11月29日に行われた参議院の予算委員会で、民進党の大塚耕平代表から与党に向けた質問内容についてまとめた。
北朝鮮ミサイル・外交・安保について
北朝鮮ミサイルについて
最初に11月29日に発射された北朝鮮ミサイルの種類や、発射した数について質問をした。小野寺防衛大臣からは、調査中だがかなりの能力があるミサイルで発射されたのは1発であるとの返答があった。その後、防衛省は新型ミサイルのICBMではないかと発表した。
外交・安保について
大塚耕平代表は、FMS有償軍事援助とは小野寺防衛大臣に対しなにかについて質問をした。
FMS有償軍事援助とは?
・米国の国内法に基づき同盟諸国に対し米国の兵器を有償で提供する制度。
・日米相互防衛援助協定(MDA協定)に基づく政府間取引として1956年から実施されている。
・米国の定める条件を受諾することで必要な装備品の提供を受けられる。
・米国企業との契約及び調達は米国政府が責任を持って行う。
・価格は見積もりであり、出荷時期は予定である。原前払いで納入後に生産される。
・米国政府は自国の国益により契約を解除することが可能である。
・日本のFMSによる具体的な調達事例はF35などの高性能、最新鋭、機密性の高い装備品や、それに関連する技術支援、米軍による自衛隊の訓練支援等である。
安倍総理のFMSに関する発言
安倍総理は、FMSは経済的な利益を目的とした販売ではなく、米国の安全保障政策の一環として同盟諸国等に対して装備品を有償で提供するものと述べた。FMSのメリットとして、「一般では、調達できない軍事機密性の高い装備品や米国でしか製造できない最新鋭の装備品を米国政府から調達できること」「米国企業との豊富な契約実績を持つ米国政府が直接契約交渉をすることや米国府との共同購入により日本が独自に交渉するよりも価格の低減が可能であること」を挙げた。日本の安全保障環境が厳しさを増しており、日本の防衛力については質及び量を必要かつ十分に確保することが不可欠だと語った。これに対し、大塚耕平代表は、FMS契約そのものが米国に不合理に有利な条件になっていると述べた。
森友・加計学園問題
森友・加計学園問題については、全体の質問時間のうち10分程度であった。
大塚耕平代表は首相に対し、今後国民・国会に対しどのような情報公開を行い説明をしていくのかと質問した。 これに対し安倍総理は「出来る限り丁寧に説明していく努力を積み重ねていく」という回答のみに留まった。
加計学園問題
大塚耕平代表の、加計学園の認可は文部大臣から見て適切かという質問に、林文部科学大臣は段階的に条件が満たされたプロセスがあり設置の認可が下りたと述べた。
大学の学部新設認可までの過程
開設の前々年度
10月末 | 申請 |
11月~1月 | 分科会:諮問 |
審査会:面接審査(設置構想) | |
特別専門委員会:書類審査(学生確保等) | |
専門委員会:書類審査(全体計画)(教員審査) | |
審査会:書類審査 | |
1月 | 審査意見伝達 【申請内容を抜本的に見直す必要がある場合等は「警告」を付す】 |
3月 | 補正申請書提出 |
開設の前年度
4月 | 専門委員会:書類審査(第一次専門審査)(教員審査) |
5月 | 審査会:書類審査 |
【審査意見伝達】 申請内容を抜本的に見直す必要がある場合等は「警告」を付す |
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6月 | 審査会:実地審査 |
《補正申請書提出》 | |
7月 | 専門委員会:書類審査(第二次専門審査)(教員審査) |
審査会:判定案 | |
8月 | 運営委員会:判定案調整 |
分科会:判定〈答申〉 | |
認可 | |
9月以降 | 必要に応じ判定保留とし審査を継続 |
また、今治市と愛媛県から加計学園に拠出される補助金は平成28年~平成35年を期間として96億円であることがわかった。大塚耕平代表は96億円の積算根拠についても説明を求め、野田総務大臣が今治市の2分の1を補助することになっている校舎建設費等であると回答した。その他に土地の無償譲渡の37億円がある。
森友学園問題
森友学園のゴミ撤去費用については十分な根拠が確認できていないことがわかった。
景気回復
大塚耕平代表は、平均的な国民は所得増加や景気の回復を実感していないと述べた。
大塚耕平代表は、国民の現金給与総額が2012年11月は27万5246円であったが、2017年9月は26万7248円に減っていることを指摘した。これに対し、茂木敏光氏は雇用者の数が増えており、パートも増えている為、数字的には減っていると答弁した。
名目賃金とは?
受け取った給与そのものの金額。現金で支給された給与額のことである。
実質賃金とは?
名目賃金から物価指数を除いたもの。
税制回復
年金受給者で年間の収入が1000万以上ある人について所得税を増税する件についての現状を質問したが、麻生財務大臣からはまだ検討中であると返答があった。
スウェーデンでは、年収688万円以下の88.9%の人は国税を払っていない。スウェーデンで国民が負担している所得に対する税金と社会保険料の割合は58.9%である。国民負担率は高いが福祉が充実しており、大学までの教育費は無料、医療は18歳以下は無料で、成人も年間最大約1万3000円に抑えられている。これに対し、日本の政府は国民負担として社会保険料、税金をあげている。しかし、実際の国民負担は老後の蓄えなどの預貯金、教育費、雇用への備え、個人年金保険料、介護費、医療費なども入っていると述べた。
2017年11月29日 予算委員会 大塚耕平代表の質問動画