霞が関から見た永田町

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メディアに左右されずに愚直に進め

 

 

 

5月7日、民進党と希望の党が合流し、「国民民主党」が立ち上がる。

 

昨年の衆議院選挙直前に吹き荒れた小池旋風と、その際に生じた民進党から希望の党への合流に当たっての「排除の理論」。排除された人たちが立ち上げた立憲民主党は、小池旋風がピタッと止まる後は、国民の判官贔屓も手伝って、衆議院選挙で大躍進し、今日に至っている。

 

 

葛藤する地方議員


来年4月には統一地方選挙が控えており、既に自民党や共産党の地方組織は次々と1次公認を発表し、動き始めている。今まで民進党に所属していた地方議員にとっては、どこへ所属するか死活問題だ。

 

現状の政党支持率を見れば、立憲民主党へ行くのが妥当な判断となるものの、民進党の中にはかつて、みんなの党、維新の党に所属した地方議員も多い。元来、「公務員制度改革」を訴えていた彼らが、自治労・官公労がバックで支える立憲民主党へ移ることの葛藤は大きいと聞く。わずか一年前、民進党の代表が蓮舫氏だったことが信じられないほど、この一年の変化は激しかった。永田町も、地方組織も、様々な葛藤と感情を抱えた中での、国民民主党の結党である。

 

 

玉木氏は原点回帰宣言を守れるか


ゴールデンウィークに突入した4月29日、希望の党代表の玉木雄一郎衆議院議員は一本のブログを更新した。タイトルは「対決だけでなく解決も」。このブログには、政党の原点に立ち返って、愚直に政策を磨く「政策集団」を目指すことが宣言されていた。合意形成を探す努力を続け、その道をたゆまなく進むことが「中道」だと玉木氏は説く。

 

玉木氏のこの志は素晴らしい。彼が新党の中でどういう立場で、どういうリーダーシップを発揮できるかは5月7日以降を待たなければならないが、彼が志を貫けるか否かは、ひとえに永田町の論理を捨てられるかにかかっているだろう。永田町の論理はすなわち、「テレビの視聴率」であり「政党支持率」である。もちろん、政党支持率は選挙の直結するため、重要な指標であることには変わりない。しかし大事なことは、その政党支持率を上げるためには「何を為すか」である。

 

残念ながら、現在の野党にはここが欠落している。だから、何かあれば、与党を徹底的に批判する。今、有権者はその批判力だけで支持を寄せなくなっているのだが、各議員の地元活動が少ないせいか、世論の、声なき声が届いていないように見える。

 

 

政策集団の登場を国民は待っている


国民民主党が真に政策集団として生まれ変わることができれば、少し時間はかかるかもしれないが、自民党に対峙し得る、もう一つの政党としてのポジションを格率できるだろう。メディアの言に振り回されないことだ。地元を歩いていないという点では彼らも同じだからだ。在京の大手メディアは世論調査という数字としか向き合っていないのだ。

 

今回の新党結成でも「こんな時に合流、何のため?」(毎日新聞)など、批判的なトーンが相次いでいるが、選挙直前に合流すれば合流したで、「選挙目当ての合流」と批判されるだろう。支持率が低い時は何をやっても、批判されるものだ。

 

もちろん、民進党代表の大塚耕平衆議院議員も、玉木氏もそんなことは百も承知だろう。厳しい船出であることには間違いない。だからこそ、原点に立ち返ることが大事だ。目先の支持率、メディアでの評判を気にすることなく、国民の声なき声に耳を傾けてほしい。今、多くの国民は決して安倍政権がいいとは思ってない。しかし、安倍政権に変わり得る、信頼に足る政党がないではないかと思っているのである。

 

 

みんなの党も厳しい船出だった


2009年夏、衆議院選挙直前に産声をあげたのが「みんなの党」だった。この時、記者会見の会場でほとんどのメディアはこう言った。「渡辺さんは終わっちゃったな」。その後の、みんなの党の躍進はご記憶の通りだ。何が大事は言うまでもないだろう。国民民主党にそれができるか、その胆力が問われている。