霞が関から見た永田町

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少しずつ遅れる新型コロナウイルス感染対策

帰国者に検査を指示できず

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 1月29日、新型コロナウイルスによる肺炎が発生した中国・武漢市から日本人を帰国させる目的で政府が派遣した民間チャーター機の第1便が羽田空港に到着した。第2便も30日に羽田空港に到着しており、この後も順次チャーター機の到着が予定されている。
 第1便での帰国者のうち、体調不良を訴えるなど何らかの症状がある人は病院で入院の措置が取られた。その他、特に症状のない人についても、政府が用意したバスで国立国際医療研究センターに移され、改めて検査の上で陰性と分かるまで自宅や千葉県勝浦市のホテルで待機してもらうという対応が取られた。
 第1便では、206名が帰国し、12名が体調不良を訴えて入院、その他の192名が検査を受けた。しかし、2名は検査に同意せずにそのまま政府が自宅へ送り届けたとされている。

www.asahi.com

 2月7日以降は、新型コロナウイルスによる肺炎が感染症法の定めるところの指定感染症になる。指定感染症となれば、入国者に対する検査を指示することも可能だが、現段階では政府と言えども強制力をもって検査を受けさせることは出来ないため、検査に同意しない2名をそのまま送り届けるしかなかった。
 指定感染症の指定に関する閣議決定は1月28日に行われており、この対応に遅れがあったとは思わないが、指定についての政令の施行が2月7日となっているなかで、チャーター機を派遣して帰国者をそのまま受け入れてしまったのは少し配慮が不足していたと言えないだろうか。
 と言うのも、症状が表れておらずに検査を受けた192名の中からコロナウイルス感染者が見つかったからだ。検査を受けずに帰してしまった2名についても感染していた可能性が捨てきれないことになる。やはり、帰国者全員について検査を行うことが必要だったのではないだろうか。
 その後、この2名についても検査を受ける意向を示しているが、いったんは検査を受けずに帰宅してしまっており、接触した人もいるはずだ。

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 早速、国民民主党の玉木代表は指定感染症に関する政令の施行の前倒しを要請している。

www.dpfp.or.jp

mainichi.jp

 対応に早すぎるということはなく、玉木代表の要請を政府も真摯に聞き入れるべきだろう。

 結局、施行は2月1日に前倒しにされたが、遅れが生じたことは否めない。

mainichi.jp

厚生労働省の情報公開も遅れる

 既に日本国内でも、中国からの観光客経由でコロナウイルスに感染したと思われる人もいる。
 その感染例となったのは、中国から観光客を関西空港へ運んだバスの運転手とガイドであり、その対応に大阪府や途中立ち寄り先とされる奈良県があたっている。

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 その中で、大阪府は厚生労働省が感染者の行動歴について情報公開を行わない姿勢を批判している。そして、厚生労働省が情報公開しない中で、大阪府は独自に把握した情報を公開している。

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 大阪府の吉村知事は、府民の冷静な判断のために一定程度の情報を公表すべきということで、バスガイドの女性の府内でのおおまかな行動歴を公表したのだ。
 報道によると、公表されたのは、15日に大阪市内のベイエリア、16日に府外と大阪市中央区の大阪城エリアと心斎橋エリアといった具合に、日付とおおよそのエリアだけである。この程度であれば、人権侵害といった批判も当たらないだろう。
 この程度の情報であっても公表されれば、不安解消にもつながる。正確な情報に基づいた行動を促す意味でも、可能な限り情報は公表すべきだろう。
 もちろん、大阪府から批判された厚生労働省も決して情報の公開をしていないわけではない。

https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000164708_00001.html

 ただ、厚生労働省のWebサイトの新型コロナウイルスに関するページを見ても分かるように、厚生労働省として行いたい情報発信はなされていても、大阪府が求めていたような「知りたい情報」の公開は不十分のように見える。
 情報の公開にも慎重を期しているのかもしれないが、情報の公開の遅れも、それが適切な対応の遅れにつながることを心すべきだろう。

 

遅れを出さない先手の対応を

 新型コロナウイルス対策について、政府の対応が少しずつ遅れている。現段階では、まだ大きな被害などにはつながっていないようだが、この先の予断は許さない。
 対応に早過ぎるということはない。玉木代表による要請や吉村知事の判断を待つまでもなく、一歩先を行く先手の対応を政府には求めたい。