コロナ困窮学生支援法案を提出
5月11日に、野党共同会派と日本共産党は議員立法「新型コロナウイルス感染症等の影響に対応するための学生等に関する特別措置法案」(コロナ困窮学生支援法案)を衆議院に提出した。
(法案の詳細などは国民民主党のWebサイトに全て掲載されている)
新型コロナウイルスの感染拡大防止に伴う経済活動の停滞。その影響を受ける学生に対する緊急支援策のための法案である。
学生支援の三つの柱
支援策は以下の三つの柱から成る。
① 授業料の半額免除
② アルバイト減収分を最大20万円緊急支援
③ 奨学金の返済免除
①については、大学院、大学、短期大学、専門学校等に通う学生の年間授業料の半額を免除し、国がその減額分を10割負担するという策である。
既に一部の大学では個別に学生への支援策を講じていたりもするが、経済的に困っている学生は全国に広く存在する。支援の対象を区別せずに一律に年間授業料の半分を免除するということで、全ての学生に対して国として支援を行う姿勢を明確にする策であると言えよう。
②については、アルバイトの収入が前年同月比で一定程度減少している学生に対して、一時金20万円を給付するという策である。
生活費や授業料を自らのアルバイトで賄っているという学生も少なくない。緊急事態宣言後の自粛で、特に学生がアルバイトをしているような飲食店などサービス業が大きな影響を受けている。アルバイトの収入が減少して生活が厳しくなった学生に、新型コロナウイルス感染症の影響を被ったこの4か月分に相当する20万円を給付することで、その生活を支えようというのである。
③については、日本学生支援機構から貸与奨学金を受けている人々に対して1年間の返済を免除するという策である。
これは、今年度中に返還の期限が到来する学資貸与金について、その返還が困難な状況にあるときは返還を免除するというもので、現役の学生を支援する策ではない。少し支援の対象を広げた策であると言えるが、困窮する若年者に対する支援を行うということであって十分に首肯出来るものだ。
支援策の提案で先行する野党
新型コロナウイルス感染症の感染拡大を防止するための自粛。その影響は経済活動全般に及び、それが各方面に更なる影響を及ぼしている。経済活動の停滞は働く人の収入の減少を招き、それは働く人によって支えられている学生の生活にも大きな影響を及ぼすという事態に至っている。
政府は経済活動を担う事業者に対する支援策を講じ始めている。しかし、二次的に影響を受けている対象への支援策は不十分と言える状況だ。
そのような状況にあって、今回、野党が先行するかたちでコロナウイルス感染症の影響を受けた学生に対する支援策を提案してきた。
国民一人当たり10万円の現金給付策も野党が先行して提案したものであった。
政府が新型コロナウイルス感染症の感染防止策に労力を奪われているためか、はたまた政権として支援策に関心がないのか、この間の安倍政権の打ち出してきた支援策は感染防止策と同様に一歩遅れがちである。
国民一人当たり10万円の現金給付策は野党が提案したものであったため、その採用が遅れた。今回の学生に対する支援策も先に野党が提案してしまったため、政権の面子を考えて採用しないという可能性も大いにあり得るところだ。
しかし、そのようなことは言っていないで、出来るだけ早く困っている国民を支援する策が矢継ぎ早に実行されることを願って止まない。支援策の提案で先行する野党には、今後もその提案を続けることを期待したい。