通りだ。

 

「民主党政権時代に失敗した当事者と、もう1回政権交代をする。あのとき、失敗の当事者意識をもっている人間が現役で最前線でやっている間に、もう1回政権交代をする。そして今度は、少なくとも政権運営という意味では成功させる。その責任が私はあると思っている。民主党政権時代の顔ぶれじゃないほうがいいという人もいるが、当時の政権中枢部などの当事者でもう1回政権交代をしないと同じ失敗を繰り返す」。

 

枝野代表の発言を有権者がどう受け止めるのか、分からない。分からないが、民主党の政権運営は明らかに失敗だったし、今だにその総括はなされていない。「何も決められない民主党」というレッテルが貼られ、民主党政権は右往左往した。あの様子は多くの国民の脳裏に焼き付いているし、その反省に立った、次のステップが望まれているという意味では、枝野代表の発言は有権者の心理を理解してないように見える。

 

 

肚を見せた国民民主党


一方、国民民主党の玉木代表はまったく逆の立場を取る。玉木氏は「民主党政権の失敗のババを引き受ける」と潔い。あの失敗を総括しないことには国民感情が許さないし、自分たちも過ちを認めるところからスタートすることで、まったく新しいイチからスタートを切ろうというものだ。

 

玉木代表は世論を理解しているように思う。彼はあるインタビューでこうも答えている。「民主党の失敗の記憶はババとなっている。そして、多くの野党議員がババを押し付け合い、自分は民主党政権の失敗とは無縁だったという。これでは有権者は納得しない」。

 

まさにその通りだろう。確かに玉木代表のいう通り、彼自身は民主党政権時はまだ1期生で、政務官ですらなかったという意味で、行政執行権にも関与せず、党の様々な政策の意思決定に関与する立場にはなかった。したがって厳密にいえば、その責任は負う必要はないということになるが、そういう「永田町の論理がダメなんだ」という点に立っているのが玉木代表である。

 

 

過去へのスタンスが両党の趨勢を決める


政界は一寸先は闇、という。今は政党支持率は両党には大きな差がある。支持率は下落傾向にあるとはいえ立憲民主党は5%、一方の国民民主党は1%を切っている。どちらに勢い、力があるかは一目瞭然だ。しかし、過去との向かい方には大きな違いがある。過去を総括もせずに、「もう一度、あのメンバーで政権運営を」、と訴える立憲民主党と、「ババを引き受け、過去を反省して政権奪取を」と訴える国民民主党。

時間が味方につけば、いずれ両者の立場は逆転するのではないだろうか。