文部科学省の審議会が学校法人「加計学園」の獣医学部の設置を認可する答申を出した。これ受け、前川喜平前事務次官は12日の講演で、「国民の疑念が晴れないうちに設置認可するべきではない」という考えを示した。
10日 「加計学園」の獣医学部の開学を認可する結論を林文部科学大臣に答申
学校法人「加計学園」の獣医学部について、文部科学省の大学設置審議会は来年4月の開学を認めるとする結論をまとめ、林文部科学大臣に答申しました。
加計学園の獣医学部の開学を認めるべきかどうか、実質的に審査したのは文部科学省の大学設置審議会の専門委員会です。獣医学などの専門家14人で構成され、専門的な見地から学園から申請された教員の数や定員、教育内容に法令違反がないか審査に当たりました。通常の学部の場合、設置審では最終的に8割以上の開学が認められるなどそのハードルは低いとされています。しかし国家戦略特区で認められた獣医学部の審査は今回が初めてでした。
「加計学園」が提出した申請内容とは?
「加計学園」が獣医学部開学にあたり提出した申請内容に問題があった。5月に行われた専門委員会の審査では、申請内容に是正意見が5つ以上の時につく「警告」が出されていた。
その理由として、
・国家戦略特区の構想にある新たな獣医学部の必要性について「具体的な需要が不明である」
・160人の学生規模について3年次までに全学生が実習に行けるか不明である。
・教員の年齢層が高齢層に偏っており、実習補助の助手がいない。
・研究施設が狭く、既存の大学に比べ非常に劣っている
などがあり、加計学園はいずれも改善策を示し再度申請した。その結果、文科省の大学設置・学校法人審議会は9日付で、獣医学部の開学を「可」と答申している。
学生の募集開始 外国人留学生を大量募集
加計学園は既に2018年度入学の学生の募集を開始している。獣医学部新設の理由に四国の公務員獣医師不足の解消が挙げられていた。しかし、定員140人のうち、20人は外国人留学生枠で募集している。その大半は韓国からの留学生で、留学生向けの入学説明会も行われている。
加計学園は系列大学で留学生を受け入れてきた。関係者や学園と協力しているソウルの民間教育機関のブログによると、韓国での獣医学部の説明会は今年、度々実施されているという。
直近の説明会は11月4日、ソウルで学園幹部らも参加して開かれた。主催者側は冒頭、獣医学部新設が認められる方針を伝えた朝日新聞の1面記事を「大ニュース」と紹介。ブログでは「日本ではこれだけ全国的な話題だ」と記し、「獣医学部は16大学のまま52年間続いてきた」と新設の意義を説いている。
最後まで認可を問題視する声が・・・
加計学園を審査してきた審議会の委員がANNの取材に応じ、「最後まで認可を問題視する声があった」と話しました。
取材に応じた審議会の委員は「国家戦略特区の案件ということもあって、最後には認可とせざるを得なかった」と会議を振り返っていました。
審議会委員:「特区という形の特例で設置審に来た段階で『ノー』と言えないような。不十分な内容であっても、法に触れるかというとそうではないから」
今月に入って行われた終盤の会議でも、認可を問題視する意見が専門家のなかであったといいます。
審議会委員:「ある委員の方は、かなり強くその部分(実習)が改善されていないのではないかと」
今後は国会などで審査の妥当性が問われることになります。
野党は審議を行うよう求めていく
立憲民主党や希望の党など野党5党と衆議院の会派「無所属の会」の国会対策委員長らが会談し、学校法人「加計学園」の獣医学部の来年4月の開学が認可される見通しとなったことを受けて、衆議院の文部科学委員会などで審議を行うよう求めていくことで一致しました。