防衛省は2018年度から研究を始める対艦ミサイルに対地攻撃能力の付加を計画している。
防衛省 日本で初めての対地巡航ミサイルを開発
トマホークとは
トマホークは、1972年頃からアメリカ海軍で研究された巡航ミサイルである。巡航ミサイルは、飛行機のように翼とジェットエンジンで水平飛行するミサイルで、搭載したレーダーなどによって決められたコースを飛行し標的に着弾する。低い位置で飛行し速度も遅いため、地上から迎撃されやすい。アメリカのトマホークと共通点が多いことから、開発予定のミサイルを「日本版トマホーク」と位置付けている。
トマホークの起源には幾つかの説があるが、もっとも有力と考えられているのは、第一次戦略兵器制限条約(SALT I)調印(1972年)に前後して行われたアメリカ海軍の研究である。
当時の国家安全保障問題担当大統領補佐官であったヘンリー・キッシンジャーは、SALT Iによって生じる制約の影響を最小限にとどめるべく、条約交渉では検討されなかったタイプの核兵器運搬手段の研究を国防総省に命じた。海軍が中心になって進められた研究の結果は、本質的には無人の有翼航空機である巡航ミサイルであれば、条約違反を犯すことなく、しかも極めて効果的であるとの結論であった。
日本版トマホーク開発の目的は?
主な目的は敵に占領された離島の奪還であり、性質上、敵基地攻撃も可能である。北朝鮮への抑止力向上にもつながる見通しである。
弾道ミサイルとの違いは?
巡航ミサイルは、ジェットエンジンで目標物に向かいながら飛ぶ為、誤差が数メートルである。弾道ミサイルはロケットエンジンを積み、最初の数分間で加速した後、慣性によって弾道コースを飛ぶため、巡航ミサイルと比べ命中率が低い。また、巡航ミサイルは射程距離が3000kmであるが、弾道ミサイルは射程距離が5500km以上あるものもある。
2017年6月 北朝鮮は巡航ミサイルを発射している
北朝鮮は八日朝、江原道元山(カンウォンドウォンサン)付近から北東に向けてミサイル数発を発射した。韓国軍合同参謀本部などによると、弾道ミサイルではなく、短距離地対艦巡航ミサイルと推定され、約二百キロメートル飛行し日本海に落下した。
ミサイル研究の目的は「敵基地攻撃能力」ではない
野上官房副長官は新型ミサイルの研究費について、艦船への攻撃が目的であり、自衛隊が敵の基地を攻撃する「敵基地攻撃能力」の保有を目的とした研究ではないと述べた。
野上副長官は、「いわゆる敵基地攻撃については、わが国は米国に依存しており、現在、自衛隊は敵基地攻撃を目的とした装備体系を保有しておらず、保有する計画もない」と述べ、自衛隊が敵の基地を攻撃する「敵基地攻撃能力」の保有を目的とした研究ではないという認識を示しました。
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