4月1日に緊急事態宣言?
新型コロナウイルス感染症拡大に伴い、4月1日に緊急事態宣言が発令されるのではないかという噂がネット上で駆け巡った。
これについては、安倍総理が「フェイクニュースだ」と断じ、菅官房長官も記者会見で明確に否定している。
あくまでも噂レベルの話であって、4月1日に発令されることにはならなそうだ。
そうは言っても、危機的な状況で「持ち応えている」というのが現状であって、いつ発令されても不思議ではないというのが偽らざるところ。いつ発令されてもおかしくないと備えておく必要があるだろう。
交通遮断は感染症法第33条で可能
ところで、都市封鎖(ロックアウト)の実施が焦点となっている。しかし、確認しておかなければならないのは、噂される緊急事態宣言を発令しても直ちに都市封鎖とはならないことだ。
この点について、国民民主党の後藤祐一衆議院議員が3月11日の内閣委員会で質問を行っている。
その詳細については、以下、後藤議員のFacebookの投稿を確認されたい。
緊急事態宣言で可能になるのは、あくまで外出自粛の要請である。人の移動自体を強制的に止めることは出来ない。
対して、感染症法第33条を根拠に、都道府県知事が交通の制限や遮断を行うことが出来る。新型コロナウイルス感染症についても感染症法第33条の適用対象とすることに政令を改正すれば、この交通制限による都市封鎖も可能となる。
ひっそり政令改正される
新型コロナウイルス感染症を感染症法第33条の適用対象とする政令改正は3月26日にひっそりと行われている。
厚生労働省のWebサイトでは、政令改正に関する通知がなされているが、これを上記の適用対象の拡大と理解出来る人はそう多くないだろう。
こちらの健康局「令和2年3月27日掲載」の改正する政令がそれである。
通常このような改正はもう少し手続きを踏んで行うものであるが、今回は緊急ということもあったのか、外からは見えないようにひっそりと改正が行われている。
この点、山尾志桜里衆議院議員がその杜撰さを指摘しているが、まさにその指摘の通りだろう。
いずれにしても、この政令改正により、都道府県知事は感染症法第33条に基づく交通制限を行うことが可能となった。あとは、都道府県知事の判断次第ということになる。
それでも都市封鎖は難しい
緊急事態宣言の発令については、医療界からは発令してよい状況との声も上がっている。
しかし、いまだ緊急事態宣言の発令に政府は慎重な姿勢を見せている。緊急事態宣言はいわば最終手段であって、出来れば発令したくないということなのだろうか。
そうだとすると、緊急事態宣言の発令ではない方法で当座は凌ぐということも考えられる。そういう意味では、ひっそりと政令改正することで可能とした感染症法第33条の適用による都道府県知事による交通制限ということも現実味を帯びてこよう。
ただ、感染症法第33条に基づく交通制限は、72時間以内の時間制限を設けて行うことになっている。つまり、最大3日間しか制限が出来ないのだ。この方法だけでは諸外国で行われているような都市封鎖は行えないことになる。
緊急事態宣言の発令や感染症法第33条による交通制限では十全なかたちでの都市封鎖は困難である。そういう制度上の限界を踏まえた上で、迅速に可能な対策を打つことが求められているのである。