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【臨時国会の早期召集、政府は応ぜず】安倍総理の矛盾

 

「何か指摘があればその都度、真摯に説明責任を果たしていく。」

 「国民の皆様から信頼が得られるよう、冷静に、一つ一つ丁寧に説明する努力を積み重ねていかなければならない。その決意をこの国会の閉会に当たって新たにしております。」

 

6月19日、国会閉会にあたっての記者会見の冒頭発言で、安倍総理が語った言葉である。その後も加計学園に関して新たな「疑惑」や「疑問」が相次ぎ、真摯に説明責任を果たすべき状況にあると思われるが、説明するどころか、加計学園問題で焦点となった獣医学部の新設については、一校だけでなく「全国展開を目指したい」と問題を曖昧にするかのような発言を安倍総理は行っている。

 

そのような中で、真摯に説明をする場として、国会での審議は格好の場だと思われるところ、6月22日に民進党など野党4党が共同で憲法第53条に基づく臨時国会召集の要求書を提出した。

 

憲法53条は、以下のとおり。

「内閣は、国会の臨時会の召集を決定することができる。いづれかの議院の総議員の四分の一以上の要求があれば、内閣は、その召集を決定しなければならない。」

 

憲法第53条に基づく臨時国会召集の要求書

https://www.minshin.or.jp/download/35529.pdf

 

これに対して、29日の記者会見で、菅義偉官房長官は「政府は召集義務を負うが、憲法上期日の規定はない」と語ったと報じられている。

 

確かに、憲法には期日の指定はないが、条文に「その召集を決定しなければならない」とあり、これは菅官房長官も「召集義務を負う」と認めている。召集しないということではなく、いつ召集するのかに関しての裁量が認められているに過ぎないと見るべきだろう。この憲法53条に基づく臨時国会召集の要求は2015年にも野党からなされているが、この時にも臨時国会は召集されなかった。既に、要求があっても召集しないという前例が安倍政権には存在しているのである。おそらく、このままでは、野党の求めに応じて臨時国会を召集するという流れにはならないだろう。結局、真摯に説明をするつもりなどないというのが本音なのだろう。

 

ところで、自民党の改憲案では、憲法第53条の後段について、以下のように改正するとされている。

 

日本国憲法改正草案 平成24年4月27日

「いずれかの議院の総議員の四分の一以上の要求があったときは、要求があった日から二十日以内に臨時国会が召集されなければならない」

https://jimin.ncss.nifty.com/pdf/news/policy/130250_1.pdf

 

改憲案で二十日以内とするのであれば、今回の野党からの要求にも二十日以内に召集を決定して臨時国会を開けば良さそうなものだが、どうなのだろうか。

なお、この20日以内というのは、既に地方議会における臨時会の招集に関する規定の中で出て来る日数である。具体的には、地方自治法第101条2項と3項で以下のように定められている。

 

「議長は、議会運営委員会の議決を経て、当該普通地方公共団体の長に対し、会議に付議すべき事件を示して臨時会の招集を請求することができる。」(2項)

「議員の定数の四分の一以上の者は、当該普通地方公共団体の長に対し、会議に付議すべき事件を示して臨時会の招集を請求することができる。」(3項)

 

地方自治法

http://law.e-gov.go.jp/htmldata/S22/S22HO067.html

 

そして、同条4項に以下のように日数が明記されている。

 

「前二項の規定による請求があつたときは、当該普通地方公共団体の長は、請求のあつた日から二十日以内に臨時会を招集しなければならない。」(4項)

 

地方自治法

http://law.e-gov.go.jp/htmldata/S22/S22HO067.html

 

地方議会と国会は制度が異なるとはいえ、開催するのか否かは極めて重要な事項であり、議会を構成する議員の請求があった際には、出来るだけ速やかに開会する。もし臨時国会を速やかに召集しないのだとしたら、それこそ、その理由について「真摯に説明責任を果たしていく」ことが安倍内閣には求められている。

 

 

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