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令和元年を振り返る〈経済編〉

 

 

 

消費税10%スタート

 

今年の国内経済ニュースで最大のニュースといえば、やはり消費税10%のスタートか。1989年に3%の消費税が導入されて30年の歳月を経て、いよいよ消費税は2桁台やはりへと突入した。消費税の導入が平成元年、令和元年に10%へというのは、たまたまとはいえ、不思議な節目の縁を感じる。

 

かつて、5%、8%と消費税増税を経験してきた日本経済の増税への警戒感は小さくなかった。増税前の駆け込み需要の反動によって生じる消費の落ち込みを抑えようと、政府は、キャッシュレス決済におけるポイント還元事業やプレミアム付き商品券などの消費対策に多額の税金を投じた。

 

12月に入ってからの報道によると、10月の家計調査は物価変動の影響を除いた実質で前年同月に比べて5.1%の減少となり、11ヶ月ぶりのマイナスを記録したという。この落ち込みは、消費税を5%から8%に増税した2014年4月に記録したマイナス4.6%よりも大きかったという。

 

9月の家計調査で、2人以上の世帯の消費支出は前年同月に比べて9.5%増加したという数字もあるなど駆け込み需要の一端も垣間見られた。

 

今年は台風による被害も大きく、その影響が経済指標に影響しているとの見方もあるが、それでも、内需の低迷が生じると景気落ち込みの要素となる。また、2020年はオリンピックを控え、関連特需が下支えする要因にもなると考えられるが、果たしてどうなるのか、今後の行方が気になるところだ。

 

 

根付くかキャッシュレス

 

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消費増税と同時に始まったキャッシュレスポイント制度。非接触型の交通系ICカードを筆頭に、キャッシュレスの定番であるクレジットカード、さらには普及するスマートフォンを利用したQRコードを用いた決済システムなど、多くのサービスが乱立している。

 

キャッシュレスポイント制度によって、僅かながら消費金額の還元があるのを動機に、キャッシュレス決済を利用する消費者は増えている。

 

経産省によると、12月1日時点でポイント還元事業の登録加盟店数は86万店舗まで達するという。日本は諸外国に比べてキャッシュレス決済の比率が低いが、将来的には8割目標に掲げており、消費増税をきっかけに、キャッシュレス決済が根付くかどうかが実物である。

 

報道によるとコンビニエンスストアでは、キャッシュレス決済の比率が、5~8ポイントほど上昇しているという。今後、交通系ICカードの個人間決済などに踏み切るなど、日常用途への普及が進めばより浸透が見込まれる。来年の東京オリンピックでは、比較的キャッシュレス決済に慣れている海外からの観光客も多く来日するので、より中小店舗での浸透も規程できるだろう。

 

 

働き方改革は日本人の生産性を上げるか

 

今年は来年のオリンピック開催を睨み、テレワーク導入にむけた取り組みなどが活発だった。オリンピック開幕一年前を期に、テレワークデイズを設定し、出社しない働き方を首都圏の企業を中心に試行された。

 

テレワークデイズ終了後の報道では、一定の通勤電車混雑解消効果なども見られたといい、次第に多様な働き方を許容する社会も整っていくことが期待される。かねてより指摘されている待機児童問題など、育児をしながら働く環境の整備は喫緊の課題だ。更なる浸透を期待したい。

 

ほかにもコンビニエンスストアの24時間営業を見直す動きが広まったニュースも記憶にある方も多いだろう。コンビニの来店客数は近年頭打ちであり、各社ともに客単価の上昇に手を尽くしていた一方、よく知られていたようにコンビニフランチャイズチェーンの本部と加盟店の力関係などから、24時間営業による負担に現場のオーナーが耐えかねた結果だった。真夏のおでんの話題や、廃棄処分商品の取り扱いについても報道があったように、本部の一方的な利益志向に現場の不満が爆発した年だった。

 

働き方改革とは一口に行っても、会社勤めのビジネスパーソンだけでなく、様々な働き方を選択した人々全体にとって恩恵のある仕組みが整備されることが望ましい。

 

 

ポスト2020を見据えて

 

いよいよ来年は東京オリンピックの幕が開ける。海外からの日本に注がれる視線の先に映るものとは一体何か。オリンピックだけではなく日本社会全体の様子は、オリンピックを機会に海外の人々にどう映るのか。

 

今年は19,000円台でスタートした日経平均株価も24,000円を超え、NYダウ平均株価も28,000円を超えるなど、経済指標には良い材料も多い。この好況感が果たしていつまで続くのか。子年の相場格言は「繁栄」だという。

 

果たしてどのような繁栄が待っているのか。新たな年が明けるのを指折り数えて待つこととしたい。