8月21日、民進党代表選が始まった。
この日の午後、代表選挙候補者共同記者会見が民進党本部で開かれ、前原誠司候補、枝野幸男候補が決意を語った。その後、集まった記者団との質疑があった。このやりとりから、両候補の違いが見えてくることから、ここでは主な二人の違いを紹介したい。
まず野党連携について。
前原候補は、「この政権選択をする選挙で、理念・政策が合わないところと協力するということはおかしいと私は思います。理念・政策が合うところと、それならば幅広く協力する。」と答えている。民進党が掲げる理念や政策を第一に、それと合うと勢力であれば協力するという立場である。
対して枝野候補は、「野党間で、わが党の主体性を持ちながら、できることを最大限やる、できないことはできない、そのメリハリをしっかりつけていくことが重要だと思っています。」と答えている。前原候補よりは、野党共闘には前向きと言えそうである。
党が掲げる「2030年代原発ゼロ」の目標について。
枝野候補は、「いかにすれば1日も早く「原発ゼロ」を実現できるのか、そのことのリアリティある工程表をしっかりと示す。」と答えている。時期には拘らず、1日も早い「原発ゼロ」を目指すというのが枝野候補の立場である。
対して前原候補は、「「2030年代原発ゼロ」を目指してあらゆる政策資源を投入する、原発のない社会を着実にしっかりと現実的につくっていくという方向性の中で、原発のない社会というものをしっかりとつくっていきたい。」と答えている。2030年代という目標へ向けて全力をあたるというのが前原候補の立場である。
社会保障と税の一体改革・消費税増税について。
枝野候補は、「消費税は今上げられないというのが私の考えです。」としている。社会保障の恒久財源として消費増税の必要性を認めながらも、現状では増税できる状況にはないとしている。
対して前原候補は財源論から逃げるべきではないとし、「2段階に分けて消費税を上げ、そのかわり教育、子育て、そして医療、年金、介護、福祉、この恒久財源をしっかりと担保していく。これについて私は責任を自分自身は持ちたいと思っています。」と答えている。
普天間基地移設について。
枝野候補は「まずやることは、あの時のプロセスを含めて、現状、そして背景、それについての検証を始めなければいけないと思っています。」と答えて、民主党政権下での失敗を含めて再検証し、その中から日本政府とアメリカが納得出来る解決策を見出していくとしている。
対して前原候補は「われわれが、沖縄の皆さん方にご迷惑をかけたことを認識しつつ、今のプロセスというものを、われわれが戻ってしまったわけで申しわけなかったわけでありますが、進めてきたプロセスでございますので、これについてしっかりと進めることが大前提になると思っておりますが、他方で沖縄県民の皆さん方のお気持ちをしっかり酌み取るような話し合いのプロセス、こういったものも同時並行でしっかりと受け止めるのが政治の役割」と答えている。
IRについて。
前原候補は、自身が国土交通大臣時にIRについて先鞭を切ったと答えた上で、「党の中に賛否両論あるものについては自分の意見を一旦控えて、どう党内議論の中でまとめるかということを優先したいと思っております」とし、代表選前に務めていたIR議連の会長を辞したと表明している。
対して枝野候補は「私はカジノには徹底的に反対する方向でぜひ党をまとめたいと思っています。」と答えている。
アベノミクスへの評価や経済政策など、大枠では二人の候補が共通すると思われる点も多いが、個別には二人の違いが鮮明になっている事柄もあった。
この後、全国でも候補者討論会が開催予定であり、それらを通して二人の特徴も明らかになってくることだろう。