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国民民主党の玉木代表による野党の代表としての外交

 

 

 

玉木代表、日本の立場を明確に伝える

 

 1日、国民民主党の玉木代表は日本に訪問していた韓国国会議員団と面会した。
 
 2日に閣議決定された韓国のホワイト国除外をめぐって解決策を探るために日本に訪問していた韓国の国会議員団。自民党の額賀福志郎議員が会長を務める日韓議員連盟とは懇談会を開くことが出来たが、自民党の二階幹事長との面会はキャンセルされるなど、思うような活動が出来ない中で、野党の国民民主党の玉木代表に秋波を送ったのか、急遽の面会となったようだ。ここで、玉木代表は毅然とした対応で、日本側の主張を韓国側に明確に伝えた。

 

 玉木代表が伝えたのは主に二点。

 

www.dpfp.or.jp

 

 

 ・徴用工問題に関して、請求権問題を「完全かつ最終的に解決」と確認した1965年締結の日韓請求権協定を絶対に守ること
 ・ホワイト国除外に関して、この問題は徴用工問題とは別に安全保障にかかわる問題なのであって、韓国の貿易管理が問われているのであり、その管理を徹底すること

 

 これは、現在の日本政府としての立場に明確に沿うものであり、日本政府の姿勢を韓国側に毅然と伝えたと言えるだろう。
 韓国の議員団からすれば、玉木代表は野党のトップの一人であり、安倍政権に批判的な立場であって、韓国への対応を一緒になって批判してくれるのではないかと淡い期待も抱いていたのかもしれないが、そういう思惑があったとすれば、それは期待外れに終わったことになる。

 

 現在の安倍政権に野党が対峙しているからと言って、何でもその判断に反対しているわけではない。玉木代表の言動にも見られるように、今回の韓国への措置については与野党を越えて、その判断が支持されていると言えよう。もちろん、野党の一部には反発もあるようだが、そういう政党は今後も政権を担うつもりはないようなので、そうなっているだけだ。

 

 

野党の代表だから出来る外交もある

 

 国民民主党と立憲民主党、それぞれに思惑や都合があったものと想像されるが、ここで玉木代表が前面に出た国民民主党と福山幹事長が対応した立憲民主党で、その対応が分かれたことは注目に値する。当日、立憲民主党の枝野代表が体調不良だったとの情報もあるが、ここで注目したいのは玉木代表が韓国の国会議員団と面会したことだ。
 韓国の国会議員団は立憲民主党にもアプローチをしており、立憲民主党は福山幹事長が対応している。

 

www.sankei.com

 

そうだとしても、結果として両党の対応が分かれたことには大きな意味があるのだ。

 

 

 ここで問われるのは、近い将来に政権を担う気概があるのか、そして、その準備を常にしているのかということである。
 外交は国の根幹にかかわる重要な政策テーマである。いつか政権を担うとしたら、どのような外交を展開するのか。政権を担うことを考える野党であれば、当然に考えておかなければならない。もちろん、今回のように実際に外交に関わるような場面では、その態度表明が迫られることになる。そこで、玉木代表は前面に出て、その態度を明確に示したということだ。

 

 もちろん、場合によっては、現政権の外交政策に誤りがあるということもあるだろう。そういう場合には、きちんとそれを批判するのが野党の役目でもあるが、今回のように、これまでの経緯や国際法に照らして、日本政府として毅然とした対応が求められ、実際にそういう対応がなされた場合には、野党であっても、自らが政権を担っていたらどうするのかを考えて意見を表明することが求められるのだ。
 相手の国の関係者と面会する機会があれば、野党の代表として、その立場を明確にし、意見を表明することが大切だ。それを的確に行ったのが今回の玉木代表ということなる。

 

 野党国民民主党の玉木代表も旗幟を鮮明にしたことで、韓国側に日本としての立場は明確に伝わったことだろう。韓国は自らの主張に沿った対応を取ってくることになるだろうが、日本が一枚岩で事に当たろうとしていることが伝わったことの意味は大きい。
 韓国に強硬な立場の安倍総理が暴走しているわけではなく、暴走する韓国に対して日本は与野党を越えて一致した対応策を取ろうとしている。そう認識させることが少しでも出来たとすれば、玉木代表による野党代表としての外交は上首尾に終わったと評価されることになるはずだ。