永田町で国民民主党がその存在感を日増しに強めている。同党は結党以来、玉木代表が「政局ではなく、政策で政権と対峙する」をモットーに活動してきたが、政局でしか永田町を捉えられないメディアに阻まれて、国民民主党の存在感は有権者には薄かった。テレビ、新聞などの永田町に出入りする政治部記者のマインドセットが政局だから、彼らの関心のアンテナに引っかからないと、そもそも報道に載らないからだ。
その良し悪しはひとまず置いておくとして、玉木代表は愚直に「政局より政策」を訴え続け、そのような党運営、国会運営を運んできた。この間、メディアの報道姿勢もあいまって、国民民主党の政策はメディアを通じて発信される機会は少なく、その影響もあって政党支持率は低空飛行を続けている。
国民民主の提案を政権が実現する
しかし、ここへ来て、国民民主党の姿勢が実を結びつつある点には注目したい。
例えば、持続化給付金。玉木代表は予算委員会で、安倍首相および経産大臣に対して持続化給付金の条件緩和について質問した。
具体的には次の3点だ。(1)売上の減少が50%未満の事業者、(2)本年設立して昨年度の売上がない事業者、(3)雑所得や給与所得で申告しているフリーランス。いずれもメールなどで国民民主党や玉木代表へ直接、国民から寄せられた声を元にした政策提言だ。
手応えを掴む玉木代表
この玉木代表の予算委員会での提案に対して、経産大臣は「どのような対応ができるか、今週中をめどに方針を示して参りたい」と答弁した。「やる」とは約束していないものの、予算審議でのやり取りを見ていると、実現に向けて前向きに検討するというニュアンスを大いに含んでいたように思う。
玉木代表も手応えを掴みつつあるようだ。5月7日の結党2周年を迎えた定例記者会見で、「少しずつ提案型が理解されてきた。国民に役立つことを党一丸となってやりきった結果、支持率はついてくる」と語った。
この1ヶ月半を振り返ってみると、一律10万円の給付金を最初に提案したのは国民民主党だった。公明党に押し切られる形で政府は一律10万円へと舵を切ったが、端緒は国民民主党だった。他にも指定感染症の政令施行の前倒し、治療薬、ワクチン開発の強化、新型コロナの治療への保険適用、一年間の納税猶予、事業者支援における地域金融機関の活用など、多岐に渡って国民民主党の政策を政府は取り入れてきたし、一部実現したものまで含めれば、今国会における国民民主党の存在感は疑いようもない。
言行不一致の立憲民主
一方対照的なのは立憲民主党だ。同党はこちらはまた、別の意味で良くも悪くも政局優先の政治部記者を意識した行動を取る。象徴的なのは、緊急事態宣言を発出した、その当日に風俗店へ足を運んでいた国会議員がいたことだ。
この議員は「緊急事態宣言を出しても相変わらずの満員電車の我が国では、そう(ロックダウン)せざるを得ないのかもしれません。とにかく満員電車をなくす政策(テレワークの徹底)を最優先すべきで、「夜の外出自粛」では済まないと思います」とtwitterに書き込んでいたほどだ。その当の本人がよりによって、緊急事態宣言を発出した、その日に夜の街、歌舞伎町に繰り出していたのである。
政局を優先するからこそ、自身の発言と行動が一致しないことが起きても、気づけないのではないか。政局優先の政治に国民は愛想を尽かしつつある。
それでだろう、とうとう、立憲民主党の支持率は維新に抜かれて野党第一党の座を譲る形になった。維新もまた、政策優先で永田町の立ち居振る舞いを決めてきた政党だ。今回の新型コロナは、野党の国会戦略を大きく揺るがしているのは間違いない。真に国民目線で政策に取り組んでいるのは、どの党なのか、今その真価が問われている。