霞が関から見た永田町

霞が関と永田町に関係する情報を、霞が関の視点で収集して発信しています。

MENU

大臣辞任数増加は政権交代の前触れ!?2006年の安倍政権以降9人が辞任、民主党政権へ

 

先日第3次安倍第3次内閣改造内閣が発足した。

第3次安倍2次内閣では復興相の今村雅弘氏は失言で更迭さらには防衛相の稲田朋美氏は防衛省のPKO日報問題にて引責とした。

大臣の辞任により、内閣支持率が低下する中、大臣辞任と政権交代の因果関係があるのか、自民党政権から民主党政権に代わった付近である小泉内閣以降の大臣辞任理由とともに確認してみることにする。

 

小泉内閣以降に辞任した大臣は28人

農林大臣は数ある大臣の中でも断トツに辞任数が多く7人が辞任に至っている。

辞任数の多い農林大臣はマスコミなどでは「鬼門」「呪われたポスト」と呼ばれ、 就任した政治家は就任尚早不祥事に直面し、職をまっとう出来ず辞任したり、退任後に不幸に見舞われることもあると伝えられている。

 

f:id:ngtcsfksmgsk:20170821172045p:plain

 

 

大臣辞任数増加は政権交代の前触れ!?

以下グラフは小泉内閣以降の年代別大臣辞任数の推移である。

2006年、2007年は第1次安倍内閣であるが、5人の大臣が辞任しており、自民党政権の支持率が下落することに繋がった。その後の福田政権では1人、麻生政権では3人の大臣辞任者を出したところで民主党政権への政権交代となった。

民主党政権においては鳩山政権2人、菅内閣4人、野田内閣3人の大臣辞任者を出している(内2人は体調不良および死亡となる)。

f:id:ngtcsfksmgsk:20170821175526p:plain

 

第3次安倍2次内閣においては最終的な辞任者は2人となったものの初入閣した法務大臣金田勝年氏や内閣府特命担当大臣山本幸三氏も国会の答弁力に不安があり、いつ辞任を求められてもおかしくない状況であった。仮に2人が辞めていたとすれば2017年の安倍内閣の大臣辞任数は4人となり、政権交代まで秒読みだったことは間違いないだろう。

 

小泉内閣以降の大臣辞任リスト

年月日 大臣名 大臣 辞任理由
2002年1月30日 田中真紀子 外務大臣 失言
2003年4月1日 大島理森 農水大臣 不祥事
2004年5月7日 福田康夫 官房長官 不祥事
2005年8月8日 島村宜伸 農水大臣 政局
2006年12月28日 佐田玄一郎 行政改革担当大臣 不祥事
2007年6月1日 松岡利勝 農水大臣 不祥事
2007年7月4日 久間章生 防衛大臣 失言
2007年8月1日 赤城徳彦 農水大臣 不祥事
2007年9月3日 遠藤武彦 農水大臣 不祥事
2008年9月19日 太田誠一 農水大臣 その他/引責
2008年9月28日 中山成彬 国土交通大臣 失言
2009年2月17日 中川昭一 財務大臣 不祥事
2009年6月12日 鳩山邦夫 総務大臣 政局
2010年1月7日 藤井裕久 財務大臣 その他/体調不良
2010年5月28日 福島瑞穂 消費者担当大臣 政局
2010年6月11日 亀井静香 金融・郵政改革担当大臣 政局
2010年11月22日 柳田稔 改造法務大臣 失言
2011年3月7日 前原誠司 外務大臣 不祥事
2011年7月5日 松本龍 防災担当大臣 失言
2011年9月11日 鉢呂吉雄 経済産業大臣 失言
2012年9月10日 松下忠洋 郵政民営化・金融担当大臣 その他/自殺
2012年10月23日 田中慶秋 法務大臣 不祥事
2014年10月20日 小渕優子 経済産業大臣 不祥事
2014年10月20日 松島みどり 法務大臣 不祥事
2015年2月23日 西川公也 農水大臣 不祥事
2016年1月28日 甘利明 経済再生担当大臣 不祥事
2017年4月26日 今村雅弘 復興大臣 失言
2017年7月28日 稲田朋美 防衛大臣 その他/引責

 

自身の過去の不祥事が理由で辞任した大臣

大島理森 農水大臣

2003年4月1日、政策秘書が公共工事などに絡み数千万円の口利き料を得ていたとの疑惑が浮上し辞任。

 

福田康夫 官房長官

2004年5月7日、自身の年金未納が発覚したため、引責辞任。

 

佐田玄一郎 行政改革担当大臣

2006年12月28日、実態のない架空の事務所費を計上し、約7800万円を支出したとする虚偽の政治資金収支報告書を提出していた問題が発覚し辞任。

 

松岡利勝 農水大臣

2007年6月1日、政治資金収支報告書に光熱水費を虚偽記載したことを指摘され、後日、衆議院議員宿舎の自室で首を吊って心肺停止状態となっているところを発見された。

asahi.com:松岡農水相が自殺 議員宿舎で首つる - 松岡農水相自殺

 

赤城徳彦 農水大臣

2007年8月1日、後援会が事務所としての実体がない赤城の父親の自宅を主たる事務所として、10年間でおよそ9045万円(75.4万円/月)の経常経費を計上していたことが発覚し辞任。

 

遠藤武彦 農水大臣

2007年9月3日、遠藤が代表を務める自由民主党山形県第二選挙区支部が、山形県家畜商業協同組合から不適切に献金を受け取っていたことが発覚し辞任。

  

