自民党は、次の総選挙に向け2回以上続けて選挙区で敗北し、比例復活で当選した議員について、次の総選挙で重複立候補を認めないとする方針を検討している。
自民党が次回の解散・選挙に向け基本方針見直し
重複立候補とは?
小選挙区で落選した場合でも、重複立候補をしていれば比例選で復活当選できる可能性がある。比例単独立候補者を含めた立候補者名簿で事前に順位付けを行い、各政党の得票数よって獲得した議席数に応じて上から順に当選者が決まる。
衆院選は、最多得票の1人が当選する小選挙区選(定数289)と全国を11ブロックに分けた比例選(同176)とで実施され、有権者はそれぞれに1票を投じる。この両方に立候補するのが重複立候補だ。
小選挙区で落選しても、有効投票総数の10%以上の票を得られれば、比例選で復活当選する資格を得ることができる。
2014年、2017年に比例復活で当選した議員
2014年、2017年と2回連続で比例復活で当選した議員一覧。次回の選挙で重複立候補が認められない可能性がある。
比例区 | 小選挙区 | 氏名 | 2017年 得票数 |
東北 | 岩手3区 | 藤原 崇 | 96,571 |
岩手1区 | 高橋 比奈子 | 57,381 | |
北陸信越 | 新潟3区 | 斎藤 洋明 | 95,594 |
北関東 | 茨城7区 | 永岡 桂子 | 62,617 |
埼玉5区 | 牧原 秀樹 | 77,023 | |
埼玉6区 | 中根 一幸 | 92,222 | |
南関東 | 神奈川4区 | 山本 朋広 | 55,700 |
神奈川9区 | 中山 展宏 | 70,819 | |
山梨1区 | 中谷 真一 | 105,876 | |
東京 | 東京7区 | 松本 文明 | 85,305 |
東海 | 静岡6区 | 勝俣 孝明 | 108,157 |
愛知3区 | 池田 佳隆 | 76,220 | |
愛知5区 | 神田 憲次 | 72,651 | |
愛知7区 | 鈴木 淳司 | 127,329 | |
愛知11区 | 八木 哲也 | 96,978 | |
愛知13区 | 大見 正 | 109,581 | |
近畿 | 大阪10区 | 大隈 和英 | 56,483 |
大阪17区 | 岡下 昌平 | 58,534 | |
大阪18区 | 神谷 昇 | 80,198 | |
大阪19区 | 谷川 とむ | 57,833 | |
和歌山1区 | 門 博文 | 57,111 | |
中国 | 広島6区 | 小島 敏文 | 69,209 |
九州 | 佐賀1区 | 岩田 和親 | 78,972 |
沖縄1区 | 国場 幸之助 | 54,468 |
2017年衆院選で比例復活当選した議員の内、得票数が10万以上の選挙区状況
上記の表の中で、2017年衆院選の小選挙区で10万票以上獲得した4名は、小選挙区での当選者と僅差で落選している。小選挙区当選者と得票率に差がない場合は、重複立候補が出来ないと支持者がいるのに落選してしまうことになる。
愛知7区 鈴木淳司 議員
合否 | 氏名 | 政党 | 重複立候補者 | 得票数 | 得票率 |
小当 | 山尾 志桜里 | 無所属 | 128,163 | 50.20% | |
比当 | 鈴木 淳司 | 自民 | ○ | 127,329 | 49.80% |
愛知13区 大見正 議員
合否 | 氏名 | 政党 | 重複立候補者 | 得票数 | 得票率 |
小当 | 大西 健介 | 希望 | ○ | 116,471 | 47.40% |
比当 | 大見 正 | 自民 | ○ | 109,581 | 44.60% |
静岡6区 勝俣孝明 議員
合否 | 氏名 | 政党 | 重複立候補者 | 得票数 | 得票率 |
小当 | 渡辺 周 | 希望 | ○ | 108,788 | 46.00% |
比当 | 勝俣 孝明 | 自民 | ○ | 108,157 | 45.80% |
山梨1区 中谷真一 議員
合否 | 氏名 | 政党 | 重複立候補者 | 得票数 | 得票率 |
小当 | 中島 克仁 | 無所属 | 107,007 | 44.30% | |
比当 | 中谷 真一 | 自民 | ○ | 105,876 | 43.90% |
2015年にも公認候補予定者の選任基準見直しを行っていた
自民党は2015年にも候補者の選任基準見直しを行っていた。その際、小選挙区で連続して落選した議員は、次の選挙で重複立候補が認められない方針となった。希望の党の福田峰之氏は、2012年、2014年と2年連続で小選挙区を落選。比例復活で当選していた。そのため、福田氏は自民党を離党し希望の党に結党メンバーとして参加した。
比例復活者のうち、選挙区落選が1回のケースは、党執行部が支部長再任から1年後に地元での活動実績などをチェックし、問題がなければ正式な支部長とする。2回連続の議員に対しては次期衆院選まで党が「再判断」を毎年実施。議員を(1)引き続き選挙区と比例代表で重複公認(2)選挙区のみ公認し、比例重複を外す(3)候補差し替え-の3つに分類する。