8日、政府は天皇陛下の退位の日にあたる特例法の施行日を2019年4月30日とする政令を決定した。
２０１９年４月３０日 天皇陛下の退位の日とする政令を決定
お務めについての天皇陛下のおことば
2016年8月8日、宮内庁は、象徴としてのお務めについての天皇陛下のおことばのビデオメッセージを公表した。陛下はこの公表より5年ほど前から周辺に生前退位の意向を示されていた。ビデオメッセージの中で「身体の衰えを考慮する時、これまでのように、全身全霊をもって象徴の務めを果たしていくことが、難しくなるのではないか」と語られた。
即位以来，私は国事行為を行うと共に，日本国憲法下で象徴と位置づけられた天皇の望ましい在り方を，日々模索しつつ過ごして来ました。伝統の継承者として，これを守り続ける責任に深く思いを致し，更に日々新たになる日本と世界の中にあって，日本の皇室が，いかに伝統を現代に生かし，いきいきとして社会に内在し，人々の期待に応えていくかを考えつつ，今日に至っています。
そのような中，何年か前のことになりますが，2度の外科手術を受け，加えて高齢による体力の低下を覚えるようになった頃から，これから先，従来のように重い務めを果たすことが困難になった場合，どのように身を処していくことが，国にとり，国民にとり，また，私のあとを歩む皇族にとり良いことであるかにつき，考えるようになりました。既に80を越え，幸いに健康であるとは申せ，次第に進む身体の衰えを考慮する時，これまでのように，全身全霊をもって象徴の務めを果たしていくことが，難しくなるのではないかと案じています。
象徴としてのお務めについての天皇陛下のおことば：象徴としてのお務めについての天皇陛下のおことば（ビデオ）（平成28年8月8日） - 宮内庁
生前退位公表後の国会の動き
2017年5月19日、政府は閣議で天皇陛下の退位を実現する特例法案を決定した。同年5月26日からは、天皇の退位等に関する皇室典範特例法案特別委員会が開始された。
「２０１９年４月３０日退位、５月１日即位・改元」の理由は？
政府は天皇陛下の退位と、皇太子さまの即位、改元を「静かな環境で」行うことを重視してきたこともあり、
最終的に③「2019年4月30日退位、5月1日即位・改元」の日程で調整する運びとなった。
①「2018年12月下旬退位・新天皇即位、2019年1月1日改元」
②「2019年3月31日退位、4月1日即位・改元」
③「2019年4月30日退位、5月1日即位・改元」
①、②の日程の見送りの理由は以下である。
①は宮内庁を中心に、各種皇室行事が集中している年始の改元は避けることとなった。
②は元号切り替えに伴う官公庁のシステムが混乱してしまう可能性があることと3月から4月にかけ、
統一地方選が行われるため、国会は予算をめぐる与野党の対立を想定し見送った。
新しい元号は？
新しい元号の決め方とは？
元号は元号法という、元号について定めた法律によって決まる。数名の学者が考案した新元号の候補中から、閣議によって新元号が決定される。
本則は次の2項をもって構成される。附則も2項あり。
第1項：元号は、政令で定める。
第2項：元号は、皇位の継承があつた場合に限り改める（一世一元の制）。
日本の法律のなかで、もっとも条文が短い。
元号の条件とは？
国民の理想としてふさわしいよい意味を持つものである。
漢字2文字である。
書きやすく、読みやすい。
これまでに元号として使用されていない。
俗用されていない。
次の元号は？
今までの元号は古典が由来になっているものが多い。また、元号の条件ではないが、明治（Ｍ）、大正（Ｔ）、昭和（Ｓ）、平成（Ｈ）のように、イニシャルが過去のものと被らない元号になる可能性が高い。
天皇の退位は、1817年の光格天皇以来で約200年ぶりである。新年号は2018年の年内に事前公表される予定である。
