安倍総理のイラン訪問
日本の首相として41年ぶりにイランに訪問した安倍総理。対立するアメリカとイランを仲介すると勇んで出かけたようだが、イランの最高指導者であるハメネイ師からは色よい返答は得られなかったようである。
イランと日本は友好関係を長らく築いてきた。イランが国際的に孤立するような事態になりそうな時にも、日本は長年の関係からその関係を維持してきた。
今回、アメリカとイランの対立が深刻なものとなる中で、いずれの国とも友好な関係にある日本が仲介役を買って出るという、その心意気は良かった。しかし、事はそう簡単ではなく、安倍総理とはロウハニ大統領やハメネイ師と会談をすることは出来たものの、事態の改善にはつながらなかったようである。
参議院選挙を前に「外交の安倍」を印象付けたかったのかもしれないが、やはり外交は一筋縄ではいかない。ここのところ、表向きの演出とは裏腹に、思うような外交成果を上げることが出来ていない安倍総理。今回も、どちらかと言えば、失点を重ねてしまったのかもしれない。
安倍総理のイラン訪問中にアメリカは対イランの制裁を発表
というのも、安倍総理がイランを訪問しているその最中、アメリカはイランに対する新たな追加の制裁を発表したのだ。
安倍総理のイラン訪問に際して、トランプ大統領はイランへ向けたメッセージを安倍総理に託したようだが、その一方で、訪問中の日程合わせて新たな制裁を発表するというのだから、何ともやりにくい。
こちら、イランのメディアのひとつだが、その記事の表題は何とも厳しい。
「Japan PM’s visit should not be taken seriously. (日本の首相の訪問は真剣に受け止められるべきではない。)」
何とも辛辣だが、イラン側の受け止め方は大方そんなところなのだろう。
日本側から見ると大変残念ではあるが、これが現実だ。
アメリカ側から見ても、日本の首相が訪問中だろうが、必要であると判断すれば、そんなことなどお構いなしに制裁も発表する。
仲介役などと気張って訪問したものの、真剣に考えていたのは日本の安倍総理だけだったというオチのようだ。ハメネイ師との会談でも取り付く島もない有り様だったようだ。
そして日本企業の船が襲撃される
安倍総理のイラン訪問中を狙ったかのように、日本の企業が保有するタンカーがイランの目の前のホルムズ海峡で何者かの襲撃を受けた。
乗組員に被害はなかったようで、ひとまずは安心かもしれないが、安倍総理のイラン訪問が踏んではいけない尾を踏んでしまったのだろうか。何かきな臭い事態へと進んでいきそうな気配である。
国際政治の表舞台から一歩引いて、日本は控えめな外交に徹する。かようなあり方もあろうかとは思うが、それは消極的に過ぎるだろう。
今回、安倍総理がアメリカとイランの仲介役を買って出たこと自体は決して責められるべき事柄ではない。ただ、安倍総理のイラン訪問中のあれこれを見ると、どうやら事を急ぎ過ぎた感が否めない。成果を焦るあまり、周到な根回しなり調整なりが欠けていたのではないだろうか。
その性急な振る舞いはかえって日本の立場を悪くするだけに終わってしまったのかもしれない。
滅茶苦茶怒ってるな、これは。ヘラヘラした覚悟で来るなってことだな。
— ワタセユウヤ (@yuyawatase) June 13, 2019
むしろ、これではイランを刺激して、他の地域でテロが起きそうな気がする。
— ワタセユウヤ (@yuyawatase) June 13, 2019
これらは、ハメネイ師のツイートを受けての政治アナリストの渡瀬裕哉氏のツイートである。
もしや、安倍総理は中途半端な覚悟で中東に首を突っ込んでしまったのだろうか。そうであるなら、外交敗北どころの騒ぎではない。
安倍総理は「外交の安倍」の自縄自縛に陥っているのではないだろうか。