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メディアが報道しない国民民主党、政策的中身は思った以上に良かった

 

 

 

5月7日、国民民主党が立ち上がった。テレビも新聞も基本的には辛口の評価だった。「(国民民主が)立憲を揶揄」「連合のための連合の新党」「支持率0%同士がくっついても支持率0%」など、散々な言われようである。

日本のメディアが内包する大きな課題の一つは政治部にある。実は彼らこそが永田町の政局を作り出していると言ってもいい。政治部記者の関心は政策ではなく、政局であることは、永田町の住人であれば、誰もが知っていることである。

 

 

政局中心のメディア受けは現時点では気にしなくていい


そういう意味でいえば、世論調査をすれば、政党支持率が低い希望の党と民進党が合流してできた国民民主党に対する彼らの視線が冷ややかになるのは仕方ない。しかも、国民民主党の結党大会は平日、国会で委員会が開催されている最中だった。

 

もちろん、表には出てこない諸事情と、国会開会中に大会を開くことのリスク、そのリスクを可能な限りヘッジする準備はしたと思うが、政局が最大の関心事であるメディアにとって、この状況はバッシングしやすかった。これは運が悪いとしか言いようがない。

 

こうした背景もあって、新聞やテレビなどから国民民主党が掲げる理念や政策はほとんど報道されない。これは本来、由々しき事態ではあるが、幸いなことに国民民主党のウェブサイトにそれらの一切が発表されているので、本稿では何回かに分けて、同党が掲げる政策レビューをしたいと思う。

 

 

想像以上に中身が良かった国民民主党の政策集


まず、最初の結論から言っておこう。国民民主党には期待していいのではないだろうか。詳細の政策レビューで明らかにしていくが、コンテンツとしての政策は国民にちゃんと伝わりさえすれば、ファンが増えるだろう。コンテンツがいいのに支持率が低いという状況は、株価でいえば、底値だ。政局に走らずに、コツコツと政策を伝える努力を重ねることで、政党支持率はじわじわと上がっていくに違いない。希望の党と民進党が合流する前に、玉木衆議院議員が「対決ではなく解決」といった姿勢も、改革を求める中道保守、中道リベラルから支持を集めるだろう。

 

さて、結党宣言から見ていこう。「これからの時代に必要なのは、人口が減少しても持続可能な仕組みである。しかし、今の政治は、依然として人口増加が経済成長を促した高度経済成長時代の幻を追っている。私たちは、20世紀型の成功体験と決別し、未来を展望する」とある。党の綱領そのものは立憲民主党も国民民主党もその書きぶりから、大差がないのだが、立憲民主党の場合、綱領に続いて、いきなり基本政策の一覧がずらっと並んでいる。どういう社会観を持っていて、どの政策に優先順位をつけていくのか、非常に見えにくいのに対して、国民民主党は結党宣言の中に、同党の時代観とビジョンが示されている。つまり、人口減少を所与の条件として受け止めて、その上でサステナブルな社会を作っていく、新しい時代の、新しい仕組みをつくっていくことを明確にうたっている点は評価していいだろう。

 

そして、「寛容と忍耐を重んじ、多様な声をあたたかく包み込むことで対立や矛盾を乗り越える新たな政治を創造する」と続く。

 

 

多様性と寛容性は政治的中道にぴったりとハマる


つい最近も自民党の国会議員が「結婚したら子供は3人以上」という発言を披露して顰蹙を買っていたが、自民党の最大の弱点は社会が多様化しているという現実を肌感覚で理解できていない点になる。ここは野党の競争ポイントになる。

 

ただし、多様性という言葉はそのルーツを辿れば分かるが、ややもすると、非常にリベラルに寄り過ぎる傾向にある。今ある社会、今ある価値観もまた、認めていかなければいけない存在だ。そういう意味では、国民民主党の結党宣言の中に「寛容と忍耐を重んじ」という言葉が入っている点は、これまで先人が営々として積み上げてきた社会、価値観も大切していくという想いが込められており、保守からリベラルまで幅広く包含する可能性を秘めていると言っていいだろう。

 

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