中川昭一 財務大臣

2009年2月17日、イタリア・ローマで開催された、G7の財務大臣・中央銀行総裁会議終了後、記者会見に臨んだ際、呂律が回っておらず、表情は目が虚ろという状態で言い間違いや不明瞭な発言をするなどの異状を呈したことから、健康不安や酩酊などが疑われ辞任。

全文表示 | 中川財務相「日本の恥」会見 風邪薬だけが原因なのか : J-CASTニュース

 

前原誠司 外務大臣

2011年3月7日、京都市内の在日外国人から政治献金を受け取っていたことが判明し辞任。 

 

田中慶秋 法務大臣

2012年10月23日、就任直後、1980年頃に暴力団関係者との交際があったと報道された。「交際はいずれも事後に暴力団関係者だとわかった」と記者会見で釈明した後辞任。

 

小渕優子 経済産業大臣

2014年10月20日、政治資金規正法違反があったことが週刊新潮に報じられ辞任。

小渕経産相が辞任、松島法相も辞意 政権に打撃 :日本経済新聞

 

松島みどり 法務大臣

2014年10月20日、「うちわを配布した行為が公職選挙法の禁止する寄付行為に該当する」と追及された。

【松島法相辞任】辞任会見で「内閣の足を引っ張ることできない」 - 産経ニュース

 

西川公也 農水大臣

2015年2月23日、政治献金問題が発覚し、責任を取る形で辞任。

辞任した西川公也前農水相 地元で「カネ持ってこーや」の異名│NEWSポストセブン

 

甘利明 経済再生担当大臣

2016年1月28日、週刊文春が報じた金銭授受疑惑の責任を取って辞任。

【甘利氏疑惑】甘利経済再生担当相が辞任表明(1/2ページ) - 産経ニュース

 

失言を理由に辞任した大臣

田中真紀子 外務大臣

2002年1月30日、NGOピースウィンズ・ジャパン出席取り消し事件について、事務方や野上義二外務事務次官との答弁が食い違い、小泉首相は田中大臣と野上次官を官邸に呼び二人を更迭した。

 

久間章生 防衛大臣

2007年7月4日 、麗澤大学比較文明文化研究センター主催の講演会で行い、原爆投下をしょうがないと発言したと共に、原爆投下した側の論理を是認したとして報道され辞任。

 

中山成彬 国土交通大臣

2008年9月28日、「成田反対はゴネ得」「日本は単一民族」「日教組を解体へ」の発言に対して抗議を受け辞任。「自民党が(衆院選で)勝つため」に仕組んだ「自作自演のシナリオ」だったと説明した。

 

柳田稔 改造法務大臣

2010年11月22日、「法務関係は1回も触れたことはない」「法務大臣とは良いですね。二つ覚えときゃ良いんですから。 」など国会軽視ととられる発言を批判され辞任。

全文表示 | 柳田法相「法務は門外漢」 問題発言で「辞任やむなし」論 : J-CASTニュース

 

松本龍 防災担当大臣

2011年7月5日、復興担当相就任後初めて被災地入りし岩手県と宮城県で会談を行った際の発言と横暴な態度が問題となり辞任。

松本復興相、就任9日目で辞任 :日本経済新聞

 

鉢呂吉雄 経済産業大臣

2011年9月11日、東日本大震災に関連する発言を批判され責任を取る形で辞任。

 

今村雅弘 復興大臣

2017年4月26日、自民党二階派のパーティーで東日本大震災の被害に関し「まだ東北で、あっちの方だったから良かった。」と述べ不適切な発言として更迭された。

【復興相不適切発言】今村雅弘復興相辞任へ 震災「東北で良かった」発言で更迭(1/2ページ) - 産経ニュース

 

 

政局により辞任した大臣

島村宜伸 農水大臣

2005年8月8日、衆議院解散(郵政解散)に閣議で反対し、小泉純一郎首相に辞表を提出したが辞表は受理されず、罷免された。

 

鳩山邦夫 総務大臣

2009年6月12日、日本郵政西川善文社長の進退問題を受け、辞任。

 

福島瑞穂 消費者担当大臣

2010年5月28日、普天間基地移設問題で辺野古地区への移設で日米が合意したことに反発し、閣議了解の書類に署名しないと宣言。鳩山の説得にも応じず、同日中に罷免された。

普天間問題で福島消費者相を罷免、首相「連立維持したい」 | ロイター

 

亀井静香 金融・郵政改革担当大臣

2010年6月11日、菅直人首相が郵政改革法案の成立を今国会で成立させるという国民新党と民主党との公約を破棄したため、組閣直後に大臣を辞任。

 

その他理由により辞任した大臣

松下忠洋 郵政民営化・金融担当大臣(死去)

2012年9月10日 、東京都の1人暮らしの自宅マンションで倒れているのが発見され、遺書が見つかったことから死因を自殺と断定。発売予定であった週刊誌の女性問題の記事に、因果関係を指摘する声もある。

 

藤井裕久 財務大臣 (体調不良)

2010年1月7日、暫定税率廃止の訴えに、維持を提案した小沢との確執やそれを受け入れた鳩山への失望が辞任につながったとの見方が出ているが、藤井は就任前から高齢のため短期間で辞任する意向だったと否定している。

 

太田誠一 農水大臣 (引責)

2008年9月19日、三笠フーズ株式会社に工業用(非食用)として売却していた事故米穀が食用として転売されていたことが農政局の立ち入り調査により確認され、不正転売の責任を明確にするとして辞任。

 

稲田朋美 防衛大臣 (引責)

2017年7月28日、破棄したとしていたPKO部隊の日報を陸上自衛隊が保管していた問題で、自らも監督責任を取りたいとして辞任。