霞が関から見た永田町

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安倍政権下では北方領土は返って来ない

 

 

 

「仕切り直し」とは、これいかに

 

 もはや北方領土は安倍総理によってロシアに売り渡されてしまったというのが正鵠を射ていると思うが、まだまだ安倍総理はこの問題で日本国民を騙し続けるようだ。
 9月5日に安倍総理はロシアのプーチン大統領と会談し、北方領土問題を含む平和条約締結交渉の仕切り直しを目指すそうだ。

 

mainichi.jp

 

 

 6月の大阪でのG20サミットでも一向に成果が出せなかった中で、今更に何を言うのだろうか。もうロシアとしては十分に外交戦で得るべきものは得た状態にあり、領土を日本に譲り渡そうなんて一ミリも考えていないだろう。
 どういうことかと言えば、日本とロシアの間には北方領土問題があり、北方四島の帰属の問題を解決した上で条約締結をという前提条件が両国間であったところ、安倍総理がそのような前提条件を抜きにと言ってしまったがために、いまや日本とロシアの間には領土に関する問題が存在しないという前提で話し合いを行わなければならなくなっているのである。

 

www.ksmgsksfngtc.com

 

 

 両国間に領土問題が存在するという前提がなくなってから、ロシアがどのような行動を取ったのかを見れば、事は分かりやすい。
 2日には、こんな分かりやすい報道があった。

 

this.kiji.is

 

 

 ロシアとしては、北方領土について日本に対して気兼ねなど最早必要ない。着々と自国の領土として進めるべきことを進めていく。この記事にあるようなミサイル配備も当然のことのように進めることが出来る、そんな環境が既に出来上がっているのだ。

 

 もちろん、交渉上手なプーチン大統領のこと。おそらく、安倍総理に期待を抱かせるような甘言も弄してくることだろう。そして、成果らしきものが欲しい安倍総理はそれに乗せられて、毎度のような経済協力を申し出るのではないだろうか。

 

 

「外交の安倍」は嘘ではないか

 

 外交で安倍総理は大きな成果を残しているとの声は根強い。しかしどうだろうか。
 忘れられているのかもしれないが、安倍総理はこの間にプーチン大統領と何度も会談している。5日に会談となると、それは27回目となる。
 その結果は歴然としている。これまで返って来なかった北方領土が返ってこないのは仕方がないのかもしれないが、むしろ北方領土に関する日本の立場は安倍総理によって大きく後退させられてしまった。その事実には触れずに、今度は平和条約締結交渉の仕切り直しというのだから、何とも欺瞞に満ちている。

 

 もう26回も安倍総理はプーチン大統領と会談をしていて、その都度、日本側が「贈り物」をしているようにしか見えないのは、どういうことなのだろうか。一部には、この会談の回数を以ってして、その多さを外交成果とするような論者もいるようだが、会えば会うほどに日本が損をするようなら、むしろその回数は少ない方が良いくらいだ。

 

 ロシア側から見れば、日本との間で北方領土問題を前提として議論をする必要がない。目指すべきは日本からいかに経済協力を引き出すのかということになるだろう。そのためには、平和条約締結交渉について触れ、安倍総理には期待を抱かせるだけで十分だ。これほど簡単な交渉の相手もいないだろう。

 

 対して、安倍総理は国内向けには交渉に向けた進展があったと宣伝するだけで良い。それでも、会談の回数を重ねただけで評価してくれる応援団がここぞとばかりに、「さすが外交の安倍」と持ち上げてくれることだろう。そして、少なくない国民がそれに騙されて、「外交の安倍」との思いを再確認する。
 はやく気付くべきだろう。外交成果と喧伝される裏側で大きな譲歩を日本がしていることを。トランプ大統領に押し切られてトウモロコシを押し付けられてしまったように、日本は随分な譲歩を重ねているのである。

 

www3.nhk.or.jp

 

 

 今度のプーチン大統領との会談はロシアで行われる。どうしても、その様子は日本から見えにくくなる。これまで以上に、日本国民に見えないところでの譲歩を重ねてしまうことすら予想される。
 マスコミ報道は「外交成果」を強調するかもしれないが、果たして何を話し合ったのか決して目を離してはならない。「外交の安倍」のイメージに騙されるのはもう止めるべきではないだろうか。