チケット高額転売がひとつの社会問題となっている中、2020年東京五輪・パラリンピックに向けた取り組みがいくつかの会社で行われている。実現すれば、転売防止になるだけでなく、防犯やテロ対策としても期待されるチケット高額転売対策の現状を探る。
2020年の東京オリンピック・パラリンピック大会に向け、超党派の議員連盟がチケットの高値転売を規制するなど、法的な課題について検討を進めることで一致しました。
超党派のスポーツ議連と2020年東京オリンピック・パラリンピック推進議連は31日午後、総会を開きました。議連には大会の組織委員会も出席し、想定される法的課題を検討するよう要請しました。
高額チケット価格とは?チケット販売価格の妥当性は?
過去の五輪チケット販売価格と東京五輪チケット販売想定価格
ロンドン五輪の開会式のチケットは30万弱で取引されていたことがある。
過去の夏季五輪のチケット価格と、東京大会の想定価格 開催地 開会式 各競技 閉会式 2012年
ロンドン五輪2900~
28万9400円陸上・決勝
7200~
10万4000円2900~
21万5700円2016年
リオ五輪7100~
16万5000円陸上・
バレーボール決勝
1万2500~
4万3000円7100~
10万7000円2020年
東京五輪
(想定)2万5000~
15万円陸上や水泳など
1000~3万円2万~10万 東京パラリンピック
(想定)5000~
1万5000円陸上や水泳、
車いすバスケットボール
1000~1800円-
開幕まで3年半を切った2020年夏の東京五輪・パラリンピックのチケット販売に向けた準備が本格化している。気になるのはその値段。大会組織委員会は競技の人気や需要、過去の大会などを参考にしながら決めていくという。チケットは早ければ来夏から売り出される。
他大会と五輪チケット価格の比較
2020東京五輪チケットの予定価格は、表のとおり。2020年オリンピック・パラリンピック競技大会への関心の高さから、金額を設定している。
大会名 (競技名) |
各種他大会 価格(円) |
2020東京 予定価格(円) |
第9回世界水泳選手権大会 2001年 (水泳) |
1,000~ 6,000 |
1,000~ 25,000 |
2002FIFAワールドカップ™ (サッカー) |
7,000~ 84,000 |
2,000~ 30,000 |
FIFAクラブワールドカップジャパン2012 (サッカー) |
2,000~ 30,000 |
|
FIVBバレーボール世界選手権 2006年 (バレーボール) |
1,000~ 15,000 |
2,000~ 30,000 |
FIVBワールドカップバレーボール2011 (バレーボール) |
500~ 9,800 |
|
2006年FIBAバスケットボール世界選手権 (バスケットボール) |
4,000~ 20,000 |
1,500~ 15,000 |
第11回IAAF世界陸上競技選手権 (陸上) |
1,000~ 17,000 |
1,000~ 25,000 |
2007年WBC世界フライ級タイトルマッチ (ボクシング) |
5,250~ 10,500 |
1,000~ 5,000 |
世界柔道選手権2010東京大会 (柔道) |
900~ 4,800 |
1,500~ 15,000 |
第43回世界体操競技選手権東京大会 (体操) |
3,000~ 15,000 |
2,000~ 30,000 |
2009年世界卓球選手権横浜大会 (卓球) |
1,000~ 6,000 |
1,500~ 15,000 |
(参考:https://tokyo2020.jp/jp/games/plan/data/candidate-section-7-JP.pdf)
東京五輪 チケット高額転売防止のために導入検討中の仕組み
マイナンバーカードの活用
総務省と「ぴあ」がチケットの高額転売を防ぐために「マイナンバーカード」を活用したシステムの導入を検討していると日本経済新聞などが報じた。マイナンバーカードは元々身分証明書として官民問わず利用することを想定したものだが、ネット上では賛否の声が上がっている。
スマートフォンやICカードの活用
政府が2020年東京五輪・パラリンピックで、観客のチケットレス化を検討していることが5日、分かった。観客がスマートフォンやICカードなどをかざすだけで簡単に競技会場に入れるほか、本人確認を徹底することで不正転売やテロの防止につなげる狙いもある。
行けなくなった場合の「リセール」システム
2020年東京五輪・パラリンピックのチケットを買った人が行けなくなった場合、定価で希望者に譲れる仕組みを大会組織委員会がつくることが16日分かった。不当な買い占めによる高額転売や、完売なのに空席が出るのを防ぐ狙い。
その他 転売対策導入例
顔認証システム
観客はパソコンやスマートフォン(スマホ)などを使って専用サイトに自分の顔の画像を事前登録する。当日は紙に印刷されたチケットなどは不要。観客は専用ゲートを通り過ぎるだけで、登録画像と顔の照合が瞬時にすみ入場できる。
追跡および特定による転売チケットの無効化
転売者がパークより購入したチケットは、追跡および特定の上、順次無効化しています。転売サイトで購入したチケットはパークでは使用できませんので、絶対に購入しないようご注意ください。また、転売者が購入したすべてのチケット(転売対象となっているか否かに関わらず)について無効化(入場もしくは使用できなくなる措置)し、返金も行いません。
大量購入防止のための電話番号認証
チケット販売サービス「チケットぴあ」の会員登録に、電話番号認証を導入した。1つの電話番号につきIDを1つに制限することで、大量IDの不正取得によるチケット大量購入を防ぎ、高額転売抑止につなげるとしている。
会員登録画面で携帯電話番号を入力すると、手元のスマートフォンにSMSが届く。そこに書かれた4桁の認証番号を入力し、本人確認する仕組みだ。SMS送受信費用はイープラスが負担する。
チケットの不正転売が増え、紙チケットからデジタルチケットの移行や顔認証、電話番号認証などの対策が行われているが試験的な導入である場合が多くトラブルが多発している。マイナンバーカードやスマホ、ICカードなどの個人に紐づくデータの活用が進むことで、転売防止になるだけでなく、防犯やテロ対策としても期待される。