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河野外相はチャーター機を使うからこそ説明責任を果たせ

 

 

 

外相のチャーター機費用

 

 安倍総理よりもハイペースで外国訪問を重ねている河野太郎外務大臣。外務省は来年度予算の概算要求では、外国訪問用のチャーター機費用として9億6千万円を計上した。
 財務省との折衝では、節約を求められ、予算案では4億2千万円が計上されることとなった。財務省としては、費用のかかるチャーター機よりも商用機を利用して欲しいということだろう。ただ、これでも一年の費用としては多額となるはずだ。
 というのも、2018年3月に大西健介議員(現在は国民民主党所属)の質問主意書に答えて、政府は2013年度から2016年度の4年間に使用したチャーター機の費用を計約1億7千万円としていたからである。

 

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 その後、逢坂誠二議員(立憲民主党)の質問主意書に対して、2018年6月に河野大臣が行ったアメリカ訪問の際に利用したチャーター機の費用が計約3千8百万円であったと政府は答えている。

 

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 上記の記事には、外相による過去のチャーター機使用例と費用が掲載されている。行先がアジアであれば1千万円程度、欧米になると3千万円を超えていくというのが相場のようだ。

 

 今回、河野大臣の外交訪問の実績を勘案して9億6千万円がチャーター機費用として概算要求に計上され、結果として4億2千万円が予算案に反映されたわけだが、これでも十分な数の外国訪問でチャーター機を利用することが可能となる。

 

 

説明責任を果たせるのか

 

 外相の外国訪問は重要である。それゆえに、国会日程がある中で日程をやりくりして外国訪問を行わなければならず、商用機ではなく、チャーター機を使用したいという河野大臣の意向は理解出来ないわけではない。今回の予算措置により、チャーター機の利用がこれまでよりも容易となって、一度の外国訪問で複数の国を訪問するといったこともこれまで以上に柔軟に行うことが出来るようになるだろう。
 ただし、チャーター機利用には商用機利用に比べて多額の費用を要する。予算は無限にあるわけもなく、そもそもその原資は国民が支払った税金である。外交交渉にあっては秘密にしなければならない事柄があるとしても、税金の使い道として、外交にかけた費用についても、その使用についての説明責任を果たすことが求められることに変わりはない。

 

 ところが、この説明責任を果たすという観点から、河野大臣は少々心許ない。先ごろ大きく話題になった「次の質問どうぞ」の騒動を思い起こしてもらいたい。ロシアとの北方領土に関する交渉に関して記者から問われた際に、「次の質問どうぞ」を連発したあれだ。

 

 ロシアとの交渉について、その詳細を答えにくいという側面もあろうが、説明しようとする姿勢すら見せず、記者からの質問を無視する。そこには、説明責任を放棄した政治家の姿しか見えなかった。
 何度も同様の質問を受けたゆえの振る舞いで、河野大臣からは後に謝罪もあったが、それでも説明責任を果たすことを放棄したという意味ではもっと問題視されて良い出来事であった。

 

 今後、河野大臣はこれまでにも増して多額の費用をかけて外国訪問を行うことになる。
 外国訪問は「外遊」と呼ばれることもあるが、外国に遊びに行かれては困る。答えにくい質問をされたからといって、それを無視するような振る舞いは許されない。十分な説明が出来ないのであれば、それは遊びに行ったと同じことだ。そのような誤解をされないためにも、その都度の丁寧な説明が必要とされるのであって、予算措置と説明責任はセットになっていることを河野大臣は肝に銘じるべきだ。

 

 よもや、外務省がWebサイトで現在公開している外務大臣の外交日程の紹介で説明責任が果たされているなどと思ってもらっては困る。

 

河野外務大臣 | 外務省