北朝鮮の金正恩氏は韓国の特使との会談で「南北首脳会談」を開催することに合意した。
南北首脳会談とは?
南北首脳会談(なんぼくしゅのうかいだん)は、大韓民国(韓国)と朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)の両首脳による首脳会談である。現在まで2回開催されている。
過去2回の南北首脳会談
南北首脳会談は過去2回、2000年6月と2007年10月に行われている。2回目の首脳会談は1回目に比べ、一般世論の関心も、外交上の成果も低かった。
第1回南北首脳会談 2000年6月
初の南北首脳会談には‘歴史的な’という修飾語がつくほど、大きな意味を持っている。
第1回 南北首脳会談の成果は6・15南北共同宣言に盛り込まれている。南北共同宣言の後、具体的な事業として進められたものもあれば、難航を重ね、依然として足踏み状態のままとなっているものもある。南北関係の全般的な拡大という結果も6・15南北共同宣言の成果といえる。6・15 共同宣言の合意内容
1.自主的な南北統一を目指す
2.連合制(韓国側)、低い段階の連邦制(北韓側)に向けた統一を目指す
3.人道的な問題(離散家族の交換訪問、未転向長期囚など)を解決する
4.経済交流の活性化と信頼構築
5.合意内容の実行に向けた当局間の対話を開く6・15宣言後の代表的な成果
第2回南北首脳会談 2007年10月
2007年10月2日から4日まで太陽政策を継承した韓国の盧武鉉大統領が北朝鮮の平壌を訪問して北朝鮮の金正日総書記と会談を行った。共同声明が発表されたものの会談での双方の外交上の大きな成果は無かった。金正日総書記から韓国側が第1回で合意した開城工業地区事業を「北朝鮮の改革開放」と位置付けてることに強い不快感を示され、廬武鉉は帰国後に開城工業地区事業に関連する統一部(省に相当)のホームページから「改革開放」の語を削除させた。一般の世論の関心も2000年の第1回の時と比べると低かった。
金正恩氏と韓国特使の会談の内容は?
3月5日の会談では、1時間ほどで南北首脳会談の合意が固まった。これに対し韓国メディアは、「期待を超えた破格的な合意」と報じ評価した。保守系の野党は「合意の通りなら歓迎するが、また北朝鮮にだまされてはならない。」と警戒感を示した。
5日に平壌を訪れて正恩氏と会談した韓国大統領府の鄭義溶(チョン・ウィヨン)国家安保室長によると、正恩氏は北朝鮮への軍事的脅威が解消され、体制の安全が保証されるならば、非核化について米国と協議する用意があると述べた。さらに北朝鮮は、対話が続く間は弾道ミサイルは発射しない姿勢を示し、韓国に対して核兵器も通常兵器も使わないと約束したという。
海外政府の反応は?
中国や米国では南北首脳会談の開催決定に、評価と期待の反応を示した。
中国
韓国と北朝鮮が4月末の首脳会談実施で合意したことについて、中国外務省の耿爽(こう・そう)副報道局長は6日夜、「歓迎する。引き続き南北双方が和解と協力のプロセスを推進するよう望む」との談話を発表した。南北関係の改善を受け、米朝を含む関係国の対話促進にも期待を表明した。
米国
トランプ米大統領は6日、ホワイトハウスで記者団に対して、北朝鮮が韓国との首脳会談の実施で合意し、朝鮮半島の非核化に向けた米朝協議の用意があると表明したことについて、「非常に前向きだ」と評価し、「(事態が改善すれば)世界や北朝鮮、朝鮮半島にとって素晴らしいことだ」と述べた。一方で「何がこれから起きるのか見守っていこう」と繰り返し、硬軟両様の構えで北朝鮮の対応を見極める姿勢を示した。
日本政府の反応は?
第3回南北首脳会談開催に関して、小野寺防衛大臣は「慎重に見極めが必要」と述べた。また、政府関係者も「これまで何度もだまされてきた。最大限の圧力をかけ続けるべき」と話している。
「今回の南北対話というのが本当に北朝鮮の核・ミサイルの開発の放棄につながるものなのかどうか、慎重に見定める必要があると思っている」(小野寺五典防衛相)
小野寺氏は「北朝鮮の核・ミサイル政策を変えることが確認されないうちは圧力を弱める必要はない」と述べ、韓国政府の説明を受けた上で日本政府の対応を検討する考えを示した。