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【イラク日報】安倍政権で繰り返される文書隠蔽 ―安倍政権の政権担当能力に疑問―

 

 

 

イラク派遣部隊の日報が見つかる

 

防衛省が、再三の国会での野党の質問に対して「存在しない」と回答してきた陸上自衛隊イラク派遣部隊の日報。それが見つかったと2日に小野寺防衛大臣が発表した。

 

 さらに、4日には、昨年3月の時点で、日報の存在を陸上自衛隊が把握していながら、当時の稲田朋美防衛相に報告していなかったことも明らかとされた。

 

 この日報の発見自体、南スーダン国連平和維持活動(PKO)の日報の隠蔽問題に関して行われた特別防衛監察の過程でのことであるとも小野寺大臣は答えている。特別防衛監察の過程で、当初調べていなかった外付けハードディスクの中に日報が残っていたというのである。

 

www.sankei.com

 

 

繰り返される隠蔽

 

 何か事情があったとしても、文書が発見されていながら大臣に知らせていなかったということは隠蔽以外の何物でもない。昨年の国会で、その文書の存在を野党から質問された際に、「見つけることが出来なかった」と答えていたが、「探すつもりはなかった」「公開するつもりはなかった」というのが正しかったのではないだろうか。


 安倍政権では、この事例のように、文書が本来は存在していながら存在しないとし、その存在が明らかになってもそれを直ちに公表せずに、時間が経過してから公表するということが繰り返されている。いわば隠蔽が繰り返されているのである。防衛省による南スーダンPKOやイラク派遣部隊の日報の隠蔽に留まらず、先ごろ問題になっている森友学園問題に関わる文書、加計学園問題に関する文書など、後にマスコミのスクープを契機に、「ない」とされた文書が後に出て来るということが続いているのだ。


 さらに、森友学園問題に関する文書の改竄のように、文書のそのものに役人が手を加え、後に文書を公開することになっても本来の内容ではないものが公開されてしまうということまで起きている。

 

 

安倍政権の「政権担当能力」とは

 

 今回の防衛省の件のように、無いとされた文書がどこからか発見されると、担当大臣や安倍総理は詳しい調査と再発防止の徹底を主張する。実際に、今回も防衛省内に内部調査チームが立ち上げられた。今後の再発防止対策としては、文書管理の徹底や各組織のガバナンス体制の強化といったことが考えられ、そのような主張が安倍総理らからなされている。
しかし、その前に、これだけ同様の隠蔽事例が続くということは、安倍政権の政権担当能力が問われる事態に至っていることを改めて確認する必要があるだろう。


 つまり、安倍総理や各大臣が文書を探せと言っても、その指示通りに役人が動かずに、文書は隠蔽される。そして、後に見つかったとしても、それが大臣らには報告されない。ともすると、改竄まで行われている。これでは、安倍総理や各大臣が府省の活動を的確に把握出来ていないと言われても仕方がないだろう。また、総理や大臣の指示も、それをいくらしたところで、まったく守られていないということであれば、まったくもって霞が関に対する政権のグリップが利いていないということになる。


 これまで自民党を中心に、何かと言うと、民主党政権時代の不手際をあげつらって、現在の野党には政権担当能力がないとの主張がなされてきた。しかし、どうだろうか。一連の隠蔽に対して、何度となく安倍総理以下の大臣が対策を指示しても、まるで改善されることがないことを見れば、安倍政権の政権担当能力に疑問が生じていると言えるのではないだろうか。

 

 

それとも国民に対する裏切りか

 

 防衛省の件に限らず、それでも政権側が各府省の活動を把握出来ているというのであれば、それは文書の隠蔽も政権側が把握していたということになる。それは、つまるところ安倍政権による国民に対する裏切行為がなされているということである。一方で、文書を公開すると言いながら、それを隠す。そのようなことが許されるわけがない。


 いつも冷静な小野寺防衛大臣は淡々と今回の件を報告しているが、国民の側に立つのであれば、強く事務方を責めるべき場面である。前任の稲田大臣には報告すらあがっていなかったというのであるから、それは由々しき問題である。


 新年度の予算も成立し、森友学園の文書改竄の件も前川氏の証人喚問が終わったことで一段落したと思ったら、大きな間違いである。安倍政権に本当に政権担当能力があるのか否か、内閣支持率の低下以上に深刻な問題に安倍総理は直面しているのである。

 

■関連サイト

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