反社会的勢力の参加が疑われる
招待者名簿はシュレッダーにかけられてしまった安倍総理主催の「桜を見る会」。
反社会的勢力と思しき人物が参加していたのではないかとの疑惑が生じ、菅官房長官がいったんはそれを認めるような発言をして、後に訂正するという一幕があった。
写真に写っていたのであれば結果として参加していたのかもしれないという菅官房長官の最初の発言は、招待者名簿が廃棄されてしまった以上、そう答えるのも仕方がないようなもので、ある意味で大変正直な回答だったと言えるだろう。
しかし、それでは事実上、反社会的勢力と思しき人物の参加があったことを認めてしまうことになるため、さすがにそれがまずいと発言の修正を図ったものと思われる。
ただ、その弁明は苦しいもので、招待者名簿を廃棄したということにしている以上、誰が参加していたのかは不明確で、参加の有無を明言するのは難しい。もちろん、最初の菅官房長官の回答にあったように、写真に写っている人物であれば、その人物が参加していた蓋然性は高い。
写真を含めて参加者による各種記録やテレビ映像も残っている。素性が明らかな著名人であれば、さすがに会場で参加しているのを見たという証言を得ることも出来るだろう。ただ、反社会的勢力の人物となると、一般的には知れた人物ではないであろうことから、写真などをたどって、その参加を確認するのはそう簡単でもないはずだ。
いずれにしても、招待者名簿がない以上、誰が参加したのか正確には分からないという状態が続くことになる。
マルチ商法の首謀者にも招待状
なかには、安倍総理名の招待状を見せて、自らの権威付けに使っていた人物までいた。その一人に、マルチ商法の元経営者がいる。
かつて、マルチ商法で問題になったジャパンライフの山口隆祥元会長宛に「首相・長官等」が推薦者となった招待状が送付されていたのだ。
実際には元会長は桜を見る会には参加しなかったようだが、招待状を使って営業を行っていたことが疑われている。
招待状には通し番号が振られていて、その番号から推薦者に対応していた。山口元会長の手元に送付された招待状は営業で利用された関係で画像が残されており、それを確認すると通し番号からそれが「首相・長官等」による推薦のものであることが分かり、これを政府側は認めるしかなくなってしまっている。
この招待状が疑念を持たれていたジャパンライフ社に信用を与え、より多くの被害を生んでしまった可能性まで指摘される事態となっている。
税金を使って、問題人物を増長させてしまったのか
様々な問題点が噴出したために忘れられてしまったきらいがあるが、「桜を見る会」は税金を使って開催されたものである。
その開催費用は右肩上がりで増加し、さらには当初の予算を大きく上回っての支出になっていたことに注意が必要である。
「桜を見る会」の開催自体、それは何の問題もないと思っている人も当然いるだろう。さらには、何の問題もないのに、野党は安倍総理を打倒したいから騒いでいると冷ややかに見る人もいることだろう。
しかし、どうだろうか。その招待者には反社会的勢力やマルチ商法の首謀者まで含まれていた可能性があるのだ。功績がある人物が招待されていたはずの「桜を見る会」は問題のある人物を勢いづかせるイベントになり下がってしまっていたのかもしれない。
国の予算が使われることで、かえって犯罪を増長させたり、その被害を大きくしてしまった可能性すらあるのだ。予算の適正執行からは程遠い実態がそこには見え隠れする。
内閣府は頑なに招待者名簿を公開することを拒んでいるが、その拒んでいるという事実と少しずつ明るみに出る招待者の一端を見るにつけ、それらを総合すると総理主催の「桜を見る会」の招待者には何やら良からぬ者たちが集まるイベントと化してしまっていたようである。名簿が公開されるまで、そういう疑念は払拭されることはない。