昭和から平成に変わったあの時は?
毎年年末になると一年を振り返ってニュースの多さに驚くというのが毎年の恒例となっている方も多いと思うが、今年はなんと言っても「平成」から「令和」への改元が最大の出来事だった。
1989年1月の昭和から平成への改元は、昭和天皇の崩御によって、当時の皇太子であって上皇陛下が天皇に即位されることによって平成へと時代は移った。当時の空気を知るものとしては、平成の幕開けが昭和天皇の崩御という社会全体が喪に服す、重い空気の中での出来事だったこととは対照的な今回の令和への改元だった。
1989年といえば、現在の携帯型ゲーム機の第一歩となる「ゲームボーイ」が任天堂から発売になり、株価は89年末に史上最高値の38,957円44銭(終値は38,915円87銭)を記録した年でもある。三菱地所がアメリカのロックフェラーセンターを買収したのもこの年であった。
国際社会に目を向ければ、ベルリンの壁が崩壊に象徴されるように東側諸国の民主化が大きく進んだ東欧革命が起こり、アメリカのブッシュ大統領とソ連のゴルバチョフ最高会議議長が会談し、冷戦終結を宣言した年でもあった。
一方、中国では天安門事件が起こり、経済大国となった今もなお、その傷跡はいまだにいえない。
昭和から平成へと時代が移ったあの当時から30年。日本は令和へと時代の節目を迎えた。
歓喜に沸いた令和の幕開け
一方、今年の令和への改元は、社会全体にお祝いムードが広がったのは印象的だっただろう。多くの人が改元を祝い、上皇陛下への感謝の思いと同時に、今上天皇の即位を祝った。
退位は皇室典範特例法の規定によるもので、ひとまず今回限りの特例での出来事となったが、天皇陛下が担う公務の体力的な面など、今後の皇室のあり方をどうするのか、皇室制度の課題は残った。
即位を祝うパレード「祝賀御列の儀」は、台風19号による被害に配慮し、11月10日に延期して行われたが、沿道には約12万人の人々が集まり、新しい時代の幕開けの祝福した様子は記憶に新しい。
これにより天皇陛下の弟である秋篠宮様が皇位継承順位1位となり皇嗣になられたが、皇位継承権を有する男性皇族は3人となり、今後、皇室をどのように維持していくのか議論は避けられない。
スポーツでも幕開けと節目が
「ONE TEAM」が流行語大賞を獲得するなど、今年はラグビーW杯が日本で初めて開催され、日本代表チームの快進撃に、多くの国民の目が釘付けになった。サッカーのワールドカップなどに比べて長期間にわたるほか、日本チームの活躍も相まって、ラグビーへの関心も高まった。世界有数の国際大会ということもあり、海外からの観光客も数多く、試合観戦後の覚めやらない外国人ラグビーファンの熱気に圧倒された方も多かったのではないだろうか。
海外からの来場者も多く受け入れた経験は、来年の東京オリンピックに向けても日本社会全体にとって良い経験だったのかもしれない。
そんな国際大会に沸く一方で、平成の大スターがついにユニフォームを脱ぐというニュースに、一抹の寂しさを感じたファンも少なくなかったはずだ。
その独特な「振り子打法」で日米野球史を次々と塗り替えていったイチロー選手の引退である。
日本球界での活躍はもちろんだが、アメリカメジャーリーグでの「大」活躍は、当初メジャー挑戦を疑問視する声も多かった日米両国の人々を黙らせるには十分だった。
事件事故も相次いだ
4月に池袋で起こった高齢ドライバーが運転する車が暴走し、3歳児とその母親が無くなった事件は記憶に新しい。高齢ドライバーによる事件事故のニュースは、運転免許返納のきっかけとなり、歌手で俳優の杉良太郎さんなどが自主返納し、高齢者に運転免許返納を呼びかけた。
京都市のアニメ制作会社で起こった放火事件は、舞台が世界的にも評価の高い制作会社だったこともあり、時間は世界中で報じられ、各国から事件を悼む声が届いた。
首里城の火災に衝撃に受けた人も多かったはず。琉球王国の王宮であり沖縄にとって歴史的文化的な象徴と呼べる世界文化遺産だった。日本が誇る文化財の一つであることから、再建に期待したい。
台風大雨被害で多くの死者
9月に台風15号が上陸した際には、千葉県を中心に100万件近くで停電が発生し、復旧に時間を要した。さらに10月の台風19号では神奈川県箱根町で観測史上1位となる1日に922ミリの降水量を観測するなど、各地で大雨に見舞われ、堤防の決壊や浸水、土砂崩れなど被害が相次いだ。
各自治体では想定を超える被害が発生するなど、災害対策・対応内容を更新する必要性を浮き彫りにする機会にもなった。
大きなニュースに見舞われるというのは、一年を振り返ってみると毎年のようにも感じられるが、それでももっと平穏な一年であって欲しかったと思うのも事実。
来年は東京オリンピック・パラリンピックの開催を控え、来年こそはもっと良い年になりますようにと願いを込めて、新たな年を迎えたいものである。