霞が関から見た永田町

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ゴールデンウィークが6月解散を決める?

 

 

 

国会議員は国民が思っている以上に忙しい。特に国会会期中は本会議や常任委員会だけでなく、その合間を縫って、議連、陳情、政策レクと分単位でスケジュールが組まれていく。

 

そんな国会議員にとって、例年、ゴールデンウィークはつかの間の休息でもある。地元を徹底的に歩いて、普段永田町には聞こえてこない有権者の生の声に触れようとする者もあれば、自身の政策テーマを掲げて海外視察へ赴く者、様々である。国会議員のゴールデンウィークの過ごし方は例年、実に様々だが、特に今年の過ごし方は6月解散に大きく影響するかもしれない。

 

 

6月解散で野党は体制が整うのか?


その理由はにわかに解散説が出ては消えて、消えては浮上しているからだ。ここへきて、永田町では6月解散説がまことしやかに囁かれている。

 

4月22日に自民党の森山国対委員長が「内閣不信任が提出されれば、解散も内閣の一つの選択肢だろう」と見解を示したかと思えば、同党の二階幹事長は25日、「幹事長の知らない解散なんて世の中に存在しない」と否定してみせた。安倍首相も「解散は考えてない」と国会で答弁しているのは、既にニュースになっている通りだ。

 

一体、何が本音で、何が建前なのか、私たち一般国民にはさっぱり分からないが、重要なことは永田町の住人は永田町の論理で動く、という紛れもない事実だ。こうした解散風を読みながら、「解散」と見れば一気に動き出し、一旦動き出せば、その流れはもう誰にも止められない。それが永田町という場所だ。

 

 

比例票は実はほぼ拮抗しているという現実


頭の体操のために、2017年の衆議院選挙について振り返っておこう。自民党、公明党、これに大阪維新の会を加えた、いわゆる改憲容認勢力の比例票は約2900万票だった。一方、立憲民主党など野党の比例票は約2600万票。希望の党は必ずしも憲法改正反対ではないため、2600万票にカウントするのが適切か悩むところだが、少なくとも先の選挙では「安倍政権下での憲法改正には反対」という姿勢だったため、2600万票に数えた。

 

改めて、こうして数字をみると与党と野党にそれほど大きな差はないことがハッキリする。しかも、この半年をふり返ったときに、自民党にはマイナス材料しかない。森友問題の公文書書き換え問題では、佐川前国税庁長官は辞職し、国会の証人喚問を受けることになった。自民党は佐川氏を国会へ呼びたくなったが、世論に抗えなかった。これ以外にも、陸上自衛隊のイラク派遣日報問題も浮上し、官僚の中の官僚と呼ばれる財務省で、事もあろうか、そのトップである事務次官による記者へのセクハラ問題も大きく世間に知られるところとなった。昨年の選挙後、これだけ材料が出てきたことを思えば、今、選挙をすれば、少なくとも比例票は与野党で拮抗するのではないだろうか。

 

 

野党には託せないから消極的選択で安倍政権


だから、重要になっていくるのが、このゴールデンウィークの過ごし方だ。どれだけ地元を回ったかが、判断の分かれ道になる気がする。政策形成と銘打って、1期生の国会議員が海外視察に行っているようでは、与党と伍していくのは難しいだろう。

 

先日、野党議員が参加する勉強会での席上、とある経営者から次のような質問が飛んだ。「安倍政権を倒すと仮定して、次の日本のリーダーは誰なのか。その人に経済を託せるのか」。この言葉には、「今の野党には経済を託せない」という意味が込められている。経営者はもとより、一般の感覚もスキャンダルはひどいけど「景気がいいから、ま、いいか」なのである。

 

 

経済政策こそ政権交代への一里塚


野党は今の状況を正しく認識すべきだ。「スキャンダルはひどいけど、景気がいいから、ま、いいか」でも比例票では与野党拮抗するのだ。おのずと、野党がすべきことは明らかではないか。与党を批判することではなく、しっかりとした経済政策を打ち出すことだ。

 

6月の解散風が吹き始めた中、迎えるゴールデンウィークだからこそ、この1週間、永田町に届かない、国民の声なき声、サイレント・マジョリティーの声を掴めるか、そこが問われている。