日本人同士の結婚だと同姓か別姓を選択できないのは「法の下の平等」を定めた憲法に反するとして、東証1部上場のソフトウエア開発会社「サイボウズ」の青野慶久社長ら2人が、国に損害賠償を求め、東京地裁に提訴する方針を固めた。
夫婦同姓は法律で決められている
現在日本では、夫婦同姓が民放750条で決められている。その為、夫婦どちらかが旧姓を使用するには旧姓の通称利用をするか、事実婚を行うしかなく様々な問題が指摘されている。どちらの姓を称するかは夫婦が選択できるが、96%の女性が男性側の姓に変えている。
第750条
夫婦は、婚姻の際に定めるところに従い、夫又は妻の氏を称する。
夫婦別姓のメリット・デメリットは?
夫婦別姓にするメリット
手続きが楽である
結婚し姓を変えると戸籍の変更、運転免許証、健康保険証、パスポート、銀行の通帳・カードなど公的書類はすべて変更が必要になる。夫婦別姓が可能になれば名義を変更する手間がなくなり楽になる。
不公平感がなくなる
相手の家に嫁ぐという気持ちがなくなり、不公平感がなくなる。
女性の社会進出が進む
現状、結婚の際に姓を変えているのは96%が女性である。これまでの姓で築いてきたキャリアを失いたくないという声が上がっている。また、ほとんどの企業では、職場で通称を使用することを認めていない。政府は女性の活躍を後押しするため、旧姓を使用した預貯金口座を開設できるよう銀行業界に要請している。
政府が女性活躍を後押しするために、結婚前の旧姓名義を使った預貯金口座を開設できるよう柔軟な対応を銀行業界に要請している。不正利用防止の観点から、旧姓名義口座に対して積極的でない銀行も多かったが、夫婦別姓が議論されるなど旧姓使用に対しての社会的な機運が高まっており、業界は姿勢を変えつつある。
個人情報の保護
結婚しているかどうかのプライベートな問題をさらすことがなくなる。
夫婦別姓にするデメリット
家族間の姓がバラバラになる
家族の中で1人だけ姓が違うと疎外感を感じたり、周囲がややこしく感じることがある。
子供が非嫡出子になる
事実婚を選択し、別姓で子供を産んだ場合、夫婦間に法律上の婚姻関係がないため非嫡出子となる。この場合、子供は母親の戸籍に入り、事実上父親との親子関係がないことになる。また、父親が「認知届」を提出しないと父親からの相続を受けることができなくなる。
婚姻による優遇が受けられない
事実婚を選択した場合、税金の配偶者控除や、給与の扶養家族手当てがなくなり負担が大きくなる。
自民党は導入に反対している
希望の党、立憲民主党、公明党、民進党、日本共産党、社会民主党は、「選択的夫婦別姓」の導入に賛成している。自民党だけは反対をしており、安倍総理は「夫婦別姓は家族の解体を意味する。家族の解体が最終目標であって、家族から解放されなければ人間として自由になれないという左翼的かつ共産主義のドグマだ」と述べている。
夫婦別姓を巡っては、導入賛成の民主、共産など野党が今年の通常国会で民法改正案を議員立法で参院に提出した。しかし、「家族の絆を壊す」などとして自民党が応じず、審議されないまま廃案となった。1996年にも、法相の諮問機関が選択的夫婦別姓を盛り込んだ民法改正要綱を答申したにもかかわらず、自民党の党内調整がつかず断念した経緯がある。民主党政権だった2009年には千葉景子法相(当時)が法改正に意欲を示したが、連立を組む国民新党の反対で法案の閣議決定を見送るなど、国会議論は停滞を続けている。
野田聖子議員は賛成
自民党は反対をしているが、野田聖子総務相は女性の活躍を応援する立場から導入に前向きである。
日本の政治家。自由民主党所属の衆議院議員(9期)、総務大臣(第20・21代)、女性活躍担当大臣、内閣府特命担当大臣(男女共同参画・マイナンバー制度)。旧姓は島(しま)。
選択的夫婦別姓の導入に関しては自民党内に反対論が根強い。野田氏も講演で「そんな難しい話ではなかったが、所属する自民党は大反対。いまも反対者が多い」と党内の現状を説明した。
野田氏は少子高齢化社会の進展に伴う介護問題に触れながら「社会全体でどう高齢社会を支えていくかというシステムを変えていかなければならない時代だ。特段、選択的夫婦別姓は悪ではないと思う。まったく進んでいない」と語った。