Twitter社が複数のアカウントから同じ内容を投稿したり、RTする行為を禁止すると発表した。Twitter上でbot(ボット)と呼ばれる自動投稿システムにより、誤った情報が拡散されていることへの対応策とみられている。
この新たな規制に対し、Twitter社は「米国および世界各地での選挙での、Twitterで横行する重要な会話を対象とした悪意ある行為に取り組む上で重要なステップだ」と述べている。
規制が厳しくなった理由・背景とは?
同社は1月、2016年の米大統領選に影響を与えたロシアプロパガンダ企業Internet Research Agency(IRA)のサービスへの介入について報告した。その中で、IRAが関与する約4000ものアカウントが約5万のbotを駆使して米国世論を分断するようなツイートをばらまいていたとしている。この報告の際、複数アカウントでの協調ツイートを制限する計画を予告していた。
2016年度のアメリカ大統領選挙では、「フェイクニュース」という言葉が大きな話題となった。フェイクニュースとは虚偽の情報でつくられたニュースの事。前回の米大統領選ではこのフェイクニュースが爆発的に拡散されたことで、選挙結果を左右したのではないかといわれる程、大きな問題となった。そこで、グーグル、ツイッター、フェイスブックなど大手ソーシャルメディアはその対応策を急いでおり、今回の規制へとなった。
規制対象となる条件は?
- ・自動化によるものかどうかを問わず、複数アカウントにおける複製あるいは同じ内容のコンテンツのツイート、「いいね」や@ツイート、またはアカウントの複製および実質的に同一アカウントの作成は禁止しています。
- ・トレンドや人気のトピックにおいて、一つまたはご自分が管理している複数のアカウントを使って、人工的に他のトレンドなどの邪魔や自分がトレンドに登場することを目的に、複数回ツイートを行うことは禁止しています。
- 自動化と複数アカウントの使用について
なお、天候や災害(地震や津波の警報)、公共サービスなどの多くのユーザーが興味をもっているコンテンツに限り複数アカウントからの共有は、認証済アカウントであれば例外として認められている。
利用者に対し3月23日まで猶予期間を設けるが、違反したアカウントは凍結・停止されるなどの措置がとられる。
日本への影響は?「バルス」祭りで凍結か?一般ユーザーの不安の声。
今回のTwitterでの規制はもちろん日本も対象となる。Twitter社の発表後には、「何をしたら凍結となるのか」「バルス祭りで多くのユーザーが凍結する」など日本のユーザーの間でも話題となった。バルス祭りというのは、「天空の城ラピュタ」が地上波で放送される際、終盤に出てくる滅びの呪文を視聴者が一斉につぶやくというものだ。多くのユーザーが一斉に同様の内容の投稿を行うので、今回の規制に引っ掛かり凍結されてしまうのではないかと不安の声が数多くあがったのだ。
Twitterルールに「複数アカウントからの同一投稿禁止」が追加されるらしい。
— 石井孝明 (@ishiitakaaki) 2018年2月22日
「バルス」とつぶやいた人々がいつも話題になってますけど。次回、全員停止かなw 私はひねくれ者なので、人と同じことはしない pic.twitter.com/s6abvDBcey
Twitter社がスパム対策で複数アカウントからの同一内容の投稿を禁止する方向で動いているらしいけど、バルス祭りが不正行為と見なされてマジで滅びの呪文になってしまう可能性ワンチャンあるのでは…。
— アルフォート (@__Alfort__) 2018年2月22日
これに対し、ツイッタージャパン広報は以下のように答えている。
Twitter APIを使用しサービスやアプリを開発し、複数アカウントから同一コンテンツを同じタイミングでツイートすることは認められていません。このテレビ番組に関するコンテンツを異なる人がそれぞれのアカウントでツイートすることはの自動化と複数アカウントの使用に関するガイダンス、ポリシー、ルールに抵触しません。
「“バルス”禁止ではない」話題の“Twitter新ルール”のウソ本当、日本の広報に聞いてみた | BUSINESS INSIDER JAPAN
日本の政治に影響はあるのか?
日本でも2013年度よりインターネットによる選挙運動が解禁となり、各政党や多くの政治家がソーシャルメディアを開設し運用を行っている。アメリカほどではないが、日本でもネット上でのソーシャルメディアによる問題が度々話題となっている。有名なものとしては、ネット上で様々な仕事の受発注を行うサイトで特定の政党を支持するような記事の発注が行われていた問題や、ソーシャルメディア上で特定の政党・政治家を称賛する内容を投稿、対抗者のフェイクニュースを拡散させるものなどが存在している。
しかし今回の規制によって、Twitter上でのこのような活動をおこなっていたユーザーは一気に淘汰される可能性があるのだ。
2017年の総選挙では、新たに結党した立憲民主党の公式Twitterのフォロワー数が急激に増加したことを受けて、フォロワーを購入したのではないかと疑いの声が挙げられていた。フォロワー数は当初18万人を超えていたが、規制が厳しくなってから5千人程減ってきており、3/23に実施される規制によって急激なフォロワー数の減少がおきるかは興味深いところである。
2018年度2月26日時点での各党のフォロワー数
自由民主党(@jimin_koho):138,656
公明党(@komei_koho):76,723
立憲民主党(@CDP2017):178,478
民進党(@MinshintoNews):27,889
希望の党(@kibounotou):13,043
日本共産党(@jcp_cc):45,686