日本の領海へ中国公船が侵入
中国海警局の船2隻が尖閣諸島沖で日本の領海に侵入したというニュースが報じられた。
連日、新型コロナウイルス感染症に関するニュースが大きく報じられている現状では、この中国公船の領海侵入は小さく報じられただけだが、これは看過すべきではないニュースだ。
海上保安庁は尖閣諸島周辺海域における中国公船等の動向と日本の対応に関して情報を公開している。
こちらを見ると、最近一年間では、毎月延隻数で4から14隻が領海に侵入していることが分かる。そういう状況の中で、2隻の侵入があったからと言って、殊更に中国の脅威を煽るべきではないのかもしれない。
当然、海上保安庁が対応に当たっており、自衛隊も情報収集などの対応を行っている。そこに怠りがあるはずもなく、直ちに日本の国益が害されるような事態に至るとは考えにくい。ただ、こちらが大きな懸案事項を抱えている時を見計らったかのように、こちらが嫌がることをしてくるあたり、何とも狡猾だ。
日本政府が新型コロナウイルス感染症対策に追われている中で、その他の問題にどれだけ対応することが出来るのか。面倒なことを仕掛けることで、日本政府の対応能力を試していると見るべきだろう。
対策の手を緩めるようなことがあれば、そこに付け込まれる可能性があることを心する必要がある。
弱みに付け込む勢力に対する対抗策を
日本が困っているときに付け込もうとする勢力は世界中に存在している。
その警鐘を鳴らしたのが国民民主党の玉木代表だ。
5月7日の記者会見で、玉木代表は外国資本から重要産業・資産を守る法整備の拡充を訴えた。
詳しくは動画で玉木代表が説明している。
新型コロナの影響で日本の企業や産業に打撃が広がると、早く経済回復した他国やその影響受けた企業が、割安感の出た日本の企業や重要な資産・技術が買収される可能性が高い。政府も対策は講じているが、経済安全保障の観点からさらなる対策が必要だ。2分動画をご覧ください。#投資規制の厳格化 pic.twitter.com/A5v3xHECuH
— 玉木雄一郎(国民民主党代表) (@tamakiyuichiro) 2020年5月8日
早期に経済回復した他国や企業が割安感の出た日本の企業や重要な資産・技術を買収してしまうのではないかと、玉木代表は懸念を表明している。そして、その対策のための法整備が必要なのではないかと提言している。
過度に政府が企業活動を規制するようなことはあってはならないが、日本の存立を脅かすように、危機に乗じて重要な資産や技術が買い叩かれて海外に流出してしまうような事態は何としても避けたいところだ。
一度海外の手に渡ってしまった資産や技術を取り戻すのは容易ではない。取り戻すことが出来たとしても、売り渡した時よりも大きな金額を相手に引き渡す必要があるかもしれない。
問題なのはコロナ対策だけではない
中国公船の日本領海への侵入、外国勢力による日本の資産や技術の買い叩き。いずれも、新型コロナウイルス感染症の対策に日本政府が追われている、その裏側で起きている・起きようとしている出来事である。
新型コロナウイルス感染症に関するニュースが連日大きく取り上げられ、どうしても、そちらに目を奪われてしまいがちだが、その裏側で日本の存立を揺るがしかねない出来事が進行していることは見落とさないようにしたい。
現在は、日本政府をあげて新型コロナウイルス感染症対策にあたっていることから、どうしても、その裏側の動きに対する対策が手薄になってしまうところ。新型コロナウイルス感染症対策は当然に最優先で取り組むべきではあるが、それだけに関わっていると、気付いたら国益を害するようなことが起きていたということになりかねない。
問題なのは新型コロナウイルス感染症対策だけではない。国民民主党の玉木代表のように、新型コロナウイルス感染症の感染拡大の裏側で起きている出来事に注意を払い、その対策を提言する国会議員もいる。このことは広く知られてしかるべきだろう。