安倍政権が通常国会を延長しないというのは、本ブログでも過去に伝えている。
さらに本年は、通常国会は6月に閉会し、その後、野党の臨時国会開催の求めには応じずに、臨時国会を開いたのは解散するため。臨時国会の前に内閣改造が行われたが、臨時国会では総理の所信表明演説すら行われなかった。
安倍政権は「国会から逃げる」政権である
今回、解散総選挙があった。総選挙後は、特別国会を召集することが定められているため、さすがに国会を召集しないということは出来ないが、通常、特別国会は数日の開催に留まる。一部には特別国会の延長論も出ているようだが、焦点は臨時国会を年内に召集するのか否かに移ることだろう。
以下、民主党政権時から現在の安倍政権までの臨時国会の会期日数である。
臨時国会の会期日数
年 | 内閣 | 会期日数 | 備考 |
2009年 | 麻生 | 40日 | |
2010年 | 鳩山 | 8日 | |
2010年 | 鳩山 | 64日 | |
2011年 | 菅 | 18日 | |
2011年 | 菅 | 51日 | |
2012年 | 野田 | 19日 | 会期中に解散 |
2013年 | 安倍 | 6日 | |
2013年 | 安倍 | 55日 | |
2014年 | 安倍 | 54日 | 会期中に解散 |
2015年 | 安倍 | 0日 | 召集されず |
2016年 | 安倍 | 3日 | |
2016年 | 安倍 | 83日 | |
2017年 | 安倍 | 1日 | 会期中に解散 |
http://www.shugiin.go.jp/internet/itdb_annai.nsf/html/statics/shiryo/kaiki.htm
2012年は、臨時国会の最中に野田総理が解散を断行した。以後、2014年・2017年と、現在の安倍総理の下では、臨時国会で解散が断行されており、通常国会の会期中に解散がなされたのは、2009年の麻生内閣にまで遡る。
年度によっては、夏にごく短い臨時国会を召集した後に、10月以降に約50日程度を会期とする臨時国会を再度召集するということが行われている。いつ、どの程度の期間、国会を開催するのかは与野党間での攻防があるところであるが、より多くの案件を処理したいという思惑と会期を長く設定すると野党に何らかの追及の機会を与えてしまうという懸念。この思惑と懸念の間で、特に与党の国会対策担当者は揺れ動いていることだろう。
森友・加計学園問題が議論の焦点
森友・加計学園の問題が本年の通常国会での議論の焦点となった。閉会時には、安倍総理自身が今後も丁寧な説明を行っていくと表明したが、その機会となる臨時国会は解散をするために開いただけである。このまま特別国会を通常のように数日で終わらせ、臨時国会も開かないとなると、次に国会が召集されるのは、年明けの通常国会まで待たなければならない。いつになったら、丁寧な説明の場が設けられるのだろうか。
森友学園への国有地の売買については不当な値引きがあったとされる報告が会計検査院からなされ、加計学園の獣医学部新設については11月にも文科省の審査の判断が下される予定であると報じられている。
この両学園の問題については、「終わったこと」として済まされそうな雰囲気が出始めているが、実際には、国会での議論の場が設定されないまま、ただ時間だけが過ぎ、国民の記憶から薄れつつあるというだけだ。そして、記憶から薄れつつある中で、物事自体は着々と進んでいる。特に加計学園の問題は、安倍総理の関与の有無に関わらず、決定の過程や建設費用及びにそれに関わる補助金のあり方など、いまだ解明されていない疑惑が残っている。
野党は臨時国会の開催を急ぎ、「丁寧な説明」を求めるべき
総選挙直前の野党側の混乱は選挙後もその尾を引いており、連日、希望の党や立憲民主党内の出来事について報道が相次いでいる。しかし、本来、目を向けるべきは、それらの政党が来る国会でどのような活動を展開していくのかである。もしも臨時国会が召集されるとすると、会期は最大でも年内中ということになり、それほど多くの時間は残されていない。通常国会の前半では政府の予算案が審議されることから、いわゆる疑惑の追及はその前の段階で済ませておきたい。
野党にあっては、まずは体勢を早期に整えて、臨時国会の召集を与党に迫り、開催の暁にはあらためて安倍総理が丁寧に説明すると国民に約束した各点について説明を迫るべきだろう。もちろん、相変わらず安倍政権が「国会から逃げる」のであれば、国会で議論すべき論点を明らかにした上で、国会が召集されないことを強く批判すべきだろう。